中国恒大集団が米破産法の適用申請、FOMC議事要旨「利上げ継続が必要になり得る」

FXマーケットニュース。8月21日
目次

概要

  • 中国恒大集団が米連邦破産法15条の適用を申請
  • 破産法の適用によって米国内の資産を保全し、債権者からの差し押さえなどを回避しながら、米国外での債務再編に取り組む
  • FOMC7月会合の議事要旨「インフレに著しい上振れリスクがあり、金融政策の追加引き締めが必要になり得るとの認識を大半の参加者は引き続き示した」
  • 市場は11月の利上げ確率を以前より高い33%と見込んでいる
  • 7月の日本のコアコアCPIは2カ月ぶりに伸びが加速、1981年以来の高水準だった5月に並んだ

中国恒大集団が米連邦破産法15条の適用を申請

中国の不動産開発会社である中国恒大集団(エバーグランデ)が、外国企業による米国内保有資産の保全を可能にする米連邦破産法15条の適用を、ニューヨークの連邦破産裁判所に申請しました。破産法の適用によって米国内の資産を保全し、債権者からの差し押さえなどを回避しながら、米国外での債務再編に取り組むとしています。

連邦破産法15条は米国内の資産のみに影響を及ぼすわけではなく、国際的な債務再編で取引を最終的に取りまとめる過程で同条の適用申請が必要になることがあります。恒大集団は財務を巡る懸念が度々報道され、2021年12月には初めてドル建て債のデフォルト(債務不履行)が発生し、米格付け会社のフィッチ・レーティングスが長期発行体デフォルト格付けを「一部債務不履行(RD)」に引き下げました。

また、香港と中国本土に上場している国有不動産開発業者38社のうち18社が上期(1〜6月)の赤字を暫定報告しており、住宅危機が民間部門から政府系企業に拡大しつつあるのではないかと懸念されています。2022年通年の赤字企業は11社であり、7社増加しています。

市場関係者は「中国不動産部門の減速で、政府系の大手企業を含む全ての開発業者は既に打撃を受けている。下期(7〜12月)に状況が大きく改善するとは予想していない」と語りました。別の市場関係者は「重要なのは、銀行から流動性支援を引き続き受けられるかどうかだ。中小の国有開発業者については、ケース・バイ・ケースだろう」との認識を示しています。

もし多くの政府系企業が赤字となれば、デフォルトに陥った民間企業が残した未完成プロジェクトを引き継ぐ余地が狭まり、購入した住宅が中々完成しないという事態が多発することになりそうです。不動産開発大手の碧桂園が公募債でデフォルトに近づきつつあるとの報道もあり、中国経済の先行きを巡る投資家や企業、消費者の見方が急速に冷え込んでいます。

市場関係者は「中国当局が支援策を強化しなければ、多くの資産クラスが苦しむことになるだろう」との見方を示し、欧州株や商品、金、新興国通貨の保有を減らしたことを明らかにしました。米ドル人民元は急騰し、1ドルあたり7.28元と約15年半ぶりの安値水準である7.32元に迫る価格で取引を終えています。

FOMC議事要旨「利上げ継続が必要になり得る」

米連邦公開市場委員会(FOMC)が7月に開催した会合の議事要旨が公開され、インフレが鈍化しない可能性をメンバーの大半が懸念し、利上げ継続が必要になり得るとの見解が示されていたことが分かりました。7月の会合で政策金利の誘導目標は5.25〜5.5%と、22年ぶりの高水準に引き上げられていました。

議事要旨では、「インフレに著しい上振れリスクがあり、金融政策の追加引き締めが必要になり得るとの認識を大半の参加者は引き続き示した」とする一方、「経済活動は強靱で労働市場も強さを維持しているものの、引き続き経済活動に下振れリスク、失業率には上振れリスクがあるとの見解が一部の参加者から示された」ともしています。

FOMC議事要旨が想定よりタカ派だったことから、市場は11月の利上げ確率を以前より高い33%と見込んでおり、ドル円の上昇圧力になりそうです。

7月の日本のコアコアCPI、1981年以来の高水準に

7月の全国消費者物価指数(CPI)は、総合が市場予想前年同月比3.3%、結果も3.3%と結果と市場予想が一致しました。前月も同じく3.3%となっています。

生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIは、市場予想が前年同月比4.3%、結果も4.3%とこちらも結果と市場予想が一致しました。ただし、こちらは前月の4.2%からは伸びが加速しています。

コアコアCPIの伸びの加速は2カ月ぶりであり、1981年以来の高水準だった5月に並びました。生鮮食品を除く食料が9.2%上昇と、価格転嫁で高い伸びが継続しています。

CPIが日銀の想定を上回って推移した場合、金融政策の正常化観測が市場で強まると考えられます。日銀は7月公表の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、23年度の前年度比上昇率を1.8%から2.5%に大幅に引き上げましたが、7月のCPIはこれを大きく上回りました。

FXマーケットニュース。8月21日

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