パウエルFRB議長「必要なら引き締めためらわない」、豪中銀が利上げも豪ドルは下落

目次

概要

  • パウエルFRB議長「金融政策のさらなる引き締めが適切となれば、そうすることをためらわない」
  • FRBの複数の要人からインフレを警戒する発言が出たことで、ドル円は151円台半ばまで上昇
  • 豪中銀が5会合ぶりとなる利上げ再開を決定
  • さらなる金融引き締めには高めのハードルが用意されていることが示唆され、豪ドルは下落
  • 9月に開かれた金融政策決定会合の議事要旨が公表され、1人の委員が「出口に向けた準備、環境整備を進めることが重要だ」と述べていたことが分かった

パウエルFRB議長「必要なら引き締めためらわない」

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、「金融政策のさらなる引き締めが適切となれば、そうすることをためらわない」と述べました。ただし、「数カ月の良好なデータで見誤るリスクと、引き締め過ぎるリスクの両方に対処できるよう、引き続き慎重に行動していく」と説明しています。

また、FRBが目標とする2%のインフレ目標への取り組みについて、「そのようなスタンスを達成できたと確信していない」し、十分な引き締めを行ったと完全には確信を持てていないとの考えをあらためて示唆しました。市場は今回の利上げサイクルは終了したと見ており、来年6月には0.25ポイントの利下げが行われると予想していますが、パウエル議長の発言はFRBが引き締め完了を宣言する用意がまだないことを示すものとなっています。

また、FRBのボウマン理事は、米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利据え置きを支持したものの、インフレを抑制するにはさらなる利上げが必要になると考えていることをあらためて述べました。さらに、セントルイス連銀のペーズ暫定総裁も、「FOMCはインフレ鈍化の進展が鈍った場合に、政策金利をさらに引き上げる用意をしておくべきだ」との見方を示しています。

加えて、ジェファーソンFRB副議長からも、「経済見通しに強い不確実性がある場合であっても、インフレ期待が上昇し始めればFRBとして強力に対応する必要がある」との見解が示され、総じてタカ派的な発言が相次ぎました。FRBの複数の要人からインフレを警戒する発言が出たことで、ドル円は151円台半ばまで上昇して週を終えています。

豪中銀が5会合ぶりの利上げも豪ドルは下落

オーストラリア準備銀行(豪中銀)が、市場予想通り5会合ぶりとなる利上げ再開を決めました。しかし、さらなる金融引き締めには高めのハードルが用意されていることが示唆され、豪ドルは下落することになりました。

豪中銀は政策金利を0.25ポイント引き上げて4.35%とし、豪州の政策金利は12年ぶりの高水準となっています。豪中銀のブロック新総裁はインフレ率を目標に押し下げるのに「一段と確信できるようになるには、利上げが適切であると判断した」としつつ、「適切な期間内にインフレ率を目標に確実に回帰させるため、金融政策のさらなる引き締めが必要かどうかは、データやリスクを巡る評価に左右される」との見方を示しました。

さらなる引き締めについて「データ次第」とするブロック総裁の発言は、市場に「引き締めバイアスが緩められた」と受け止められ、豪ドルは主要国の通貨に対して下落が見られています。豪中銀は政策金利が4.5%前後でピークに達し、25年末までに3.5%まで低下すると予測しています。

9月日銀会合議事要旨「出口への準備が重要」

日銀が9月に開いた金融政策決定会合で、1人の委員がリスクマネジメント上、市場機能の改善や出口を見据えた市場や社会とのコミュニケーションなど、「出口に向けた準備、環境整備を進めることが重要だ」と述べていたことが、公表された議事要旨で分かりました。さらに、その委員は仮にマイナス金利を解除しても、「実質金利がマイナスであれば金融緩和の継続と捉えられる」との見解を示しました。

一方、ある委員は実質金利がマイナスでも、「金融緩和が修正に向かう動きが経済・金融に大きな影響を及ぼす可能性がある点には留意すべき」であるとしており、マイナス金利の解除については意見に隔たりが見られます。ただし、政策の修正を行う時期や具体的な対応については、「不確実性が大きく、現時点では決め打ちできない」との認識が共有されました。

また、1人の委員は「やや距離がある」としつつも、「物価安定目標の実現に近づきつつある」との見方を示しました。加えて、「今年度後半は、来年に向けた賃上げ動向も含め、その見極めの重要な局面となる」と指摘しています。

別の委員も、物価目標の実現が「はっきりと視界に捉えられる状況にある」とし、「来年1〜3月ごろには見極められる可能性もある」と指摘しました。日銀の内部では物価安定目標の達成が焦点となっており、それに向けた具体的な政策の調整や出口戦略について検討が進められていることがうかがえます。

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