日銀が17年ぶりの利上げを決定、FOMCが予想利下げ回数を3回で維持

FXマーケットニュース。2024年3月25日
目次

概要

  • 日銀が金融政策決定会合を開催し、17年ぶりの利上げを決定
  • 日銀「当面、緩和的な金融環境が継続する」
  • FOMCは今年の利下げについて、年間で計3回0.75ポイントという予想を維持
  • ある市場関係者「詳細を見ればかなりハト派」
  • 英中銀がMPCの会合を開き、政策金利を5.25%で据え置いた
  • 委員2人が利上げ主張を撤回し、市場の利下げ観測が強まった

日銀が17年ぶりの利上げを決定

日銀が金融政策決定会合を開催し、世界で最後のマイナス金利を解除して、17年ぶりの利上げを決定しました。加えて、イールドカーブコントロール政策(長短金利操作、YCC)の廃止や、上場投資信託(ETF)の新規購入の停止も決定し、2013年4月から開始された大規模金融緩和政策はついに転換点を迎えました。

政策金利はマイナス0.1%から0〜0.1%となり、ようやく金利のある世界に戻ることになります。ただし、日銀は「当面、緩和的な金融環境が継続する」ともしています。

植田日銀総裁は賃金と物価の好循環を判断する上で、春闘を重要なポイントに挙げていましたが、連合が発表した第1回回答集計で平均賃上げ率が5.28%と、33年ぶりの高水準になったことが政策判断の大きなポイントになったと指摘しました。また、今後の金融政策については「基調的なインフレ率が2%を下回っている間は緩和的環境が続くが、基調的物価が上昇していけば、だんだん緩和の程度は縮小していく」としています。

市場の関心は今後の利上げに移っており、4月に公表される経済・物価情勢の展望(展望リポート)で示される物価見通しに注目が集まりそうです。ある市場関係者は「足元の円安や賃上げ動向を踏まえると、25年前半ぐらいまでインフレ率は2%を超えるような状況が続く」とし、10月の会合での0.25ポイントの追加利上げを予想しました。

しかしながら、今後の利上げ局面では今回は支持した政治や産業界などから、反発が出ることも予想されます。日銀と植田総裁には、今後政治や産業界などとの丁寧なコミュニケーションが求められます。

日銀がマイナス金利政策を含む大規模緩和策の解除を決定したものの、円に対する売り圧力は続いてドル円は一時151円80銭付近まで上昇し、4カ月ぶりとなる高値を付けました。円安傾向の継続は、日本と各国の金利差が重視されていることを示しています。

ユーロ円も一時2008年8月以来となる164円30銭台まで上昇を見せ、円売りの加速が目立っています。欧州中央銀行(ECB)がインフレの再燃を警戒して利下げを急がない姿勢を示していることから、金利差は縮まらないとの思惑によって、ドル円だけでなくユーロ円も堅調な動きが続く可能性がありそうです。

ただ、鈴木財務相から「為替相場は安定推移が望ましい」、「高い緊張感を持って注視したい」との発言が出ており、政府・日銀による為替介入には注意が必要になるでしょう。

FOMCが予想利下げ回数を3回で維持

米連邦公開市場委員会(FOMC)は、2024年の利下げについて0.25ポイントを3回、年間で計0.75ポイントという従来からの予想を据え置きました。ただし、2025年については、最近見られるインフレの上振れを踏まえて予想する利下げの回数を減らしています。

また、FOMCは市場の予想通り5会合連続となる政策金利の据え置きを決定し、政策金利は5.25~5.5%のままとなっています。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は会合後の記者会見で、「5月または6月の会合で政策金利を引き下げるのか」との問いに対し、「初回の利下げは年内のある時点になる可能性が高い」という従来からの発言を繰り返しました。また、「インフレが目標の2%に向かっていることを示す、より多くの証拠を当局者らは目にしたいと考えている」としています。

ある市場関係者は「詳細を見ればかなりハト派だ。なぜならインフレの若干の上振れと一段の経済成長を予測しながら、利下げをテーブルに残しているからだ」と語りました。今後もハト派的な発言が続けば、ドル売りによってドル円の下落につながるかもしれません。

現在、市場は6月に利下げが開始され、年間ではFOMCと同じ計3回0.75ポイントの利下げを予想しています。

英中銀が政策金利を据え置きも利下げ観測強まる

イングランド銀行(英中銀)が金融政策委員会(MPC)の会合を開き、政策金利を5.25%に据え置きました。ただし、タカ派の委員2人が利上げ主張を撤回して5会合連続の据え置きに賛成したことで、市場の利下げ観測が強まっています。

ベイリー英中銀総裁は声明で、「我々はまだ金利を引き下げられる段階にはないが、事態は正しい方向に向かっている」としています。市場が利下げ観測を強めたことでポンドは売られ、ポンドドルの下落につながりました。現在、市場は6月の利下げ開始を予想しています。

FXマーケットニュース。2024年3月25日

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次