ユーロ圏CPIが予想を上回る伸び、米PCEは市場予想と一致も利下げへの期待高まる

FXマーケットニュース。2024年6月3日
目次

概要

  • 5月のユーロ圏CPIは総合・コア共に予想を上回る伸びに
  • 6月に利下げが実施される可能性が高いが、次回の利下げは後ずれする可能性
  • 4月の米PCEは総合・コア共に市場予想と一致したが、前月が予想を上回っていたことから市場の利下げへの期待が高まった
  • 5月の東京都区部のCPIは3カ月ぶりの伸び拡大となったが、サービス価格の伸びが鈍化しており、次の利上げの妨げになる可能性

ユーロ圏CPIが総合・コア共に予想を上回る伸びに

5月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)は、総合が市場予想前年同月比2.5%上昇、結果は2.6%上昇となり、結果が市場予想を上回りました。前月の2.4%上昇から伸びが加速しています。

変動の激しい食品やエネルギーを除いたコア価格指数は、市場予想が前年同月比2.7%上昇、結果は2.9%上昇となり、こちらも結果が市場予想を上回りました。加えて、前月の2.7%上昇から伸びが加速しています。

今月6日の欧州中央銀行(ECB)が開催する会合では4.5%から4.25%に0.25ポイントの利下げが想定されていますが、追加利下げの時期は後ずれする可能性が高まってきました。CPIはECBが目標とする2%へ向かって低下傾向ではありますが、今回総合・コア共に予想を上回り、かつ前月から伸びが加速したことは、ECBをより慎重な姿勢にさせそうです。

現在、市場は年内に2回、計0.5ポイントの利下げを予想していますが、6月に先進国で一番乗りとなる利下げに踏み切った後、2回目の利下げ時期がいつになるのかが注目されています。早期利下げ観測が強まれば、ユーロが売られてユーロドルやユーロ円の下落要因になりますが、逆に利下げがしばらく実施されないとの観測が強まれば、ユーロが買われてユーロドルやユーロ円の上昇要因になります。

ECB政策委員会メンバーのカザークス・ラトビア中銀総裁は、「初回の利下げの後に自動操縦モードに切り替えるべきではない」とし、利下げに対して慎重に進める姿勢を見せました。一方、同じく政策委員会メンバーのビルロワドガロー・フランス中銀総裁は「6月と7月両方の会合で利下げをする可能性を排除するべきではない」との考えを示しており、利下げについて積極的な姿勢です。

政策委員会メンバーのタカ派とハト派の割合や、ラガルドECB総裁の発言に注目することが、今後の利下げ時期を予想する上で大きなヒントになりそうです。

米PCEは市場予想と一致も利下げへの期待高まる

4月の米個人消費支出(PCE)は総合が市場予想前年同月比2.7%上昇、結果も2.7%上昇となり、結果と市場予想が一致しました。前月から横ばいとなっています。

食品とエネルギーを除くコア価格指数は、市場予想が前年同月比2.8%上昇、結果も2.8%上昇となり、こちらも結果と市場予想が一致しました。加えて、前月から横ばいとなっています。

3月は総合・コア共に予想を上回る伸びだっただけに、米連邦準備制度理事会(FRB)にとって一安心できる内容だったと言えるでしょう。PCEはFRBが重視する経済指標であり、市場の利下げ期待も高まっています。

現在、市場は9月に利下げが開始され、年間では計1回0.25ポイントの利下げ実施を予想していますが、今後もインフレ指標で良好な数値が出れば早期利下げ観測が高まることになりそうです。早期利下げ観測が高まれば、ドル売りによってドル円の下落要因やユーロドルの上昇要因になります。

ある市場関係者は「連邦公開市場委員会(FOMC)はインフレが鈍化するとの確信を強められる一段のデータを待っており、6月の会合では政策を据え置く見込みだ」と述べました。経済は減速しつつあり、物価上昇の再加速に対する懸念も抑えられてはいますが、まだ利下げが実施される段階には至っていないようです。

東京都区部CPIが3カ月ぶりの伸び拡大

5月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除くコア価格指数が市場予想前年同月比1.9%上昇、結果も1.9%上昇となり、結果と市場予想が一致しました。前月の1.6%上昇から、3カ月ぶりの伸び拡大となっています。

ただし、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の引き上げに伴う電気代の大幅な上昇によって、エネルギー価格の上昇が全体を押し上げた一方、賃金動向を反映しやすいサービス価格の伸びが鈍化しており、日銀は次の利上げ時期について悩むことになりそうです。また、日銀が目標とする2%に届いていないことも問題になるでしょう。

ある市場関係者は日銀の利上げ時期について、「基本は秋ぐらい。夏から秋にかけて円安の転嫁やサービスの賃上げの波及を確認するまでは、政策金利の調整は待つのではないか」との認識を示しました。

FXマーケットニュース。2024年6月3日

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次