FOMCが今年の利下げ予想を1回に、日銀が国債購入の減額を決定も具体策は先送り

FXマーケット分析2024年6月17日。
目次

概要

  • FOMCが今年の利下げ回数に関する予想を3回から1回に変更
  • パウエルFRB議長「インフレ率が持続的に2%に向かっているという確信を強めるには、良好なデータをさらに目にする必要がある」
  • 日銀が金融政策決定会合を開催し、長期国債の買い入れを減額する方針を決定
  • 7月の会合で今後1〜2年程度の具体的な計画を決め、金融市場で長期金利がより自由な形で形成されるようにする
  • 5月の米CPIは、総合・コア共に市場予想を下回る伸びとなった
  • シカゴ連銀グールズビー総裁「こうしたデータが何カ月もあれば、気分はかなり良くなるだろう」

FOMCが今年の利下げ予想を1回に変更

米連邦公開市場委員会(FOMC)が会合を開き、今年の利下げ回数に関する予想を1回に変更しました。3月の会合では3回としており、インフレ抑制のために政策金利を高水準で長期間維持するという方針が鮮明になりました。

公表された金利予測分布図(ドットプロット)では、年内の利下げはFOMCメンバー4人がゼロ、7人は1回、8人は2回と予想しています。利下げ期待が後退すればドル売りが起こりづらいため、ドル円が高止まりまたは上昇する可能性がありそうです。

また、政策金利を5.25〜5.5%で据え置くことを、全会一致で決定しています。金利据え置きは7会合連続です。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、会合後の記者会見で「直近のインフレ指標は今年の早い時期より良好な内容で、われわれのインフレ目標に向けて緩慢なる一段の進展が見られている」としつつ、「インフレ率が持続的に2%に向かっているという確信を強めるには、良好なデータをさらに目にする必要がある」として利下げを急がない姿勢を示しています。

クリーブランド連銀のメスター総裁も、「インフレに対するリスクはまだ上向きだと考えている」と語っており、FRBの高官たちは利下げに対して慎重な姿勢を崩していません。現在、市場は9月に利下げが開始され、年間では計2回0.5ポイントの利下げ実施を予想しています。

日銀が国債購入の減額を決定も具体策は先送りに

日銀が金融政策決定会合を開催し、月間6兆円程度としている長期国債の買い入れを減額する方針を決定しました。7月の会合で今後1〜2年程度の具体的な計画を決め、金融市場で長期金利がより自由な形で形成されるように減額していくとしています。

植田日銀総裁は金融政策決定会合後の記者会見で、「減額する以上は相応の規模になる」とし、具体的な減額の幅やペース、枠組みについては、「市場参加者の意見も確認しながら、しっかりした減額計画を作っていきたい」と語りました。

具体策公表の先送りを受けて、7月会合での利上げ観測が後退し、ドル円は一時158円台まで上昇を見せました。ある市場関係者は「日銀は国債減額を先送りして完全に市場の期待を裏切った。これは当然すでにある円安圧力をさらに増加させる」との見方を示しています。

ただ、前回為替介入があった160円付近では、介入への警戒感が高まることで上値が重くなりそうです。今後のドル円は植田日銀総裁が円安にどこまで対応する姿勢を示すか、米連邦準備制度理事会(FRB)高官からインフレ鈍化に一安心したような発言が出るかどうかに大きく左右されるでしょう。

米CPIが総合・コア共に市場予想を下回る伸びに

5月の米消費者物価指数(CPI)は、総合が市場予想前年同月比3.4%上昇、結果が3.3%上昇となり、結果が市場予想を下回りました。また、価格の変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア価格指数は、市場予想前年同月比3.5%上昇、結果が3.4%上昇となり、こちらも結果が市場予想を下回っています。

インフレの高止まりを警戒しているFRBにとって、今回の結果は朗報だと言えるでしょう。ただ、米国の要人からは数か月にわたるインフレ圧力の低下を示すデータが利下げには必要だとする発言が多く出ており、今後もインフレ圧力の低下が継続的に示されていくかどうかが利下げ実施のキーになりそうです。

シカゴ連銀のグールズビー総裁は5月のCPIについて、「非常に良好だが1カ月のデータに過ぎない」とし、「こうしたデータが何カ月もあれば、気分はかなり良くなるだろう」と述べています。また、ある市場関係者は「5月のCPIは心強い統計だ。個人消費支出(PCE)コア価格指数はもっと良い数字になると思われる。この夏は似たような統計が複数続き、9月に利下げを開始する舞台が整うだろう」との認識を示しました。

ただ、5月の雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想より大幅に伸び、平均時給の伸びも前月から加速し、インフレ圧力が高まることも予想されます。インフレ指標としては28日に5月個人消費支出(PCE)の発表が予定されており、こちらが大きく注目されそうです。

FXマーケット分析2024年6月17日。

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