英中銀が金利据え置きも高まる利下げ期待、日本のCPIは予想を下回るも伸び加速

FXマーケット分析2024年6月24日。
目次

概要

  • 英中銀がMPC会合を開催し、政策金利の据え置きを決定
  • ただし、MPCメンバーのうちの何人かが、利下げ見送りの決定について「微妙なバランス」としたことで、市場では利下げ期待が高まった
  • 日本の5月のCPIは総合・コア共に市場予想を下回ったものの、前月からは伸びが加速
  • 市場関係者「今回の結果は少なくとも7月の利上げの確度を上げるものではない」
  • 5月の米小売売上高は市場予想を下回る伸びとなり、これまで経済をけん引してきた消費の鈍化が鮮明に

英中銀が金利据え置きも高まる利下げ期待

イングランド銀行(英中銀)が金融政策委員会(MPC)会合を開催し、政策金利を5.25%で据え置くことを決定しました。ただし、議事要旨では9人のMPCメンバーのうちの何人かにとって、利下げ見送りの決定は「微妙なバランス」だったとされていたことで、市場では利下げ期待が高まりました。

ベイリー英中銀総裁を含む何人かのメンバーは、今年8月には利下げ支持に回ることになりそうです。サービス価格と賃金の上昇圧力は根強いものの、英国の消費者物価指数(CPI)はすでに英中銀が目標とする2%まで約3年ぶりに低下しています。

総裁は議事録と同時に発表された声明で、インフレ率が2%まで低下したことについて「朗報だ」としつつ、「インフレが低水準にとどまると確認する必要があり、そのために今のところ金利を5.25%に据え置くことを決めた」としました。

現在、市場は8月に利下げが実施される確率を50%超とし、年2回の利下げを有力視しています。ただ、サービス価格と賃金の上昇圧力を考慮すると、利下げペースがゆっくりとしたものとなり、年1回にとどまる可能性も頭に入れておいた方がよさそうです。

今回が最後のMPC会合となったブロードベント副総裁の後任となるクレア・ロンバルデリ氏が、よりタカ派的であると見られることも、利下げペースがゆっくりとしたものになりそうな理由の一つです。ある市場関係者は「再び予想を上回ったサービス部門のインフレ率が、英中銀にとって居心地の悪い数字となり、年内の金融緩和のスピードに慎重になる可能性が高い。」との見解を示しました。

日本のCPIは総合・コア共に予想を下回るも伸び加速

5月の全国消費者物価指数(CPI)は、総合が市場予想前年同月比2.9%上昇、結果は2.8%上昇となり、結果が市場予想を下回りました。ただし、前月の2.5%上昇からは伸びが加速しています。

また、生鮮食品を除くコアCPIは市場予想が前年同月比2.6%上昇、結果は2.5%上昇となり、こちらも結果が市場予想を下回りました。そして、前月の2.2%上昇からは伸びが加速しています。

エネルギー価格の上昇が、インフレ率の押し上げにつながりました。日銀の目標とする2%を上回るのは、これで26カ月連続です。

根強い円安圧力などを背景に、日銀が早期に利上げを実施するのではないかとの思惑が市場ではくすぶっています。そして、植田日銀総裁も次回の7月の決定会合での利上げの可能性について、「データ次第では十分あり得る」としています。

ただ、今回のCPIの結果は市場予想を下回ったものの、前月から伸びが加速しており、利上げ時期にどう影響するかは中々判断が難しいです。ある市場関係者は利上げを急いだ場合、「景気回復の芽を摘んでしまうリスクの方が大きい」とし、「今回の結果は少なくとも7月の利上げの確度を上げるものではない」との見解を示しています。

他の市場関係者は利上げ時期について、「市場は7月か9月で意見が割れている」とし、「8月発表の4〜6月国内総生産(GDP)で、プラス成長にならないと次の利上げは難しい」との見方を示しました。もし早期利上げ観測が後退すればドル円が160円を超える展開も想定されますが、神田財務官が「適切な対応をしっかりとっていく考えに変化はない」と語ったこともあり、160円付近では介入を警戒した神経質な値動きになりそうです。

米小売売上高が市場予想を下回る伸びに

5月の米小売売上高は、市場予想が前月比0.3%増、結果が0.1%増となり、結果が市場予想を下回りました。これまで米経済をけん引してきた消費の鈍化が鮮明になってきました。

物価上昇と金利の高止まりから、家計は生活必需品を優先し、その他の支出を減らしていることがうかがえます。消費支出の減速が継続すれば、インフレ圧力が低下して米連邦準備制度理事会(FRB)が9月の利下げに傾く可能性が高まります。

セントルイス連銀のムサレム総裁は、小売売上高のデータについて「ほとんど期待外れ」としました。また、ある市場関係者は「サービス消費支出の伸びがここ数カ月鈍化しているほか、消費者マインドの指数も再び大きく落ち込んでいる。我々は家計が金利上昇の影響を受けにくいとの考えを持ち始めていたが、そういう訳でもないようだ」と説明しました。

FXマーケット分析2024年6月24日。

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