内閣府の景気上方修正と国内外の経済動向

週刊マーケットニュース8月26~30日
目次

概要

  • 内閣府の月例経済報告が15ヵ月ぶりに景気総括判断を上方修正
  • 個人消費と住宅建設が上方修正
  • 米国の7月中古住宅販売成約指数が過去最低を記録
  • 東京都区部の消費者物価指数(コアCPI)が市場予想を上回る
  • 海外経済のリスクや国内外の物価動向

内閣府の月例経済報告: 15ヵ月ぶりの景気総括判断の上方修正

内閣府は8月の月例経済報告で、国内景気の総括判断を上方修正しました。これは昨年5月以来、15ヵ月ぶりのことです。報告によれば、「景気は一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している」とされ、従来の「このところ足踏みもみられる」という表現が修正されました。

実質国内総生産(GDP)の4-6月期速報値が2四半期ぶりにプラス成長に転じたことから、日本経済には回復の兆しが見られます。個人消費についても「一部に足踏みが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる」とされ、15ヵ月ぶりに上方修正されました。新車販売の回復や外食の増加がその要因です。また、高気温によるエアコン需要やオリンピック需要によるテレビなど家電販売の回復も見られました。

住宅建設も上方修正されました。持ち家が底堅く推移していることや、高付加価値住宅への需要が底堅いことが要因です。この上方修正は2022年6月以来、約2年ぶりとなります。

景気の先行きについては、「雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される」としています。しかし、欧米の高金利継続や中国の不動産市場停滞など、海外景気の下振れが日本の景気にリスクをもたらす可能性も指摘されています。さらに、物価上昇や中東情勢、金融市場の変動の影響にも注意が必要です。

このように、内閣府の月例経済報告は、国内景気が一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復していることを示しています。今後の経済政策運営においては、個人消費の持続的な改善や住宅建設の底堅い推移を維持することが重要です。また、海外の経済状況や国内外の物価動向にも注意を払う必要があります。

米国中古住宅販売成約指数の低下: 高価格と借入コストが市場に与える影響

7月の米中古住宅販売成約指数は予想に反して低下し、過去最低水準に達しました。この指数は前月比で5.5%減の70.2となり、予想中央値である0.2%の上昇を大きく下回りました。関係者によると、雇用増と在庫増という前向きな要因があったにもかかわらず、住宅価格と借入コストの高さが買い手を遠ざけたとのことです。また、米大統領選を巡る様子見姿勢も一部影響を与えました。

中古住宅市場は過去2年余り、高い借入コストと在庫不足が障害となってきました。今月に入り住宅ローン金利は約1年ぶりの低水準に下がりましたが、物件価格の高さや限られた在庫が、金利の一段低下を待つ購入希望者をためらわせています。ユン氏は「住宅ローン金利の低下は買い手を市場に呼び込むだろう」と述べていますが、現状ではその効果は限定的です。

7月の成約指数は全地域で低下し、特に中西部と南部での低下が顕著でした。通常、販売が成約してから1、2カ月後に取引が完了するため、この指数は中古住宅販売の先行指標とされています。今回の指数の低下は、今後の中古住宅市場の低迷を示唆しています。全体として、住宅価格と借入コストの高さが買い手を遠ざけている現状が明らかになっており、中古住宅市場の回復には時間がかかると見られます。

東京都区部の消費者物価指数の上昇と日銀の利上げ方針

8月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)が前月比で上昇し、市場予想の2.2%を上回る2.4%となりました。これは日本銀行の目標である2%を3カ月連続で上回る結果です。電気代やガス代などエネルギー価格の上昇が政府の補助金終了により影響を受けたためです。さらに、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIも1.6%上昇し、市場予想の1.4%を超えました。

日本銀行の植田和男総裁は、経済や物価の見通しが確実になれば利上げを続ける姿勢を示しています。7月末の日銀の利上げと植田総裁のタカ派姿勢、米国経済の後退懸念が重なり、金融市場が一時的に不安定化しました。この市場変動が経済や物価に与える影響が懸念される中、今回の結果は追加利上げの観測を後押しする内容といえるでしょう。

週刊マーケットニュース8月26~30日

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