世界経済の最新動向:日本のGDP、米国CPI、欧州ECBの金融政策

週刊マーケットニュース9月9日~9月13日
  • 日本の4~6月期GDPは2.9%増に下方修正されたが、プラス成長は維持。
  • 米国の8月CPIは2.5%に鈍化し、FRBは利下げを検討中。
  • 欧州中央銀行(ECB)は0.25%の政策金利引き下げを決定、景気回復を目指している。
  • 日本の成長には内需回復が鍵となり、外需には懸念がある。
  • 米国と欧州では、インフレ抑制から景気支援へと政策転換が進んでいる。
目次

日本のGDP成長率下方修正と今後の見通し

4~6月期の実質国内総生産(GDP)改定値は速報値から下方修正され、前期比年率で2.9%増と市場予想を下回りました。内閣府が発表したデータによると、個人消費は0.9%増、設備投資と公共投資もいずれも下方修正されました。これにより、2四半期ぶりのプラス成長が維持されているものの、依然として内需の力強さは欠けている状況です。

日本経済は一部自動車メーカーの出荷再開などによる回復の兆しを見せていますが、米国などの海外経済の減速が懸念されています。GDPの約6割を占める個人消費が力強さを欠く中、今後の持続的な成長には内需の回復が鍵となります。さらに、金融政策の正常化に関しては、日本銀行(日銀)が年内の利上げを行うかどうかが注目されています。

日銀総裁の植田和男氏は、経済と物価が日銀の見通しに沿って推移すれば、利上げを進める姿勢を示していますが、現時点で市場の不安定さが強調されており、9月の利上げは見送られる可能性が高いとの見方もあります。専門家は、日本経済が緩やかに回復しているものの、外需への期待は低く、内需の回復が今後の焦点になると指摘しています。

米国のCPIとFRBの金融政策の動向

米国労働省が発表した8月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比2.5%の上昇と5カ月連続で鈍化しました。市場予想の2.6%上昇を下回る結果となり、インフレの落ち着きを受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)は9月の会合で利下げを行う可能性が高まっています。CPIの上昇率は2022年6月に9.1%という約40年ぶりの高水準を記録して以来、エネルギー価格の下落やFRBの利上げにより徐々に低下しています。

特にエネルギーと食料品を除いたコアCPIの上昇率は3.2%と前月から横ばいであり、FRBが引き続き景気を下支えする方向に政策を転換することが示唆されています。パウエル議長は8月のジャクソンホール会合で、「政策を調整する時が来た」と述べ、インフレ抑制から景気回復へのシフトを明言しました。

米国では労働市場の減速が進んでおり、0.50%の大幅利下げも一部で予測されていますが、FRBが慎重なスタンスを保ちつつ、経済成長を支えるための措置を取る可能性が高いと見られています。

欧州中央銀行の利下げと景気回復への取り組み

欧州中央銀行(ECB)は9月12日の定例理事会で、政策金利を0.25%引き下げることを決定しました。これにより、民間銀行が中央銀行に預ける預入金利は3.75%から3.5%、主要政策金利は4.25%から3.65%に引き下げられました。欧州ではインフレが徐々に落ち着きつつあり、ECBは景気回復を図るための金融緩和策を進めています。

ECBは2022年7月から利上げを続けてきましたが、6月の会合で約5年ぶりに利下げを実施し、今回もその流れを受けた措置となりました。ユーロ圏の8月の消費者物価上昇率は前年同月比2.2%と、約3年ぶりの低水準まで下がり、インフレ抑制が進んでいます。

一方で、賃金の上昇によりサービス価格の上昇率が4%を超えており、インフレ再燃の可能性も考慮されています。ラガルド総裁は「会合ごとにデータに基づいて判断する」と述べ、今後の利下げのペースは慎重に見極められる見通しです。欧州経済には下振れ懸念が残っており、特にドイツをはじめとする主要経済国の動向が今後の政策判断に大きな影響を与えるとされています。

週刊マーケットニュース9月9日~9月13日

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