概要
- オーストラリア準備銀行(RBA)は12年ぶりの高水準で金利を維持し、インフレ対策に注力。
- 日銀は円安に伴う物価上昇リスクを懸念し、追加利上げを決定。
- 米国経済はソフトランディングのシナリオが現実味を帯びている。
- 東京都区部の消費者物価はエネルギー価格の鈍化により上昇率が縮小。
- 金融市場は依然として不安定で、為替動向が金融政策に影響を与える可能性がある。
豪中銀、12年ぶりの高水準に金利維持
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は、オフィシャル・キャッシュレートを12年ぶりの高水準である4.35%に据え置くことを決定した。据え置きは7会合連続で、根強いインフレリスクへの警戒が続いている。関係者全員が金利据え置きを予想していた。
RBAのブロック総裁は、当面は金利の現状維持が続く見込みだが、「どちらの方向にも対応できる」姿勢を示した。投資家の間では利下げ期待が後退し、金融政策に敏感な3年債の利回りは3.55%を維持している。一方、豪ドルは2023年7月以来の高値付近に上昇し、今後の為替動向が注目されている。
日銀、円安の物価上昇リスクを警戒し追加利上げ
7月30・31日に行われた日本銀行の金融政策決定会合では、円安の進行に伴う物価上昇リスクに対する警戒が強調されました。会合の議事録によれば、複数の委員が為替の影響で輸入物価が再び上昇していることに触れ、物価の上昇が中小企業のコストや家計の消費意欲に与える影響を慎重に見極める必要があるとの意見が出されました。
また、消費者物価の前年比上昇率が2%を超える状況が続いているため、この指標が政策判断においてますます重要な要素になるとの認識も広がっています。こうした状況を踏まえ、日銀は追加利上げを決定し、長期国債の買い入れ減額も実施しました。
しかし、金融政策の正常化に際しては、慎重なリスク管理が求められています。ある委員は、経済の成長や物価の安定が確認された段階では、緩やかな調整が適切であるとの意見を示し、別の委員は最低でも中立金利1%を目指すべきだと主張しました。
一方で、金融政策の正常化自体が目的化することは避けるべきだという意見もあり、市場での過度な利上げ観測がリスクとなることが懸念されています。日銀は引き続き為替や物価の動向を慎重に監視しながら、柔軟な対応が求められる状況です。
東京消費者物価、エネルギー価格鈍化で上昇率縮小
9月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、前年比2.0%上昇と市場予想と一致しており、5カ月ぶりに縮小した。特に電気・都市ガス料金の補助金再開で、エネルギー上昇率は9.5%に縮小している。一方、米の値上がりが続き、生鮮食品を除く食料は2.8%上昇と2カ月連続で伸びが拡大した。生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは1.6%上昇と前月から横ばいで、市場予想と同じだった。
日銀は、経済や物価の動向が見通し通りに進めば、引き続き利上げを進める方針を固めています。しかし、米国経済の不透明感が強まる中、警戒感が増している状況です。また、大幅な円安修正により物価が急上昇するリスクが緩和されたため、植田和男総裁は「政策決定には時間的な余裕がある」と述べています。現在、早期の追加利上げの可能性は後退していますが、今回の結果を踏まえれば、政策の正常化が引き続き維持される見通しです。