米9月75bpの利上げ観測強まる、米ドル高はさらに進行か

目次

概要

  • 5月の米消費者物価指数(CPI)が予想を上回る結果となり、9月は政策金利の75bpの利上げに踏み切るとの見方が急浮上。
  • 10日の米株式マーケットは軒並み急落も米ドル/円は小動き、売りポジションの利益確定が起きた可能性が考えられる。
  • 米消費者信頼感指数が過去最低水準となり、経済成長の減速につながる恐れ。14日に発表される米生産者物価指数の結果次第では、物価上昇圧力のさらなる強まりも。
  • 17日は日銀の政策金利発表が予定されており、政策金利は-0.1%で現状維持の見込み。発表後の記者会見で、急激に進む円安について黒田総裁から重要な発言があるかに注目。

米CPIが前年比8.6%上昇、9月75bpの利上げ観測強まる

5月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比予想8.3%、結果8.6%と予想を上回る結果となりました。エネルギーやガソリンの急騰などが主な原因として考えられ、8.6%は前年同月比の伸び率として40年ぶりの高さ更新です。

今回のCPIの予想を上回る結果を受けて、マーケットでは米連邦準備制度理事会(FRB)が50bp(0.5%)の利上げを9月まで続けるとの観測が強まりました、さらに、9月には75bpの利上げに踏み切るとの見方も急浮上しています。

6月16日未明の政策金利の利上げ幅はほぼ確実に50bpであると予想されているものの、7月は75bpの利上げをおこなう確率が20%程度とマーケットでは予測されています。

さらには、9月は50bpの利上げをおこなう確率が41%程度、75bpの利上げをおこなう確率は今回のCPIの結果を受けて急激に増加し48%程度となりました。

利上げ幅が大きくなれば米ドルが主要通貨に対し、より一層強くなることが予想されるため今後の展開に注目すべきでしょう。

米株式マーケット急落も米ドル/円は小動き

6月10日の米株式マーケットはダウ工業株30種平均が-2.73%、S&P500種株価指数が-2.91%、ナスダック総合指数は-3.52%と急落しました。インフレ抑制を重視することで、経済成長が妨げられるとの懸念が強まったことが主な原因と見られています。

テクニカル的には、S&P500種株価指数は2番底を付けており、5月に付けた底値をテストしています。MACDもデッドクロスして下落トレンド入りを示唆しているため、下落の継続に注意が必要でしょう。

S&P500種株価指数チャート

2022年6月、米ドル/円にあまり値動きがなかった様子

米ドル/円に関しては、数週間大きく円安が進行していましたが、前日に続いて東京時間の下落幅をニューヨーク時間の上昇で戻す動きとなりました。そのため、結果として今週末はあまり値動きがありませんでした。株価や債券、仮想通貨が急落する中で米ドル/円があまり動かなかった理由としては、たまっていた米ドル/円の売りポジションの利益確定が大量に発生した可能性が考えられます。

米消費者信頼感指数が過去最低水準、経済成長の減速につながる恐れ

6月10日に発表された米消費者信頼感指数速報値は予想58.1、結果50.2となり、過去最低水準に落ち込みました。回答者の46%が悲観的な見方の理由として物価上昇圧力を挙げており、急激に進むインフレが家計への大きな打撃になっているようです。

米消費者はインフレに収入の増加が追いつかないと感じており、消費者心理の悪化は支出の削減、さらには経済成長の減速につながる恐れがあると言えるでしょう。

また、6月14日には米生産者物価指数(PPI)が発表されるため、予想よりも結果が高い場合には物価上昇圧力がさらに強まることが考えられます。

急激な円安続く、記者会見での黒田総裁の発言に注目

マーケットでは主要通貨に対し、急激な円安が続いています。米ドル/円は20年2カ月ぶりに133台を付けた後、134円台まで上昇しました。理由は、主要国が軒並み金融引き締めに進む一方で、日本だけが金融緩和の姿勢を崩さないためです。

日銀の黒田総裁は、金融政策に関しては現在の金融緩和を粘り強く続けると繰り返し発言しており、米ドル/円が135円を付ける可能性は十分にあると言えるでしょう。さらに、黒田総裁は円安についても日本経済に全体としてプラスとの考えを明確にしており、日本以外の主要国の積極的な利上げ観測が強まる中、真逆とも言える姿勢の違いが生まれています。

主要国の具体的な動きを見ると、米連邦準備理事会(FRB)だけでなく、欧州中央銀行(ECB)も7月に利上げを開始するとの観測が強く、オーストラリア準備銀行(RBA)はマーケットの予想を上回る50bp(0.5%)の利上げをおこないました。

6月17日には日銀の政策金利発表が予定されており、政策金利は-0.1%と現状維持の見込みです。しかしながら、インフレーションや金利関連の指標や話題には注目が集まっており、政策金利発表後におこなわれる記者会見で、急激に進む円安について黒田総裁から重要な発言があるかどうか注意すべきでしょう。

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