ダウ理論という言葉を知っている人は多いと思いますが、具体的にダウ理論を使ってトレードしている人は多くないかもしれません。しかし、ダウ理論は相場の基本になる概念で、ダウ理論だけを使ってトレードを組み立てると、非常にシンプルなセオリーで高い勝率で利益を上げることができます。
本記事ではダウ理論とダウ理論を使ったシンプルかつ高勝率なトレード手法を解説していきます。
ではまず、ダウ理論から見ていきましょう。
ダウ理論の基本を知ろう
ダウ理論はアメリカのチャールズダウ氏が提唱したマーケット理論で、さまざまな相場でその理論の正しさが証明されていて、為替相場も例外ではありません。
ダウ理論は6つの基本法則から成り立っています。
ダウ理論の6つの基本法則
トレード手法の前にダウ理論の6つの基本法則を簡単に説明します。ダウ理論を使ってトレードするためにはこの6つの基本的理論の中の最後の法則6を使います。
法則1 価格はすべての事象を織り込む
現在の市場価格は、市場に影響を与えているすべての要素を織り込んでいるという考え方です。例えばドル円が134円ならば、その価格が円安要因、米国の金利、株価、資源価格の高騰などの要素をすべて織り込んでその価格になっていると考えます。
法則2 トレンドは短期、中期、長期の3種類がある
短期トレンド 数時間~3週間程度
中期トレンド 3週間~3か月程度
長期トレンド 3か月~1年以上
法則3 長期トレンドは3段階から成る
第1段階 先行型の投資家が売ったり買ったりする相場でトレンドの出始めの場面
第2段階 多くの投資家がトレンドを意識して大きくトレンドが伸びる場面
第3段階 先行投資家が利食いはじめる、トレンドの最終局面
法則4 トレンドは複数の銘柄で確認される
例えば円売り相場であれば、ドル円だけでなく、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円などの複数の銘柄で円売りが確認されることでより強く継続するトレンドがわかります。
法則5 トレンドは出来高でも確認されなければならない
為替では出来高を正確に確認することは困難ですが、株などの場合は強いトレンドが出ているときは出来高も多くなります。
法則6 トレンドは明確な転換サインがでるまで継続する
相場に一旦トレンドが発生すると、そのトレンドははっきりとした転換サインが出るまではそのトレンドが続きます。この性質を利用してトレードを仕掛けることでシンプルな手法にもかかわらず、高い勝率と利益率を上げることが可能です。
ダウ理論の6番目の法則を使ったトレード手法はシンプルでありながら安定した利益を上げられる手法なので、まずこの6番目の法則を理解するために、トレンドと転換サインについて見ていきましょう。
トレンドとトレンドの転換サインは具体的にどういう形?
トレンドには明確な定義があり、そのトレンドが転換するときにはいくつかのパターンがあるので、順番に見ていきましょう。
トレンドとは?
相場のトレンドとは以下のように定義されます。
上昇トレンドの場合は、高値が連続して切りあがり、安値も連続して切りあがっている状態です。
下降トレンドの場合は、高値が連続して切り下がり、安値も連続して切り下がっている状態です。
実際のチャートで上昇トレンドと下降トレンドを見てみましょう。
上昇トレンド
下降トレンド
このようなジグザグのトレンドはどの時間足でも見つけることができます。
明確な転換サインとはどんなサイン?
転換サインはトレンドの定義が破られた場合がトレンド終了のサインと見ることができます。
具体的には上昇トレンドの場合、高値の切り上げ、安値の切り上げが止まり、高値が切りあがらなくなったり安値が切り下げたりした場合がトレンド転換サインとされます。下降トレンドの場合はその逆の形です。
実際はトレンドが終わったことが逆向きに動き出したサインとはならないことも良くあります。トレンド転換となる場合と、トレンドが終了しそこからレンジ相場になる場合です。
どちらの場合でもそれまでのトレンドが終わったことは間違いありませんから、トレンドに乗ってトレードしていたならば、そこがポジションクローズを考慮する場所になります。また、チャートのパターンに転換パターンというものがあり、以下のような形はトレンドの転換サインのチャートパターンです。
上昇相場から下降相場への転換サイン
ダブルトップ
1つめの高値と同じ場所で2つ目の高値が止まり、それ以上上昇しないで下落していくパターン。
トリプルトップ
1つ目の高値と同じ場所で2つ目の高値が止まり、一度下落して再度上昇してきて3つ目の高値も1つ目の高値を超えられず直近安値を割り込んで下落するパターン。
ヘッドアンドショルダーズトップ(三尊天井)
1つ目の高値を2つ目の高値が超えたところまでは上昇トレンド継続の形ですが、3つ目の高値が2つ目の高値を超えられず、下がってしまい、直近安値を割り込んで下落していくパターン。
下降相場から上昇相場への転換サイン
ダブルボトム
1つめの安値と同じ場所で2つ目の安値が止まり、それ以上下落しないで直近高値を超えて上昇していくパターン。
トリプルボトム
1つ目の安値と同じ場所で2つ目の安値が止まり、一度上昇して再度下落してきて3つ目の安値も1つ目の安値を超えられず直近高値を更新して上昇するパターン。
ヘッドアンドショルダーズボトム(三尊底)
1つ目の安値を2つ目の安値が超えたところまでは下降トレンド継続の形ですが、3つ目の安値が2つ目の安値を超えられず、上がってしまい、直近高値を更新して上昇していくパターン。
トレンドを狙ったトレード戦略
それではトレンド相場でどのようにトレードするのか、具体的なトレードのやり方について解説します。
押し目買いと戻り売り
トレンド相場でのトレード手法は「押し目買い」と「戻り売り」に徹することが大切です。相場の動くパターンはジグザグの形で上昇したり下降したりすることがほとんどです。日足で1本の陽線が出た場合でも、1時間足や5分足にすることで上がったり下がったりのジグザグが現れます。
上昇相場の場合、ジグザグのどこで買うことが一番良いかを考えると、上がっている最中ではなく、一旦下がったところで買えば良いことがわかります。
この一旦下がった場所を「押し目」といいます。どんなに勢いよく上がっているように見えても必ず相場は息継ぎをするように押し目を作ります。その押し目を狙います。
それでは具体的な押し目買いの方法を説明します。
トレンド相場での押し目買いの手順をわかりやすく解説
ここではデイトレードからスイングトレードをサンプルにトレード手順を解説します。
手順1
まず、週足や日足のチャートを確認し、トレンドが出ているかどうかを確認します。FX初心者の場合はトレードする通貨ペアを限定している人も多いと思いますから、その場合は忍耐強くトレンドを待ちます。
もし複数の通貨ペアをトレードしている場合は、トレンドの出ている通貨ペアで「のみ」トレードします。
手順2
トレンドが出ている通貨ペアを選択したら、チャートの時間設定を1時間にします。1時間足でジグザグがよくわかる場合は1時間足でトレードします。1時間足でジグザグが見つからない場合は、さらに15分足や5分足にすることでジグザグが見えてきます。
手順3
押し目の目安をつけます。どのあたりで下落が止まり、反転して上昇を始めるのかを予め予測する方法です。
押し目の目安を見つける方法は2つあります。
押し目の目安ポイント
1 前回高値付近
トレンド相場の場合、前回高値まで値が下がってきたところで反転して上昇することがよくあります。前回高値に水平線を引いておくことでその目安が簡単にわかります。
2 フィボナッチリトレースメント
直近安値から直近高値に向かってフィボナッチリトレースメントを引きます。38.2%、50.0%、61.8%のあたりで押し目をつけることが良くあります。また、38.2%~61.8%までの範囲を押し目買いのゾーンと捉えることもできます。
次は買いポイントの見つけ方です。
買いポイント
1 押し目のトレンドラインのブレイク
上昇トレンドの押し目は上昇中の小さな下降トレンドと見ることができます。したがってその下降トレンドが破られた位置でエントリーする方法です。
買いポイント2 直近高値のブレイク
トレンドは転換パターンが出現するまではトレンドが継続するので、高値が更新された位置も買い場になります。
ここまではダウ理論を使ってどこでエントリーをしたら良いかを解説しました。上がっているならどこで買っても良いというわけではなく、できるだけリスクを小さくしつつ勝率を上げるためには、上昇トレンド相場なら押し目買い、下降トレンド相場なら戻り売りをすれば良いことが分かったと思います。
また具体的にどういう形のどこで買えば良いのかも理解できたことでしょう。エントリーがわかったら、次はどこで利益を確定させるのか、また相場が反転してしまった場合はどこで損切りするのかを決めなければなりません。トレンド相場での利益確定と損切りについてもルールがありますから、次回の記事で具体的に解説します。
まとめ
本記事では相場の基本であるダウ理論を使って具体的にどこでエントリーしたら良いのかを上昇トレンドをサンプルに解説しました。
感覚的にトレードするのではなく、ルールに従ってトレードすることで安定して利益が残せるようになるので、何度も練習してトレードの基本をしっかりと自分のものにしましょう。