FX取引で初心者に最もおすすめされる通貨ペアは、間違いなくドル円です。ドル円は取引量が多く、情報収集が容易で、日本人にとって最も取引しやすい通貨ペアの一つです。本記事では、ドル円の特徴や、なぜ初心者に適しているのか、また円高と円安の要因について詳しく解説します。FXでの成功の第一歩として、ドル円取引の基本を押さえましょう。
初心者におすすめな通貨ペアはドル円⁈
ドル円はFXに慣れていない初心者に最もおすすめできる通貨ペアの1つです。まずは、なぜドル円がおすすめなのかという理由について明らかにしていきましょう。
初心者にはドルストレートがおすすめ
「ドルストレート」という言葉を聞いても、FX初心者の方はすぐに理解できないかもしれません。簡単に言うと、ドルストレートは「ドル」が絡む通貨ペアのことを指します。例えば、ドル円、ユーロドル、ポンドドルなどがこれに該当します。
よく、FX初心者にはドルストレートでのトレードが推奨されています。では、なぜ多くのプロトレーダーが初心者にドルストレートを推奨するのでしょうか。
ドルストレートは取引量が多い
ドルストレートの最大の特徴は、取引量が多く価格の動きが安定していることです。ドルは世界の主要通貨であり、国際的な輸出入やエネルギー取引に広く使われています。日本で生活していると直接感じることは少ないかもしれませんが、実は私たちも間接的にドルを使って生活しています。例えば、輸入食品や石油は元々ドル建てで取引されているものです。
FX市場においても、ドルは取引量が非常に多い通貨です。取引量が多い通貨は、さまざまな用途で使われるため、価値が急激に変動することが少ない特性を持っています。この安定した価値と、チャートの動きがテクニカル分析に適しているため、ドルストレートはFX初心者にとって取引しやすい通貨ペアです。
初心者がドルストレートで取引の経験を積んだ後、さまざまな通貨ペアに挑戦することは、プロトレーダーへの道を歩む上での理想的なパターンと言えるでしょう。
情報収集のしやすさもドルストレートの特徴
ドルストレートのもう一つの大きな特徴は、情報収集がしやすいことです。トレーダーを目指す上で、情報収集は仕事や勉強と同じくらい重要です。ドルは世界中で広く取引されている通貨であるため、日々のニュースや市場の動向に関する情報を容易に得ることができます。
FX取引を行う中で、自分のトレード戦略が市場でどれほど効果的かを試したくなることがあります。流通量が多いドルを使えば、対立するポジションを取るトレーダーの心理や最新のニュースを参考にしながら、自分のトレード戦略を簡単に練ることが可能です。ドルストレートは比較的予測しやすい値動きをするため、トレード戦略を論理的に検証するのに最適な練習場となります。
日本人にとってドル円が最も取引しやすい
数多くあるドルストレート通貨ペアの中で、日本人が最も取引しやすいのがドル円です。日本人が普段使っている「円」は身近な存在であり、日本で過ごしていれば日本経済の情報を容易に得ることができます。
ドル円は日本経済と密接な関わりを持つため、日本人にとって取引しやすい通貨といえるでしょう。FX初心者が取引を始めるなら、まずはドル円から取引するのがおすすめです。
FXにおけるドル円の特徴とは？
米ドルは世界最大の取引量を誇る基軸通貨で、アメリカ国内だけでなく、国際貿易や金融取引の決済にも広く使用されています。米国は人口の若返りと高い成長潜在力を持ち、かつての「双子の赤字」も改善しています。特に、シェール革命によるエネルギー生産の増加が経常赤字の縮小に貢献しています。
米ドルの市場での役割
ユーロ圏など他の地域が経済的な困難に直面している中、米ドルは為替市場で中心的な役割を続けています。そのため、米ドルに関する情報は円だけでなく、他の通貨に対しても重要です。
米ドルの安定性と流動性
米ドルは流動性が高く、相場変動が比較的小さいです。リスク回避時には、日本円とともに安全資産として選ばれる傾向にあります。米ドルの動きは主に米国の経済ニュースに影響され、これらの情報は容易に入手できるため、理解しやすい通貨と言えます。
米ドル取引において金融政策と経済指標が鍵となる
米ドルを理解する上で重要なのは金融政策です。FRB（連邦準備制度理事会）は年に8回FOMC（公開市場委員会）を開催し、金融政策を決定します。
特に、4回のFOMCでは経済見通しや金融政策予想が公表されます。
また、毎月第一金曜日に発表される雇用統計は、FRBの物価安定と雇用最大化の使命を反映し、金融政策に大きな影響を与えます。小売売上高、物価統計、企業景況感指数、ベージュブックなどの経済指標も重要です。
さらに、債券（金利）や株価の動向も米ドルと密接に関連しており、グローバルな金融市場にも大きな影響を及ぼします。これらの要素をチェックすることが、米ドル取引の鍵となります。
FXでドル円を取引する時に重要な「円高」と「円安」
よく国内メディアでは日本を「借金大国」と報じられますが、実際には日本は世界最大の対外純資産を持つ国です。このため、日本円は世界的にリスクが低い資産として認識されています。
メディアが指摘する「国の借金」についてですが、この借金は実際には「政府」の借金であり、その貸し手は国民です。つまり、日本は政府の借金と家計の資産の両方が莫大にあるという状況にあります。さらに、政府の借金は自国通貨であり、ほとんどが国内で消化されています。
政府は通貨を発行する権限を持っているため、現在のデフレ状況では政府の借金は大きな問題にはならないとされています。
真に問題となる「政府の借金」は、自国通貨以外で海外から借り入れたものです。例えば、新興国が米ドルで借り入れる債務や、通貨EURを発行する権限を持たないギリシャのような財政問題がこれに該当します。しかし、日本はこれらの国々とは根本的に異なる状況にあります。
ドル円を取引する時には「円高」と「円安」が重要となります。それではどのような要因で円高、円安が引き起こされるのでしょうか。
円高要因
主な円高要因としては下記のものがあげられます。
経常収支黒字
日本は、政府や生命保険会社などの機関投資家が大量の外国債券を保有しており、その総額は中国を上回り世界一位です。リスクが高まった場合、日本はこれらの米国債などを売却し、円に換えることが可能です。もし米国債を売却したとすると、為替市場には外国通貨の供給が増え、日本円の量が減少します。結果として、これは円の価値を高める要因となります。
さらに、日本が保有する外国債券が満期になったり、利子を受け取ったりする際に、その外貨を円に換えることもまた、円の価値を高める要因となります。このように、日本の外国債券保有は為替市場において重要な役割を果たしており、円高の要因となることがあります。
貿易収支
日本の貿易収支が以前ほどの大幅な黒字ではなくなったため、円高への圧力は減少しています。しかし、輸出企業が海外で商品を売り、得た外貨を円に換える（円転）行動は、依然として円高の要因となり得ます。
輸入企業は通常、決められた決済日に合わせて外貨を調達する必要があります。一方で、輸出企業は海外で商品を売って得た外貨をいつ円に換えるかを自由に決めることができます。そのため、市場が円安に動いたときは、輸出企業にとって円転のチャンスとなります。
また、将来の円高を予想している場合、事前に円転を行うこともあります。このような企業の行動が、円の価値に影響を与える要素となっています。
有事には円買いが起こることも
以前は戦争や金融危機などの緊急事態に米ドルが買われる「有事のドル買い」が一般的でした。しかし、最近では日本が戦争や紛争から距離を置いていることが評価され、「有事の円買い」という現象がよく見られるようになりました。
米国が戦争や紛争に関与する場合、または米国の金融政策に関する不確実性が高まる場合、投資家はリスク回避のために米ドルを避け、安全な資産と見なされる日本円を買う傾向があります。
国際的な緊張や不安定な経済状況の中で、円が安全な避難先として選ばれやすい傾向にあります。
円安要因
主な円安要因としては下記のものがあげられます。
対外直接投資の影響
日本企業が海外でのM&A（合併・買収）を行ったり、低金利の日本国債からより金利の高い海外債券へ資金を移したりすると、市場に円が供給されます。これは円安の要因となり得ます。
金利差とキャリートレード
日本銀行が続ける非伝統的な金融緩和策により、日本円は低金利通貨となっています。このため、低いコストで円を借りて外貨資産を購入し、収益を得る「キャリートレード」の対象となっています。特に、日銀のマイナス金利政策は、円を保有するコストを増やし、円安をさらに促進しています。
日銀とFRBの政策の影響
日本はしばらくゼロ金利政策を続ける見込みで、日銀の政策は市場にあまり注目されていません。一方で、米国連邦準備制度理事会（FRB）の動向は注目されています。しかし、2013年の「黒田バズーカ」第1弾から2016年のマイナス金利導入までの期間は、日銀の政策に世界が注目し、そのたびに為替市場で大きな値動きが見られました。
まずは少額でドル円取引を試してみよう
FX取引を始める初心者は、まず「多くの人が取引する通貨は安定した値動きが期待できる」という点を覚えておきましょう。この中で、ドル円は特にテクニカル分析が有効な通貨で、学んだテクニカル分析や最新ニュースを基にした取引に適しています。
初心者がマイナーな通貨で大きく稼ぎたいと考えるのは自然ですが、成功するためには基本をしっかりと学ぶことが重要です。多くのプロトレーダーもドル円の取引で力をつけてきました。まずはドルストレートの通貨ペアで、長期的に利益を出すスキルを身につけましょう。
ドル円からFX取引をスタートしよう
FX取引のスタートとして、ドル円は初心者に最適な通貨ペアです。取引量の多さ、情報収集の容易さ、そして日本人にとっての取引しやすさがその理由です。本記事では、ドル円の特徴、米ドルの市場での役割、安定性と流動性、さらに円高と円安の要因について詳しく解説しました。これらの知識を活用し、FXでの効果的なトレードを目指しましょう。初心者の方は、ドル円からFX取引を始めてみてはいかがでしょうか。
