FXトレーダーは同じチャートを見てトレードしたとしても、億単位で稼ぐトレーダーもいれば負けてばかりのトレーダーもいます。本記事では億単位を稼ぐ億トレーダーと負けトレーダーを分ける決定的なメンタルの違いについてシチュエーション別に解説します。
億トレーダーは強靭なメンタル(精神力)を持っている?
答えはNOです。
億トレーダーは強靭でタフなメンタルを持っているとイメージされる人が多いかもしれません。もちろん、そのような億トレーダーもいるかもしれませんが、多くの億トレーダーは強いメンタルを持っているわけではない「普通の人」です。ただ、億トレーダーと負けトレーダーのメンタルには「強さ」以外の大きな違いがあることも事実です。では何が違うのか具体的例を見ていきましょう。
トレード前のメンタルの違いは?
億トレーダーと負けトレーダーはトレードする前の段階で相場に対する気持ちの持ちようや意識が全く違います。
例1 勝ち負けにこだわらない
- 1回1回のトレードで勝ちたい、負けたくないと強く思っている
- 1回1回のトレードでお金を儲けたい、損をしたくないと強く思っている
- 1回1回のトレードの勝ち負けには一喜一憂せずこだわらない
- トレードと金銭感覚を切り離しているため平常心を保てる
例2 勝とう、儲けようと思って相場を見ていない
- ここでエントリ―したらいくら儲かる!と思って相場を見ている
- ここでエントリ―したら勝てる!と思って相場を見ている
- リスクリワードが有利な場所を探している
- ここでエントリ―したらどのくらいの勝率が想定できるのかを見ている
文字で表すと一見似たようなメンタルに見えるかもしれませんが、相場に対する考え方や意識の持ち方は決定的に違います。
当然自分中心で感情に左右されるより、相場中心に客観的な視点から相場に臨んだ方が、多くの利益が期待できます。

トレード中のメンタルの違いは?
億トレーダーと負けトレーダーのトレード中(ポジション保有中)のメンタルの違いを見てみましょう。
例1 含み損のあるとき
- 早く含み益になってほしいという感情に支配されている
- 最悪プラスマイナス0で逃げたいと強く思っている
- ナンピンしてでも損切りは避けたいと計画にはないナンピンを考えている
- 損切り位置をずらしてもポジションを守って損失確定を避けたいと思っている
- 自分のポジションのことは気にしていない
- 相場の動く方向だけに集中し、自分のポジションの優位性が無くなれば損切り位置手前でも早く損切りしようと準備している
例2 含み益があるとき
- やった!儲かっている!と喜んでいる
- 含み益が少しでも減るといやだから早く利益を確定したいと焦っている
- 今いくら儲かっているのかを常に気にしている
- 自分のポジションのことは気にしていない
- 相場の動く方向だけに集中し、自分のポジションの優位性が高くなれば利益確定位置は利益が増える方向に伸ばそうと考えている
このように、億トレーダーと負けトレーダーはポジションを保有している時の心理状態も大きく違うため、損切りや利益確定の決断に大きな差が出ます。ではなぜこのようなメンタルの違いが生まれるのでしょうか、その謎を解明していきましょう。
メンタルの違いを生む3つの原因とは?
ではどうしてこのようなメンタルの違いが出てきてしまうのでしょうか?億トレーダーと負けトレーダーのメンタルについて、決定的な違いを生む3つの原因を説明します。
- 自分のトレードデータを持っているか
- 資産計画があるか
- 自己分析ができているか
1 自分のトレードデータを持っているか
億トレーダーは自分の技量や成績を勝率とプロフィットファクター、リスクリワードといった数値で把握しています。

例えば以下のようなトレードデータがあるとします。
- 今月は東京時間のドル円の買いの勝率が80%ある
- 今月は豪ドルドルの勝率が45%しかない
- ユーロドルのNY時間の勝率が70%から50%に下がってきた
- ポンドドルの欧州序盤の1回目のトレードの勝率が90%ある
このようなデータがあれば、トレーダーは以下のような選択ができます。
- 東京時間のドル円の買いトレードのポジション数を増やす
- しばらく豪ドルドルはトレードしない
- ユーロドルはNY時間にトレードしない
- ポンドドルの欧州序盤1回目のトレードのポジションを増やす
このようにデータに基づいた根拠のある具体的なトレード戦略を立てることができます。つまり、勝率の低いトレードを控え、勝率の高いトレードに資金を集中させることで、資金を効率的に増やすことができるのです。
2 資金計画があるか
今の自分のトレード成績を維持すれば、いつ、いくらくらいになるのかを予測でき、1回1回のトレードに一喜一憂することなく、常に長期的視野に立ってトレードに臨むことができます。
毎日平均0.28%の利益を出すことができれば、複利運用で1年で100%の利益となり、資金は2倍になります。10万円の証拠金の場合、0.28%の利益とは280円です。
どうでしょうか?毎日0.28%なら無理なくできそうな目標と思える数字ではないでしょうか?
もし、毎日平均1%の利益を出すことができれば、年間利益は1200%になり、資金は12倍になります。
このように今のトレード成績を維持することでいついくらになるのか、資金を見通すことによって、今日のトレーダーとしての自分を律する気持ちが非常に強くなります。つまり、1回1回のトレードに感情的になったり、勝ちにこだわるのではなく、自分のトレードルールに則って、毎日同じことを淡々と繰り返そうとするトレードメンタルが出来るのです。
3 自己分析ができているか
億トレーダーは自分の性格を冷静に分析し、自分の性格やライフスタイルに合ったトレードスタイルを確立しています。
せっかちな性格だから長時間ポジションを保有すると疲れる、もしくは正しい判断ができなくなる
↓
瞬間的な判断が苦手でものごとを時間をかけてじっくり考える性格
↓
トレードできる時間は夜9時以降に限られる
↓
売りと買いで勝率が大きく異なる
↓
億トレーダーのメンタルを作るには?
億トレーダーと負けトレーダーのメンタルの違いと、その理由が理解できたと思います。次に億トレーダーのメンタルを作るための2つのポイントについて解説します。
損切りを負けだと思わない
勝ち、負けという言葉には価値判断が含まれていて、「勝ち」=「得した」=「良いこと」、「負け」=「損した」=「悪いこと」と頭の中で自動的に認識されますが、トレードに関してはこの公式は当てはまりません。トレードでは「負け」=「悪いこと」ではなく、逆に含み損が大きくなっているのに「いつまでも負けない(損切りしない)こと」=「悪いこと」という公式が成り立ちます。
億トレーダーのメンタルを作るためには、まず「損切り=負け=損=悪いこと」という概念を書き換える必要があります。
損切りは損失を確定したことに違いはありませんが、それ以上損失が大きくなることを止めたという側面もあります。つまり、「損切り=それ以上損が大きくなることから資金を守った=正しい行為=良いこと」とも認識できます。
トレーダーは損切りでも利益確定でも、自分のポジションが相場の動きに対して優位性を失ったら直ちにポジションをクローズすることが仕事です。
したがって適切なポジションクローズはすべて正しい行為であり、すべてのポジションコントロールは勝ちなのだ、と認識しましょう。
このように考えることで、1回1回のトレードで勝ちたいという気持ちや稼ぎたいという気持ちを抑え、一喜一憂することなく、冷静にトレードすることができます。

成績を数値で客観的に把握する
勝率55%で1回ごとのトレードのリスクリワードが1:1のトレーダーがいたとします。
- このトレーダーが証拠金100万円からこのままトレードを続けていくことで億トレーダーになる確率は何パーセントくらいあるでしょうか?
-
100%です。
いつ億トレーダーになるかはわかりませんが、数学的に100万円が1億円になるのは時間の問題です。
次に、今やっていることを淡々と繰り返せば、時間の問題で億トレーダーになれる、というトレーダーはどのような心理状態かを想像してみましょう。
・今と同じことを継続しよう、そして今と違うことはやらないようにしよう
・新しいことにチャレンジする場合は小さいチャレンジから始めよう
・ルールを毎日確認してルールを守ろう
・データを毎日きちんと管理しよう
・自分を律してトレードに臨もう
自分の成績を数値で客観的に把握することができると、このように1回1回のトレードで勝ちたいとか稼ぎたいと感情移入するのではなく、自分を律することと、成績を維持しようとする長期的な視点で相場に臨む姿勢が自然とできるようになります。
極端な話ですが、リスクリワードが1:1の場合、勝率が50%を少しでも超えていて、それを継続することができれば、誰でも億トレーダーになる可能性があるのです。

まとめ
億トレーダーと負けトレーダーとの差はメンタルの強さではなく、メンタルの裏側にあるデータ管理と相場に対する考え方や計画性ということが分かったと思います。まだ、自分のトレードデータが把握できていない人は、この機会にぜひ自分のトレードデータを分析することを強くおすすめします。