FRBが政策金利を0.75%利上げ、1994年以来の利上げ幅

目次

概要

  • FRBが政策金利の75ベーシスポイント(bp)の引き上げを発表。75bpの引き上げは、1回の利上げ幅としては1994年以来の大きさ。
  • 17日の外国為替市場ではドル円が一時135円台まで上昇し、24年ぶりとなる水準まで円安が進行。
  • 先週16日までの7営業日中5営業日で、S&P500種株価指数を構成する銘柄の90%以上が下落。これほど幅広い下げが続いたのは史上初。
  • ヘッジファンドであるブルーベイ・アセット・マネジメントは、現在の金融政策を日銀が放棄せざるを得なくなるとみており、日本国債のショートを開始。

FRBが政策金利を0.75%利上げ、1994年以来の歴史的利上げ幅

米連邦準備理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の日本時間16日未明に、政策金利の75ベーシスポイント(bp)の引き上げを発表しました。75bpの引き上げは、1回の利上げ幅としては1994年以来の大きさになります。

利上げ幅について、パウエル議長は5月の時点では、「インフレを抑制するには着実に50bp刻みの利上げをおこなうのが好ましい」と発言していました。しかしながら、5月米消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率が8.6%と、1981年以来の高い伸びになったことが75bpもの引き上げの大きな要因になったと考えられます。

今回の大幅な利上げは物価高騰に対応してのことですが、インフレがこれで収まるとは限りません。今後の政策金利の利上げがどうなるか注視していくことが、FXのトレードをする上で重要になるでしょう。

ドル円が24年ぶりの水準へ、日銀は金融緩和維持

17日の外国為替市場ではドル円が一時135円台まで上昇し、24年ぶりとなる水準まで円安が進行しました。市場では日銀が金融緩和政策を修正するとの観測が広がっていました。

日銀は16日から17日にかけておこなわれた金融政策決定会合で金融緩和の維持を決定し、世界的な金融引き締めの流れに加わることを避けています。ただし、日銀は声明文で、リスク要因として金融・為替市場の動向が経済・物価に与える影響を「十分注視する必要がある」との表記を加えています。

日本の市場関係者からは、「海外勢に関しては、緩和巻き戻しという見方は徐々に修正されていくのではないか」、「日銀の金融政策は来月も現状維持が続くと見ている」、「政策変更の観測後退は株価にポジティブだろう」、「声明文で足元の円安や金利上昇をけん制した」と言った声が聞かれました。

大恐慌を超える前例のない売りの幅広さ

先週16日までの7営業日中5営業日で、S&P500種株価指数を構成する銘柄の90%以上が下落しました。これほど幅広い下げが続いたのは史上初になります。さらに、米国債や社債、商品に至るまで全てが2週連続で下落しました。このような幅広い連続的な下げは2013年の「テーパー・タントラム」以来となりました。

テーパー・タントラムとは、「taper(=次第に少なくなる)」と「tantrum(=かんしゃく)」を組み合わせた言葉です。量的緩和として実施していた資産購入額が「次第に少なくなる」ことへの警戒感から、市場が「かんしゃく」を起こすことを指します。

市場関係者からは「バリュエーションが切り下げられている。金利はお金の値段であるため、全ての金融資産そしていずれは実物資産も下がり始めるだろう」との声が聞かれました。

主要国の中央銀行が1980年代以降で最も積極的な金融引き締めに乗り出しているという事実に投資家は直面しています。米消費者物価指数(CPI)の上昇率が予想を上回ったことで、インフレがピークに近いとの期待は崩れ、リセッション懸念が高まりつつあります。

ヘッジファンドやクオンツトレーダー達が株の売却を急ぎ、S&P500種株価指数は過去11週のうち10週で下落となりました。さらに先週は5.8%下落し、週間ベースで2020年3月以来の大幅な下げとなっています。

ヘッジファンドが日銀との闘いへ

ヘッジファンドであるブルーベイ・アセット・マネジメントは、他の主要国の金融当局の方向性に反する金融政策を日銀が放棄せざるを得なくなるとみているようです。ブルーベイの最高投資責任者(CIO)、マーク・ダウディング氏によると、日銀のイールドカーブコントロール(YCC)は「維持不可能」であり、「かなりの額の日本国債をショートしている」とのことです。

さらに、元ゴールドマン・サックス・グループのチーフ通貨エコノミスト、ジム・オニール氏なども日銀が最終的に金利を巡る姿勢を転換させると予想しています。実際に、オーストラリア準備銀行(豪中銀)が昨年11月にYCCを放棄したという事例もあります。

ダウディング氏によると、ブルーベイは数週間前にドル円が130円付近に上昇した時点で日本国債のショートを開始しており、「変化を受けて利回りが動いたら、利益確定を目指す」そうです。

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