実際のFXトレードで使う用語や知っておかなければならない実践的な用語について例をあげながら具体的に解説します。
相場分析関連
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析とは、経済の基盤になる要素をもとに相場を分析することをいいます。具体的には、経済状況を示す雇用指数、物価、小売売上高、GDPなどの経済指標や政策金利などが使われます。また、戦争や災害、干ばつなどの天候不順も経済に影響を与えることもあるので考慮されます。どちらかと言えばファンダメンタルズ分析は長期的な相場分析に向いています。
テクニカル分析
テクニカル分析とは過去の値動きをチャートで表示し、その値動きのパターンや形から将来の値動きを予測するものです。テクニカル分析は長期から短期まですべての時間軸の相場を分析することが可能で、テクニカル分析のみを使ってトレードするテクニカルトレーダーもいます。
テクニカルインジケーター
テクニカル分析を行う際に使われるツールをテクニカルインジケーターといいます。テクニカルインジケーターにはトレンド相場に向いている移動平均線やボリンジャーバンド、レンジ相場に向いているRSIやストキャスティクスなど他にも非常に多くの種類があり、いろんなインジケーターを組み合わせてお互いの良いところを活かして相場を分析したり売買シグナルとして使うこともできます。
チャートパターン/フォーメーション
チャートパターンとは、チャートのいくつかの特定の形をいいます。チャートパターンにはトレンドの継続を示す継続パターンとトレンドの転換を示す転換パターンがあります。
継続パターン
継続パターンはトレンドの途中に出現するチャートパターンです。どのような相場でも一直線に上がったり下がったりすることは稀で、ほとんどがジグザクの波形を描きながら上がったり下がったりします。そのトレンドの途中にさまざまな形の継続パターンが出現し、そのパターンがブレイクする方向がトレンド方向であることが多いという特徴があります。つまり、継続パターンのトレンド方向のブレイクは優位性のあるトレードチャンスと捉えることができます。フラッグや三角持ち合いなどの継続パターンはどの時間足でも出現します。
転換パターン
転換パターンは相場が転換するときに現れるチャートパターンです。上昇相場が下降相場に転じたり、下降相場が上昇に転じたりする際に特徴的な形が現れ、上昇から下降に転換する際はヘッドアンドショルダーズトップ(三尊天井)やダブルトップ、トリプルトップなどが出現し、下降相場が上昇相場へ転換する際はヘッドアンドショルダーズボトム(三尊底)やダブルボトム、トリプルボトムなどが出現します。
トレンド
トレンドとは相場の方向性のことをいい、上がっていく相場を上昇トレンド、下がっていく相場を下降トレンドといい、トレンドのない相場はトレンドレス相場やレンジ相場といいます。ただし、どの時間軸で相場を見ているかによってそのトレンドの見え方は変化することがあります。例えば、週足でチャートを見るとレンジ相場なのに日足でチャートを見ると上昇トレンドだったり、日足では下降トレンドなのに5分足では上昇トレンドというような場合もあります。
ダウ理論
米国のチャールズ・ダウ(1851年~1902年)が考案したマーケット理論で現在でもFX市場だけでなく、多くの相場で活用されている理論です。ダウ理論は6つの基本法則から成り立っています。
1 価格はすべての事象を織り込む
2 トレンドは3種類ある(長期、中期、短期)
3 長期トレンドは3段階からなる(初期、中期、後期)
4 平均は相互に確認されなければならない(複数銘柄を確認しトレンドを見極める)
5 トレンドは出来高でも確認されなければならない(主に株式相場の場合)
6 トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する
FXトレーダーが実際のトレードで活用する法則は6の「トレンドは明確な転換シグナルがでるまで継続する」です。明確な転換シグナルとはチャートパターンの転換パターンの出現などが参考になりますから、転換パターンが出現するまではトレンド方向にトレードすることに優位性があります。逆にずっと上がり続けている相場を見て、こんなに上がったのだからそろそろ下がりそうだ、というような安易な値ごろ感からの逆張りは危険であるということがダウ理論からよくわかります。
トレーディング関連
損益比率(リスクリワードレシオ)
損益比率とは、取引の利益と損失の比率を表し、計算方法は「平均利益÷平均損失」です。平均利益と平均損失が同じ数値の場合は損益比率は1になりますが、損益比率が1であっても勝率が50%より多ければ利益は残り資金は増えていきます。また、損益比率が1以上であっても勝率が低い場合は資金が減っていくこともあります。トレーダーは1回のトレードでの損益比率が1以上になるようなトレードを組み立てることが基本です。
プロフィットファクター
プロフィットファクターとは総利益に対する総損失の比率のことで、計算方法は「総利益÷総損失」です。総利益が総損失を上回っていればプロフィットファクターは1以上になり、利益が出ていることがわかります。MT4では以下の手順で期間を任意で設定して自分のプロフィットファクターを簡単に表示させることができます。
押し目買い
売買の基本手法の一つで、上昇相場の中で少し下がったところで買いポジションを持つ方法です。相場はジグザグの波形を作って上昇したり下降したりすることが多いので、上昇している途中で買うのではなく、下がったところを買うことで損切り幅を小さく、利益幅を大きく設定した、損益比率の高いトレードができます。
戻り売り
売買の基本手法の一つで、下降相場の中で少し上がったところで売りポジションを持つ方法です。この方法も損益比率の良いトレードが可能です。
サポートライン(支持線)
チャート上に引かれた線で、値動きがその線を超えて下がらない場合、その線をサポートラインといいます。サポートラインを見つけたらそのサポートラインの上に値動きが推移している間は相場は強いと判断できますが、そのサポートラインを下にブレイクした場合は、相場が下落する可能性が高くなったと判断できます。値動きが何度も同じサポートラインで止められて下がらないような場合は強いサポートが働いていると考えられるので、サポートライン付近では買いポジションを作る良いチャンスになり、サポートラインを下抜けたらすぐに損切すれば損益比率の良いトレードが組み立てられます。
レジスタンスライン(抵抗線)
チャート上に引かれた線で、値動きがその線を超えて上がらない場合、その線をレジスタンスラインといいます。レジスタンスラインで何度も跳ね返されて相場が上がらない場合は、その線付近に多くの売り注文があることがわかり、その売り注文が抵抗となっていますから、レジスタンスライン手前で売りポジションを作ることで損益比率の良いトレードができます。
レジサポ転換、サポレジ転換
レジスタンスラインがサポートラインになることをレジサポ転換、サポートラインがレジスタンスラインになることをサポレジ転換といいます。それまで何度も跳ね返されていたサポートラインがブレイクされると、次にそのサポートラインまで値動きが近づいてきたときにはサポートラインがレジスタンスラインとして機能することが良くあります。逆の場合も同様です。そのような動きが合った場合は、相場の動きが転換して転換した方向に強く動き始めることがあり、トレードチャンスになります。
プロスペクト理論
プロスペクト理論とは行動経済学の基本的な理論で、FXトレードに関して言えば、損失を回避するために大きなリスクを取ったり、負けを早く取り返そうとする思考や心理に関する理論です。例えば大きな含み損を放置してでも損切を回避したり、1回損切したすぐ後にその損失を早く取り返したいという衝動に駆られて根拠の薄いトレードを繰り返す、などはこのプロスペクト理論によって説明できます。人間である以上、損失を回避したいという思考や感情は自然ですが、その感情に基づいてトレードすると損切ができないためにどんどん含み損が大きくなり、最終的には取り返しがつかないような損失を出すことに繋がる可能性があります。
トレーダーはそのような人間が自然に持ち合わせている感情を適切にコントロールするための方法やルールに従ってできるだけ感情を排除してトレードするなどの具体的な対策が必要です。
まとめ
FXトレードのための実践的な用語を理解し、その内容を実際のトレードに活用して安定して利益の出せるトレーダーを目指しましょう。