再度円買い介入実施か、英首相が就任から44日で辞任発表

マーケット分析20221024
目次

概要

  • ドル円が一時152円接近も146円台に急落
  • 政府と日銀が円買い介入を再びおこなったと日経新聞が報じる
  • トラス英首相が就任から44日間で辞意を表明
  • 市場関係者「スナク氏が次期首相になれば、英国債とポンド相場が反発する可能性が高い」
  • クックFRB理事とハーカー総裁がタカ派的な発言

ドル円が大荒れ、円買い介入実施か

21日の外国為替市場では、ドル円が一時152円に接近も146円台に急落して2020年3月以来の大幅な下落となりました。政府と日銀が円買い介入を再びおこなったと、日経新聞が関係者の話として伝えています。

財務省幹部は「介入したかどうかコメントしない」と述べたものの、値動きの大きさから介入したことはほぼ確実と言えるでしょう。鈴木俊一財務相は21日に150円台まで進んだ円安について、「今、私どもは市場を介して、投機筋と厳しく対峙している状況にある」との見方を示していました。さらに「投機による過度な変動は容認できない」とし、「為替市場の動向を高い緊張感を持って注視するとともに、過度な変動に対しては適切な対応を取りたい」とも語っています。

ドル円は152円付近まで上昇して32年ぶりの高値を更新したものの、その後は146円台前半まで約6円も急落と荒い値動きを見せました。ドル円は結局147円台半ばで取引を終えています。

しかしながら、市場関係者は「ドル円の方向性を変えることは期待できず、ドル上昇のスピードを遅らせるのを当局は望むばかりだ」と述べました。別の市場関係者も「介入がさらなる円安進行を食い止めることはない」との見方を示し、加えて「日本の通貨当局はエネルギー価格の高騰、日米金利差というファンダメンタルズに逆らっている」と指摘しています。

9月におこなった1998年以来となる前回の円買い介入では、ドル円の押し目買いをする絶好のチャンスになりました。今回も同じくドル円の押し目買いの機会になるのか、トレーダーの注目が集まりそうです。

トラス英首相が辞任発表、首相就任からわずか44日

20日にトラス英首相が辞意を表明しました。就任からわずか44日間という異例の早さで、在任期間は英国で歴代最短になるとみられます。

在職中に発表した大型減税計画は市場に大混乱をもたらし、その大半のプランが撤回を迫られていました。次期首相の候補者の届け出は24日に締め切り、結果は28日に発表されます。

トラス首相は後任が決まるまで首相職にとどまる意向です。もし28日までとなれば首相在任期間は52日間であり、英国で歴代最短となります。

トラス首相は9月上旬の首相就任時に経済成長を目指して全力を尽くすと約束していましたが、打ち出した政策が金融市場で受け入れられず、財政面の懸念からポンドと英国債が急落する結果になっていました。政党支持率で保守党は最大野党の労働党に30ポイント強の差を付けられており、今回の辞任劇は保守党にとって大きな痛手となっています。

英国の次期首相を選ぶ与党である保守党の党首選は、まずモーダント下院院内総務が立候補の意向を表明しました。また、7月に不名誉な形で退陣したジョンソン前首相の支持者は再登板を実現させようと動いています。そして、「トラス氏の経済政策は市場の混乱を招く」と繰り返し警告し、それがほぼ証明されたことから党内で評価が上昇したスナク元財務相が最有力候補と見なされているようです。

市場関係者は「ファイナンスとバンキングのバックグラウンドを考えれば、スナク氏のような人物が政権を担うことになれば肯定的に評価され、少なくとも極めて短期的には英国債とポンド相場が反発する可能性が高い」との見方を示しました。

クックFRB理事とハーカー総裁がタカ派的な発言

米連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事が金融当局による政策引き締めの道筋への支持を表明し、インフレを鈍化させるためには追加利上げのほか、景気抑制的な政策を一定期間維持することが必要になる公算が大きいとの認識を示しました。クック理事の姿勢は他の金融当局者と同じくタカ派的であると言えます。

クック理事は「インフレ率が当局の中長期的な目標である2%を大きく上回って推移していることを踏まえると、物価の安定を取り戻すには、インフレ率が目標の2%にしっかり向かっているとわれわれが確信できるまで利上げを継続し、その後政策をしばらく景気抑制的な水準で維持することが必要になる可能性が高い」と説明しました。

さらに、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁も「米金融当局はインフレに対応するため金利を年内に4%を大きく上回る水準まで引き上げ、景気抑制的な水準で維持する可能性が高い」と指摘しています。「データに基づいて、必要ならばさらなる引き締めもあり得る」とも述べました。

米国の政策金利の見通しが引き上げられればドル円の上昇につながるため、今後も米金融当局者の発言には注目すべきでしょう。

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