安倍晋三元首相が死亡、今後の経済政策などへの影響は

目次

概要

  • 安倍晋三元首相が死亡、今後の経済政策や政治動向に様々な影響があると思われる
  • 市場関係者からは、基本的な政策の方向性は変わらないとの声が多く聞かれたが、安倍派の分裂があれば財政健全化の方向へと進むリスクがあるとの声もあった
  • 米国の6月の雇用統計は市場予想を大きく上回った。企業の採用意欲が引き続き高いことが示されたと言える
  • 労働参加率と平均時給は前月の結果よりも低下
  • 米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は高いインフレ率を抑えるため、7月の連邦公開市場委員会の会合では50または75bpの利上げが議題になると発言

 

安倍晋三元首相が死亡、今後の経済政策などへの影響は

経済政策「アベノミクス」を掲げ、大規模な金融緩和を推進した安倍晋三元首相が死亡しました。安倍晋三元首相の死亡は、今後の経済政策や政治動向に様々な影響がありそうです。

安倍氏が銃撃されたと伝わると、アベノミクス下で進んだ金融緩和が後退するとの思惑から、株式は上昇幅を縮小しました。さらに、債券が売られて円が買われたことからも、安倍氏の影響力の高さが分かります。

安倍氏死去に関して、市場関係者からは「本来はアベノミクスの検証がおこなわれ、アベノミクスの推進にたずさわった人達も納得する形で、経済政策を変えていくことが理想だったが、その存在を失ってしまったことは残念」、「岸田政権が独自路線をより強める可能性はあるが、景気の方向性が大きく変わるとは考えていない」、「安倍元首相以外にも拡張財政、大規模金融緩和維持を主張する声は自民党内に存在している」、「基礎的財政収支(PB、プライマリーバランス)黒字化の時期は明示しないまま財政健全化の議論は棚上げになると考えて良さそうだ。ただし、安倍派の分裂があれば財政健全化のリスクは残る」といった声が聞かれました。

政府が現在取っている政策への大きな影響は今のところ無さそうですが、安倍派の分裂があれば増税などをおこない財政健全化を重視する方向へ進んでいくこともありそうです。

米雇用者数は企業の採用意欲高く、6月は予想を上回る伸び

米国の6月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比37.2万人増、予想26.5万人増と市場予想を上回りました。この結果は、企業の採用意欲が引き続き高いことが示されたと言えるでしょう。

今回の雇用統計の結果に関して、市場関係者は「労働市場は活況を呈している」と発言しました。さらに、「米金融当局は取り組みを強化しなければならない」とも述べています。

加えて、アトランタ連銀のボスティック総裁は雇用統計発表後、7月のFOMC会合での0.75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを支持すると語りました。

また、労働参加率は5月の62.3%から62.2%に低下しました。市場予想は62.4%への上昇でした。労働参加率の予想外の低下は、大量の求人件数があるにもかかわらず採用が進まない状況や労働者不足といった雇用主側の見方を裏付けるものになっています。

平均時給は前月比0.3%増で市場予想と一致しました。なお、5月は0.4%増(速報値は0.3%増)に上方修正されています。

労働参加率と平均時給が前月の結果よりも低下していることは、インフレーションがピークを超えたことを期待させますが、まだ楽観視出来る状態とは言いづらく経済をソフトランディングさせることができるかどうかに注目が集まりそうです。

NY連銀総裁、7月のFOMCは50か75bpの利上げが議題

米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は高いインフレ率を抑えるため、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)または75bpの利上げが議題になると述べました。

ウィリアムズ総裁は8日のプエルトリコ大学での講演後、記者団に対し「フェデラルファンド(FF)金利は約1.6%で推移しており、年末までに必要とされる水準を大きく下回っている」と指摘しました。さらに、7月26日から27日にかけて開催される次回のFOMC会合での利上げに関しての議論について、「50または75(bp)が妥当」と述べています。

また、「今後の利上げのペースや、どの水準まで引き上げるかの判断に関しては、経済が金融環境の引き締めにどう反応するか、インフレとインフレ期待、経済見通しがどう変化するかを注視していく」と説明しました。そして、「我々は政策へのアプローチにおいてデータに基づく姿勢を取り、機敏になる」と付け加えています。

なお、米国の実質GDP(国内総生産)成長率に関しては、「今年は1%未満になると現在予想している。来年はやや改善し1.5%程度になるだろう」と語りました。その上で、「全体の成長が潜在成長率を下回るペースに減速することを踏まえ、失業率は現在の非常に低い水準から上昇し、来年には4%をやや上回る水準に達すると見込まれる」と述べています。

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