為替課長「介入資金に限界ない」、米国失業率が予想外の低下

マーケット分析2022010
目次

概要

  • 財務省為替市場課長が「為替介入の資金に限界はなく、今後も過度な変動に対して必要な対応が可能だ」との見方を示した
  • 8月末時点の外貨準備180兆円台に対して今回の介入額は2.8兆円
  • 前回円買い介入がおこなわれた1998年は、介入が132円付近でおこなわれた後に15円以上ドル円は上昇
  • 米国の失業率は市場予想が3.7%、結果は3.5%と予想外に低下
  • FRBが再度大幅利上げを実施する可能性が高まった
  • 市場関係者は「インフレがなお高い伸びを示し、労働市場の鈍化がまだ不確実な中、FRBはまだ姿勢を弱めるどころではない」との認識を示した
  • ECBが9月の政策委員会会合の議事録要旨を公表し、一部当局者が0.5ポイントの利上げを主張していたことが判明
  • ドイツ連銀総裁が「記録的なインフレと闘うため、ECBは政策金利を引き続き大幅に引き上げなければならない」との見解を示した

財務省為替課長「介入資金に限界ない」

財務省の松本千城為替市場課長は5日におこなわれた立憲民主党会派財務金融部門会議で、「為替介入の資金に限界はなく、今後も過度な変動に対して必要な対応が可能だ」との見方を示しました。さらに、8月末時点の外貨準備180兆円台に対して今回の介入額は2.8兆円であるとし、「特段、介入資金に限界があるとは認識していない」と説明しています。

また、「日本の外貨準備は為替介入に備えて流動性に最大限配慮した運用をおこなっている」との認識を示しました。加えて、「米国は明確に日本への理解を示している、その他の国も今回の介入に批判的とは承知していない」とも述べています。

とはいえ、前回円買い介入がおこなわれた1998年は、介入が132円付近でおこなわれた後に15円以上ドル円は上昇しました。そのため、トレーダーは円安の流れが今後落ち着くとは限らないことに注意する必要があるでしょう。

米国の失業率が予想外の低下、FRBへの利上げ圧力続く

米国の失業率は市場予想が3.7%、結果は3.5%と予想外に低下しました。非農業部門雇用者数については市場予想が前月比25万5000人増、結果は26万3000人増となっており、労働市場の堅調さを見せています。失業率が予想外の低下となったことで、インフレ抑制を重視するFRBが再度大幅利上げを実施する可能性は高まったと言えるでしょう。

8月の求人件数が前月比111.7万件減になったことや一部セクターでのレイオフ増加、9月の非農業部門雇用者数が前月の31万5000人増と比べて26万3000人増と低下していることを考えると、労働需要の鈍化はある程度進んでいると思われます。しかしながら、雇用主の多くはまだ人材不足に見舞われており、堅調なペースで採用を続けているのが現状です。

労働市場の堅調さは個人消費を支えているだけでなく、賃金上昇にもつながっています。平均時給は前月比0.3%増、前年同月比では5%増となり、前月からはやや伸びが鈍化しましたがまだ高い伸びを見せています。

今回はFRBにとって、次回11月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合前の最後の雇用統計です。今回の結果を考慮すれば、FRBは4会合連続での0.75ポイントの利上げを検討することになるでしょう。

また、市場関係者は「インフレがなお高い伸びを示し、労働市場の鈍化がまだ不確実な中、FRBはまだ姿勢を弱めるどころではない」との認識を示しました。さらに、「この日のデータは11月に関して目立った変化をもたらすものではない。75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)は確実だとみている」とも語っています。

今回の結果を受けてドル円は小幅続伸し、145円台半ばで取引を終えました。なお、米国株はS&P500が前日比2.8%安、ダウ平均は2.1%安と大幅続落になっています。

ECBの一部当局者、9月会合で0.5ポイント利上げ主張

欧州中央銀行(ECB)が6日に9月の政策委員会会合の議事録要旨を公表し、一部当局者が0.5ポイントの利上げを主張していたことが分かりました。議事要旨によると、当局者らは最終的に0.75ポイントの利上げに同調し、「政策金利はまだ緩和的である」との幅広い合意があったようです。

7日にECB政策委員会メンバーのナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁が、「記録的なインフレと闘うため、ECBは政策金利を引き続き大幅に引き上げなければならない」との見解を示すなど、次回も0.75ポイント利上げを実施する方向への勢いは増しています。また、ナーゲル総裁は「インフレ率が10%であるのに、金利はわずか1.25%だ。私にとって行動を起こす必要性は明らかだ」とも述べました。

とはいえ、一部当局者が0.5ポイントの利上げを主張していたとなると、次回が0.5ポイントの利上げになる可能性も考えておいた方がよいのかもしれません。

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