先週のドル円
先週のドル円は150.6円付近で始まり、すぐに151.3円付近まで上昇を見せました。しかし、その後は下落が続き、金曜日には一時146.9円台を付け、148.0円付近で週を終えています。
2月ISM製造業景況指数や雇用統計が市場予想を下回ったことや、トランプ大統領が日本を名指しで「通貨安の誘導の解決には関税が必要」といった旨の発言をしたこと、春闘の賃上げ要求が32年ぶりに6%を上回り、日銀の追加利上げ観測が高まったことなどが、ドル円の下落の要因となりました。
今週注目の経済指標
発表日 | 時刻(日本時間) | 発表国 | 経済指標名 |
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3/11(火) | 08:50 | 日本 | 10~12月期四半期実質国内総生産(GDP)改定値 |
3/12(水) | 21:30 | 米国 | 2月消費者物価指数(CPI) |
3/12(水) | 22:45 | カナダ | カナダ銀行(中央銀行)政策金利発表 |
3/14(金) | 16:00 | 英国 | 1月月次国内総生産(GDP) |
今週注目の通貨ペア見通し
ドル円
ドル円はトランプ大統領の円安けん制発言や、春闘の大幅な賃上げ要求による日銀の早期利上げ期待を背景として、円買いが入りやすい状況となっています。市場の予想では、日銀の利上げは6月に実施されるとの見方が主ですが、実質賃金が3カ月連続でプラスになったり、春闘の第1回企業側回答で6%を超える賃上げが並んだりした場合は、日銀の早期利上げ期待がさらに高まり、ドル円の下落も進みそうです。
テクニカル的には、日足チャートで25日(青)、50日(緑)、100日(紫)、200日(赤)の4本の移動平均線を下抜けており、先週ゴールデンクロスしたMACDもデッドクロスし、地合いがまた悪化してしまいました。先週の金曜日に付けた安値である146.9円付近を下抜けた場合、節目となる145.0円、そして昨年の9月30に付けた安値である141.6円付近を目指して下落が続きそうです。
ユーロ円
ユーロ円は欧州委員会が防衛力強化に向けて総額8000億ユーロの防衛計画を提案したことや、ドイツが財政膨張を抑えるために法律で規定する「債務ブレーキ」を緩和する方針を示したことなどから、先週大きく買われました。しかし、日銀の利上げ期待に伴う円買いもあり、木曜には大きく押し返されることとなりました。
ファンダメンタルズ的には、ECB理事会の声明がタカ派的だったことや、EUでの再軍備の動きや「債務ブレーキ」緩和による財政出動への期待など、上昇要因が多いです。ただし、日銀の早期利上げ期待の高まりや、トランプ大統領が関税で強硬な手段に出ることへの警戒感などは、下落要因となります。
テクニカル的には、日足チャートで25日(青)、50日(緑)2本の移動平均線を上抜け、MACDもゴールデンクロスしており、地合いはかなり改善してきました。200日移動平均線(赤)の位置する161.6円付近を上抜けた場合、1月24日に付けた高値である164.1円付近を目標に上昇しそうです。