先週のドル円
先週のドル円は144.4円付近で始まり、火曜日には一時142.7円付近まで下落しました。しかし、その後は大きく上昇し、木曜日には一時145.2円台を付け、144.5円付近で週を終えています。
トランプ大統領が7月9日に迫った追加関税の猶予期限延長について否定的な発言を行い、景気悪化が懸念されたことや、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の後任人事を巡り、ハト派な人選が行われるとの見方から早期利下げ期待が高まったことなどが、ドル円の下落の主な要因となりました。
しかし、雇用統計の非農業部門雇用者数が市場予想を上回るなど、米経済の堅調さが示されると、一転して大きく上昇し、週全体としてはあまり方向感が見られませんでした。
今週注目の経済指標
発表日 | 時刻(日本時間) | 発表国 | 経済指標名 |
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7/8(火) | 13:30 | オーストラリア | 豪準備銀行(中央銀行)政策金利発表 |
7/9(水) | 11:00 | ニュージーランド | ニュージーランド準備銀行(中央銀行)政策金利発表 |
7/9(水) | 27:00 | アメリカ | 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨 |
7/11(金) | 15:00 | イギリス | 5月月次国内総生産(GDP) |
7/11(金) | 21:30 | カナダ | 6月新規雇用者数 |
7/11(金) | 21:30 | カナダ | 6月失業率 |
今週注目の通貨ペア見通し
ドル円
今週は7月9日に期限を迎える追加関税の発動が注目されます。すでに発動している自動車への25%、全輸入品への10%に加え、追加関税も適用されれば、日本経済にとって大きな打撃となります。
もし追加関税が発動されれば、「景気が悪化して日銀の追加利上げが後ずれする」との観測が強まり、円は売られやすくなりそうです。仮に上乗せ関税の適用時期が先送りされたとしても、日本と米国の意見の隔たりは大きく、不確実性は高いままになると考えられ、方向感は出にくいでしょう。
テクニカル的には、日足チャートで25日(青)、50日(緑)の2本の移動平均線を上抜けてはいるものの、MACDはまだゴールデンクロスしておらず、地合いはあまり良くありません。今週は142.5円から148円のレンジ相場を予想しますが、追加関税関連の報道による乱高下には十分注意してください。
ユーロ円
ユーロ円は節目の170円を上抜け、相変わらず堅調に上昇を続けています。デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁が利下げについて慎重な姿勢を示したことや、NATO加盟国が国防費をGDP比5%とする新たな目標に合意し、財政出動への期待感が高まっていることなどから、ユーロは買われやすい状況です。
一方で、米国との関税交渉が上手くいかなければ、一転して大きく下落する可能性もあります。テクニカル的には、日足チャートで25日(青)、50日(緑)、100日(紫)、200日(赤)の4本の移動平均線を上抜け、MACDもゴールデンクロスしており、地合いは非常に良好です。
今週は節目である170円を割り込まない限り、175円までの上昇を狙って買いポジションを保有したいと思います。