米CPIが減速も高いインフレ圧力、ECB総裁と理事が追加利上げに言及

FXマーケット分析2022年2月20日
目次

概要

  • 1月のCPIは減速したものの、高いインフレ圧力が続いている
  • FRBが政策金利を想定していたピークよりも高くする可能性がある
  • 1月の米小売売上高は約2年ぶりの大幅増
  • バーキン総裁「季節要因の影響を受けた可能性があり、必ずしも過剰需要の存在を示してはいない」
  • ECBのラガルド総裁が、3月に0.5ポイントの追加利上げをおこなう意向をあらためて示した
  • シュナーベル理事は3月の0.5ポイントの追加利上げについて、「ほぼ全ての妥当性の高いシナリオの下で必要」

米CPIが減速も高いインフレ圧力が続く

1月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想が前年同月比6.2%上昇、結果は6.4%上昇となり、結果が市場予想を上回りました。12月は前年同月比6.5%上昇であり、インフレは減速したものの、依然として高いインフレ圧力が続いています。

変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは、市場予想が前年同月比5.5%上昇、結果は5.6%上昇となり、こちらも結果が市場予想を上回りました。今回のCPIの結果により、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を想定していたピークよりも高くする可能性がありそうです。

1月のCPIは市場予想を大きく上回った雇用統計などと同様に、FRBの積極的な金融引き締め政策にも関わらず、景気が粘り強く物価上昇圧力が続いていることを表しています。

追加利上げと金利を当面高く維持する必要性を語ったパウエル議長の見解を、今回のCPIは裏付けていると言えるでしょう。

市場関係者は「FRBが持続的なベースで容認できるインフレ率に戻るのは、速やかでもなければ痛みをともなわない形でもないだろう」との見解を示しています。さらにCPIの発表後、リッチモンド連銀のバーキン総裁とダラス連銀のローガン総裁からタカ派的な発言がありました。

バーキン総裁は「インフレ抑制に向け、さらなる行動が必要になるかもしれない」、ローガン総裁は「政策金利を従来想定よりも高い水準に引き上げる必要があるかもしれない」と述べています。ただし、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁からは、景気抑制的な金利について、「私の考えではまだ終わっていないが、もう一息と思われる」とのハト派的な発言がありました。

市場は現在、政策金利のピークを5.25〜5.5%、年後半には0.25%の利下げがあると見込んでいます。ドル円はCPIの発表後乱高下し、その後上昇を見せました。

米小売売上高が約2年ぶりの大幅増

1月の米小売売上高は市場予想が前月比2%増、結果が3%増となり、結果が市場予想を大きく上回りました。2021年3月以来となる約2年ぶりの大幅増であり、堅調な消費需要を示唆するものと言えます。

失業率が53年ぶりの低水準にあるなど底堅い労働市場や堅調な賃金の伸びに支えられ、借り入れコスト上昇やインフレ率の高止まりにも関わらず、財やサービスへの支出継続が可能になっているようです。市場関係者は「米経済はあまり減速しておらず、依然としてトレンドを上回る水準で成長している可能性が高いことを示唆している」との認識を示しました。

一方、リッチモンド連銀のバーキン総裁は、「季節要因の影響を受けた可能性があり、必ずしも過剰需要の存在を示してはいない」と述べています。また、今後の経済指標に対応する柔軟性を保てるよう、利上げ幅は0.25%ポイントを支持するとも語りました。

ECB総裁と理事が0.5ポイントの追加利上げに言及

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が、3月に0.5ポイントの追加利上げをおこなう意向をあらためて示しました。ラガルド総裁は「基調的なインフレ圧力の観点から、われわれは3月の次回会合で0.5ポイントの追加利上げを実施するつもりだ」と述べています。加えて、「その上で我々は金融政策のその後の道筋について評価を下す」としました。

ユーロ圏のコアインフレ率は下がっておらず、引き締めの段階が他の国や地域に比べて進んでいません。労働者が購買力低下を補うため賃上げを求める中で、根強い基調的な物価上昇圧力がさらに高まることが懸念されます。

また、シュナーベル理事も3月の0.5ポイントの追加利上げについて、「ほぼ全ての妥当性の高いシナリオの下で必要」との見方を示しました。さらに、「広範なディスインフレのプロセスは始まってさえいない。ECBの政策が既に景気抑制的かどうかは判断し難い」と語っています。

「利上げへの経済の反応は過去の例より弱くなる可能性があり、実際そうなれば、一層強く行動せざるを得ないかもしれない」との見解も示しており、タカ派的なスタンスが感じられます。0.5ポイントの利上げに関しては、3月以降も続く可能性を考えておいた方がよさそうです。

FXマーケット分析2022年2月20日

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