概要
- 英3月CPIは引き続き2桁台に
- 予想を上回る高インフレで、英中銀による追加利上げの見通しが高まる
- 日本の3月コアコアCPIは、前月から伸びが加速
- 日銀による政策修正を想定した、円高リスクに備える動きが強まっている
- 4月の米PMIは前月の数値から上昇、3カ月連続で活動拡大を示唆
- 景気後退懸念が緩和すると共に、インフレ圧力が再燃する恐れが強まった
英CPIが3月も2桁台に、高まる追加利上げ観測
英国の3月の消費者物価指数(CPI)は、市場予想が前年同月比9.8%上昇、結果は10.1%上昇となり、結果が市場予想を上回りました。2月の10.4%上昇からは減速したものの、3月も引き続き2桁台となっています。
予想を上回る高インフレが続いていることで、イングランド銀行(英中銀)が追加利上げをおこなう見通しが高まっている状況です。金融政策委員会(MPC)のメンバーは、「インフレ圧力が収束すれば利上げ停止もあり得る」と示唆していましたが、英国の物価上昇の勢いは米国やユーロ圏を大きく上回っています。
特に食品・非アルコール飲料は19.1%上昇となり、1977年以来46年ぶりとなる大幅な上昇を見せました。食品やエネルギー価格など変動の激しい一部項目を除くコアインフレ率は、市場予想が前年同月比6.0%、結果が6.2%となり、こちらも結果が市場予想を上回っています。また、数値は前月と変わっていません。
市場関係者は、「市場や英中銀が考えていたほど、インフレは制御されていない可能性がある」との認識を示しました。さらに、「今回のデータは、英中銀に明らかなメッセージを突きつけている。利上げ停止にはまだ早いということだ」と語っています。
ハント英財務相は、「これらの数字は家庭や企業の負担を軽減するために、インフレ率を下げる努力を続けなければならないことを裏付けている」と述べました。しかしながら、MPCメンバーのテンレイロ委員によれば、「政策金利はすでに高過ぎる水準まで引き上げられており、結果として中期的なインフレ率は英中銀の目標値である2%を下回る見通し」となっています。
CPI発表後はポンドが買われ、対ドルで小幅な上昇となりました。市場が予想する英国のピーク金利は現在5%を超えており、5月と6月の会合では、いずれも0.25ポイントの利上げが見込まれています。
日本の3月コアコアCPIは前月から伸びが加速
3月の全国消費者物価指数は、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIが市場予想前年同月比3.6%上昇、結果は3.8%上昇となり、結果が市場予想を上回りました。加えて、前月の3.5%から伸びが加速しています。
生鮮食品を除くコアCPIは、市場予想が前年同月比3.0%上昇、結果は3.1%上昇となり、こちらも結果が市場予想を上回りました。ただし、コアCPIは前月と同じ数値になっています。
生鮮食品を除く食料は前年同月比8.2%上昇となり、1976年以来37年ぶりの高い伸びとなりました。食料価格の伸びが拡大していますが、エネルギー価格高騰に対する政府支援策の効果は現れています。
市場関係者は「CPIの上振れは、日銀から何かアクションがあるのではないかとの期待が盛り上がりやすい」と説明しました。CPIの発表を受けて、ドル円は下落を見せました。通貨オプションでは円を買う権利の需要が強くなっており、日銀による政策修正があった場合の、円高リスクに備える動きは強まっています。
米4月PMIが予想外の強さに
4月の総合購買担当者指数(PMI)速報値は、市場予想が51.2、結果が53.5となり、結果が市場予想を上回りました。3カ月連続で活動拡大を示唆する50を上回っています。さらに、前月の数値からも1.2ポイント上昇しました。
新規受注は3月の50.8から53.2に上昇して11カ月ぶりの高水準となり、コスト上昇分も企業がしっかりと顧客に転嫁できています。米企業活動は予想外に強く、今回のPMIの結果は11カ月ぶりの高水準であり、景気後退懸念が緩和すると共にインフレ圧力が再燃する恐れが強まりました。
市場関係者は「需要が上向くとともに、物価圧力も再燃した」との認識を示しています。別の市場関係者は「景気が持ちこたえるなら、米連邦公開市場委員会(FOMC)は現在市場が予想しているよりも、金融政策を引き締める動機を得るかもしれない」と語りました。
PMI発表後は、5月の利上げを想定したドル買いが見られ、ドル円は上昇しています。現在、市場は5月に利上げを停止し、11月に利下げを開始すると予想していますが、今後も強い経済指標が続けば、6月の利上げも織り込まれていきそうです。