米CPIがついに5%割れ、BOEは0.25ポイント利上げ

FXマーケット分析。2023年5月15日
目次

概要

  • 4月の米CPIは総合が約2年ぶりに5%を切った
  • FRBが利上げを停止するとの観測が強まった
  • BOEが政策金利を0.25ポイント引き上げ
  • ベイリー総裁「インフレが弱まりさえすれば、今回の利上げ局面は終わりに近い」
  • 日銀議事要旨「物価安定の目標の実現に向けて良い兆しが見られるなど、環境は変化しつつある」

米CPIがついに5%割れ、利上げ停止観測強まる

4月の米消費者物価指数(CPI)は総合が市場予想前年同月比5%上昇、結果が4.9%上昇となり、結果が市場予想を下回りました。総合CPIの前年同月比の伸びが、約2年ぶりに5%を切ったことで、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを停止するとの観測が強まっています。

変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは、市場予想前年同月比5.5%上昇、結果も5.5%上昇となり、結果が市場予想と一致しました。ただし、前月の5.6%よりはわずかに伸びが鈍化しています。

4月のCPIでは、昨年3月から続いている一連の利上げと最近の銀行セクターの信用不安が経済全体に与える影響により、インフレが鈍化しつつあることが示唆されました。しかし、インフレ率は依然として目標の2%には程遠い状態であり、雇用市場も堅調さを維持しています。

総合CPIの約3分の1を占める住居費が前月比0.4%上昇と、過去1年余りで最も低い伸びになったことが、今回市場予想を下回った大きな要因になりました。しかしながら、食品とエネルギーを除くコアの財価格は前月比0.6%上昇と、昨年6月以来の高い伸びを見せています。

FRBのボウマン理事は、「物価圧力が弱まらず、労働市場に鈍化の兆候が見られない場合は、FRBとして追加利上げをおこない、しばらくの間、高水準に据え置くことが必要になる可能性が高い」との認識を示しました。市場関係者は「必ずしも安心できる内容ではないが、FRBに6月の追加利上げを示唆させるほどの衝撃を与えるものでもない」との見方を示しています。さらに、「コアインフレ低下のペースが遅いことは、年内利下げの可能性がいかに低いかを浮き彫りにする」と述べました。

また、CPIよりも景気を反映させるのが早いと言われる生産者物価指数(PPI)も、市場予想が前年同月比2.5%上昇、結果は2.3%上昇となり、結果が市場予想を下回りました。現在、市場は6月の会合では政策金利を据え置き、9月から利下げを始めると予想しています。

6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合までに、CPIはもう発表が予定されておらず、今後は6月の雇用統計に注目が集まりそうです。CPI発表後は米国債の利回りが低下したことでドルが売られ、ドル円は134円台前半から一時133円台後半まで下落しました。

BOEが0.25ポイント利上げ、追加利上げの可能性も示唆

イングランド銀行(BOE、英中銀)が政策金利を0.25ポイント引き上げ、これで英国の政策金利は4.5%となりました。ベイリー総裁は政策金利発表後の記者会見で、「安定した低インフレは健全な経済の土台だ」としました。加えて、「インフレ率が目標の2%に戻ることを確実にするために政策姿勢を堅持することが必要だ」とも述べています。

0.25ポイント利上げの決定は7対2で、金融政策委員会(MPC)のテンレイロ、ディングラ委員は据え置きを主張しました。とはいえ、7対2では接戦という訳ではないため、タカ派的な雰囲気が相変わらずBOEを支配していると考えられます。

市場は政策金利が9月までに4.95%になると予想しており、BOEが0.25ポイントの利上げを2回おこなうことを想定しているようです。BOEは現在までに12会合連続で利上げをしていますが、インフレ率が2桁台である以上、確かに利上げを継続せざるを得ないかもしれません。

BOEの従来の予想では今年末までにインフレ率は3.9%に低下するとしていましたが、今回は5.1%に低下と修正しています。ただし、ベイリー総裁は「インフレが弱まりさえすれば、今回の利上げ局面は終わりに近い」との見方も示しており、今後のCPIなどのインフレ指標の結果とその内容によっては、政策金利の見通しが急激に変化することもありそうです。

日銀議事要旨「環境は変化しつつある」

日銀が3月に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表し、「物価安定の目標の実現に向けて良い兆しが見られるなど、環境は変化しつつある」との見解を複数の委員が示していたことが分かりました。また、新型コロナウイルス感染症の影響にリンクした政策運営スタンスの記述について、「先行き、見直しを検討することが適当だ」と何人かの委員が言及したようです。

その他、金融緩和政策の出口に関しても意見が出たことが分かりましたが、為替に大きな影響を与えるような内容は無く、ドル円への影響はわずかとなりました。

FXマーケット分析。2023年5月15日

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次