豪中銀と加中銀が予想外の利上げ、ISM非製造業景況指数が活動停滞の水準へ

FXマーケットニュース。2023年6月12日
目次

概要

  • 豪中銀とカナダ中銀が共に予想外の利上げ
  • 市場関係者「FRBからもサプライズがある可能性を米国の市場は認識しつつある」
  • 5月の米ISM非製造業総合景況指数は、活動の拡大と縮小の境目を示す50近くまで低下
  • 新規受注の低下とサービス需要の低迷が浮き彫りに
  • 日本の1〜3月期のGDP改定値が、速報値から上方修正

豪中銀とカナダ中銀が予想外の利上げ

豪中銀とカナダ中銀が共に予想外の利上げを行い、市場に衝撃が走りました。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でサプライズの利上げがあることも想定しておくべきなのかもしれません。

オーストラリア準備銀行(中央銀行)は、政策金利を3.85%から4.1%に引き上げました。4月に一旦利上げを停止した後、5月に続き0.25ポイントの利上げを継続し、インフレの高止まりや労働コストの上昇を背景に追加利上げもあり得ることを示唆しました。

今回の追加利上げにより、政策金利は2012年4月以降で最も高くなっています。さらに、昨年5月以降の利上げ幅は4ポイントに達しました。

ロウ豪中銀総裁は「インフレ率はピークを過ぎたが、なお高過ぎる」としています。加えて、「適正な時間枠でインフレ率を確実に目標に戻すには、金融政策の一定の追加引き締めが必要かもしれない」との見解を示しました。

市場関係者は「インフレの上振れリスクが、今回の利上げ決定に作用したことは明らかだ」と述べました。また、別の市場関係者は「豪中銀のタカ派姿勢とそれに伴う7月か8月の追加利上げの可能性は、真のリセッションのリスクが高いことを意味する。豪州は今後数四半期にわたり、国民1人当たりベースで国内総生産(GDP)成長率が2四半期連続でマイナスとなるリセッションに確実に見舞われることになる」と説明しています。

そして、カナダ銀行(中央銀行)も市場予想に反し、2会合連続で停止していた政策金利の引き上げを再開しました。理由としては、景気の過熱を挙げています。

カナダ中銀は政策金利を0.25ポイント引き上げ、4.75%とする決定を発表しました。4.75%は、2001年以降で最も高い水準となります。

カナダ銀行は「経済の超過需要は、総じて予想よりも持続性があるように見える。需給の均衡を回復させ、インフレ率を持続的に2%の目標に戻すには、金融政策が十分景気抑制的でなかった」との見方を示しました。予想より強かった国内総生産(GDP)成長率や消費者物価指数(CPI)が、カナダ銀行の利上げ判断に大きな影響を与えたようです。

市場関係者は、「今後のデータで経済のスラック(需給の緩み)が広がるはっきりした兆しが表れない場合には、追加の利上げ決定もあり得る」と説明しました。また、別の市場関係者は「米連邦準備制度理事会(FRB)からもサプライズがある可能性を米国の市場は認識しつつある」と指摘しています。

米ISM非製造業景況指数が活動停滞の水準へ

5月の米ISM非製造業総合景況指数は市場予想が52.4、結果が50.3となり、結果が市場予想を下回りました。50.3は年初来の最低水準です。前月の51.9から活動の拡大と縮小の境目を示す50近くまで低下したことで、景気後退のリスク上昇を示したと言えます。

生産に相当する業況指数は4カ月連続で低下し、51.5と3年ぶりの低水準となったことで、新規受注の低下とサービス需要の低迷が浮き彫りになりました。ただし、需要の低迷はインフレ圧力の軽減にもつながっており、仕入れ価格指数は56.2と、前月から3ポイント余り低下して3年ぶりの低水準になっています。

ISM非製造業景況調査委員会のアンソニー・ニエベス委員長は発表文で、「過半数の回答者は事業環境が現在、安定していることを示唆したが、景気減速への懸念がある」と説明しました。市場関係者は「経済が再開して以来、サービス部門の勢いは非常に強かったが、現在は明らかに冷え込んでいる」と指摘しています。

現在、市場は7割以上の確率で6月の利上げ休止を織り込んでいます。しかし、13日に発表される米5月消費者物価指数(CPI)で大きく確率が変化する可能性があり、結果には注目すべきでしょう。

日本の1~3月期GDPが年率2.7%増に上方修正

日本の1〜3月期の実質国内総生産(GDP)改定値は前期比年率2.7%増となり、速報値の1.6%増から上方修正されました。民間在庫変動の寄与度が、速報値のプラス0.1%からプラス0.4%に拡大しています。

市場関係者は「在庫は出荷や輸出が弱含んだところが大きいため、必ずしもポジティブに評価できる部分ではない」と説明しました。さらに、「個人消費や設備投資など国内需要が増加して全体をけん引した構造は変わっていない」として、「景気の認識を大きく変える材料ではない」と語っています。

FXマーケットニュース。2023年6月12日

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