米雇用者数が予想を下回る伸びも失業率は低下、英中銀が政策金利を0.25%引き上げ

FXマーケットニュース。2023年8月7日
目次

概要

  • 米国の7月の非農業部門雇用者数は市場予想を下回った
  • 失業率は市場予想を上回り、50年強ぶりの低水準
  • 英中銀が政策金利を0.25ポイント引き上げて5.25%に
  • 市場は金利が5.75%前後でピークに達すると予想
  • 日銀の6月会合議事要旨で、複数の委員が金利急上昇に警戒感

米雇用統計、7月は雇用者数が予想を下回るも失業率は低下

米国の7月の雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数は市場予想が前月比20万人増、結果は18万7000人増となり、結果が市場予想を下回りました。一方、失業率は市場予想が3.6%、結果は3.5%となり、こちらは結果が市場予想より強いものになっています。

農業部門雇用者数の伸びは予想を下回ったものの、失業率が予想より強い結果になったことで、依然として労働市場がタイトであることが示唆されました。失業率に関しては前月の3.6%からも低下しており、50年強ぶりの低水準です。

平均時給は市場予想が前年同月比4.2%上昇、結果は4.4%上昇となり、こちらも結果が市場予想を上回っています。前月も4.4%上昇となっており、堅調な伸びを維持しています。

今回の統計は強弱入り混じる結果となったものの、市場では米経済がソフトランディングするとの予想が優勢です。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長も、米連邦公開市場委員会(FOMC)会合後の記者会見で、「スタッフは現在、成長の顕著な減速が年内に始まると予想しているが、最近の経済に見られる強靱性から、もはやリセッションは見込んでいない」としています。

市場関係者は「労働供給の逼迫と労働需要の減速によって、雇用の伸びは新型コロナのパンデミック以前の数年間に見られた、緩やかな景気拡大と整合する水準まで鈍化した」と指摘しました。将来の雇用の先行指標とされる人材派遣も、今回の統計では2万2000人減となっています。

アトランタ連銀のボスティック総裁は、「経済はかなり秩序だった形で減速すると想定している。雇用者数18万7000人増という数字は、こうしたペースが継続している格好だ」との認識を示しました。加えて、シカゴ連銀のグールズビー総裁も、「リセッションを引き起こさずにインフレ率を2%目標に低下させることは可能だ」としています。

雇用統計の発表後にドル円は142円台半ばから急落し、その後一時141円台半ばまで下落する場面も見られました。市場の金利の予想も相変わらず今年は打ち止め、来年には利下げとなっており、ドル円への下落圧力が続きそうです。

英中銀が政策金利を0.25ポイント引き上げ、15年ぶり高水準

イングランド銀行(英中銀)は市場の予想通り政策金利を0.25ポイント引き上げ、5.25%としました。今回の利上げにより、英国の政策金利は15年ぶりの高水準に達しています。

利上げ幅は6月の0.5ポイントから縮小しており、市場は金利が5.75%前後でピークに達すると予想しています。つまり、0.25ポイントの引き上げであれば、後2回の利上げが織り込まれているということです。

英中銀のベイリー総裁は発表後の記者会見で、「インフレ目標2%を達成する道筋は一つではない」とし、「金利を中期的に据え置く選択肢も含まれる」と付け加えました。また、いつ利下げがあり得るかを臆測するにはあまりにも時期尚早だ」との認識を示しています。

約1カ月前には6.5%超に達すると市場で見込まれていた金利のピークですが、消費者物価指数(CPI)が5月の8.7%から6月は7.9%まで大きく下がったことで、従来の想定よりも早くピークに達する見通しになっていました。今回の0.25ポイント引き上げは、その見通しを裏付けるものとして市場で受け止められています。

ただ、ベイリー総裁は「インフレ率を下げる効果を保つには引き続き景気抑制的であり続けなければならないだろう。特に来年はそうだ」とも述べており、引き締めが長期間に及ぶ可能性もありそうです。

日銀6月会合議事要旨、金利急上昇に警戒感

日銀が6月に開いた金融政策決定会合の議事要旨が公開され、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の出口局面における金利の急上昇に、複数の政策委員が警戒感を示していたことが分かりました。7月に開いた会合では、長期金利の変動上限を従来の0.5%から事実上1%に引き上げるYCCの柔軟化措置を決めています。

議事要旨では、何人かの委員が「将来YCCを見直す場合、意図せぬ金融引き締め方向のアナウンスメント効果をもたらすリスクに留意する必要がある」との認識を示したことが記載されていました。また、長い目で見た物価の下振れリスクが依然大きいとして、「拙速な政策転換を行うことで目標達成の機会を逸してしまうリスクの方が大きい」との意見も見られ、ハト派的な対応が今後も継続される可能性を感じさせるものになっています。

FXマーケットニュース。2023年8月7日

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