米国の政策金利は据え置きも追加利上げの可能性、日銀は金融政策を現状維持

FXマーケットニュース。2023年9月25日。
目次

概要

  • FOMCが政策金利の据え置きを決定
  • ただし、年内に1回追加利上げを行うこと、その後は高水準の金利をより長期にわたって維持することを示唆
  • 日銀は金融政策決定会合で、現行の大規模金融緩和政策の維持を全員一致で決定
  • 植田総裁「マイナス金利政策の解除への距離感に、それほど変化はない」
  • BOEが政策金利の据え置きを決定、約2年ぶりの利上げサイクル停止

米国の政策金利は据え置き、追加利上げの可能性も

米連邦公開市場委員会(FOMC)は9月の会合で、政策金利の据え置きを決定しました。ただし、年内に1回追加利上げを行うこと、その後は高水準の金利をより長期にわたって維持することを示唆しています。

パウエル議長は会合後の記者会見で、「適切であれば追加利上げに動く用意があり、インフレが我々の目標に向かって持続的に低下していると確信が持てるようになるまで、政策を景気抑制的な水準に維持する考えだ」と語りました。会合後に発表された最新の四半期経済予測でも、FOMC参加者19人のうち12人が年内に1回の追加利上げ実施を支持していることが示されています。

さらに、四半期経済予測では2024年に見込まれる金融緩和の幅が前回より縮小しており、高金利を長期間維持する姿勢が見られます。予測の中央値では、政策金利を24年末までに5.1%に低下させることが適切だと予想されていますが、前回6月時点では4.6%とされていました。

米国の要人からも、タカ派的な発言が相次いでいます。ボストン連銀のコリンズ総裁は、「政策金利はこれまでの予測に比べて、より高い水準により長く維持する必要があると予想しており、さらなる引き締めの可能性も全く排除されていない」と述べています。

サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は「インフレとの闘いで勝利を宣言する用意はまだできていない」との見解を示し、「米連邦準備制度理事会(FRB)は引き続き、可能な限り優しく物価上昇圧力を抑制することに注力している」と説明しました。

前セントルイス連銀総裁のブラード氏は、「インフレ再加速のリスクを防ぐため、FRBは金利をさらに引き上げ、より高い水準で維持する必要があるかもしれない」との見解を示しています。また、FRBのボウマン理事は、「インフレ率をタイムリーに2%に下げるためには、さらに複数の利上げが必要になるだろうと今も考えている」として、他の米要人よりもタカ派的な姿勢を見せました。

現在、市場は依然として利上げは打ち止め、来年から利下げが開始されると予想しており、FRBとの意見の食い違いが続いています。

日銀が金融政策を現状維持、円売りの流れに

日銀は金融政策決定会合で、長短金利を操作するイールドカーブコントロール(YCC)政策を軸とした、現行の大規模金融緩和政策の維持を全員一致で決めました。一部の市場参加者からは政策修正の見方もありましたが、粘り強く金融緩和を続ける姿勢が改めて示された形です。

日銀の植田総裁は金融政策決定会合後の記者会見で、「マイナス金利政策の解除への距離感に、それほど変化はない」との見方を示しました。加えて、政策の変更について「現時点では経済・物価を巡る不確実性が極めて高い中で、事前には決め打ちできない」としています。

ただし、7月に発表した展望リポート時点の見通しに対しては、「消費者物価の伸び率の下がり方が、少しゆっくりめかなという雰囲気はある」との見解を示しました。さらに、「それが定量的にどれくらいのものか」については、10月公表の新たな展望リポートに向けて精査するとしています。

消費者物価の伸び率が想定よりも下がっていないことは、日銀の政策修正につながる可能性があります。加えて、8月全国消費者物価指数(CPI)が、総合とコア指数において市場予想より強い結果になったことにも、注意が必要になるでしょう。

FOMCが政策金利の据え置きを決め、年内後1回の追加利上げ、その後は高水準の金利を長期間維持することを示唆したことで、日米の金利差からドル買い・円売り、つまりドル円の上昇圧力がかかりやすくなっています。

BOEが約2年ぶりの金利据え置き

イングランド銀行(BOE、英中銀)は金融政策委員会(MPC)を開き、政策金利を5.25%で据え置くことを決定しました。インフレ率の低下と景気後退懸念の中で、過去30年余りで最も積極的に進めてきた利上げサイクルは、約2年ぶりの停止となりました。

9人で構成されるMPCの5人の委員が金利据え置きに賛成し、4人が5.5%への利上げを主張、決定票を持つベイリー総裁が据え置きを選択し、僅差で据え置きが決定されています。「据え置きは利上げの一時停止に過ぎず、2%の目標の3倍以上にとどまるインフレ率が予想通りに低下しなければ対応する」とBOEは示唆しましたが、市場では「金利がピークに達した」との声が増えています。


FXマーケットニュース。2023年9月25日。

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