米コアPCEが前月比で予想を下回る、ユーロ圏コアCPIが1年ぶりの水準まで低下

FXマーケットニュース。2023年10月3日。
目次

概要

  • 8月の米コアPCEは、前月比で2020年終盤以来の小幅な伸びとなった
  • 「FOMCが次回会合で利上げを見送る」との観測が市場で強まる可能性
  • 9月のユーロ圏コアCPIが1年ぶり、総合CPIは約2年ぶりの低水準
  • 「ECBが次回会合で政策金利を据え置く」との見方が強まる可能性
  • 日銀が7月に開いた金融政策決定会合の議事要旨が公開され、YCC柔軟化について、「市場環境が安定している現在が適切」と指摘されていたことが分かった

米コアPCEが前月比で予想を下回る伸びに

8月の米個人消費支出(PCE)は、食品とエネルギーを除くコア指数が市場予想前月比0.2%上昇、結果が0.1%上昇となり、結果が市場予想を下回りました。前月比で2020年終盤以来の小幅な伸びとなったことで、連邦公開市場委員会(FOMC)が次回10月31日 から11月 1日にかけて開催する会合で利上げを見送るとの観測が、市場で強まりそうです。
総合指数は市場予想が前月比0.5%上昇、結果が0.4%上昇となり、こちらも結果が市場予想を下回りました。ただし、コア指数と総合指数は共に、前年同月比では市場予想と一致しています。
物価の基調を示すコアが前月比で低い伸びとなっていることは、米連邦準備制度理事会(FRB)が「インフレを抑えている」との自信を深め、追加利上げを見送る可能性を高めるものです。足元の原油価格の上昇や学生ローンの返済再開などの影響が、今後個人消費をさらに減少させることも考えられます。
ただし、個人消費の減少はインフレ圧力を抑制する要因になりますが、一方でリセッション(景気後退)入りのリスクを高めるものでもあります。現在は米経済がソフトランディング(軟着陸)するとの見方が強まっていますが、個人消費が減少し続けるのであればハードランディングに備える必要があるかもしれません。
また、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、「自動車ストライキが長期化する場合には景気が減速する可能性があるため、FRBは物価上昇を緩和する手段を使う必要が無くなる」との認識を示しました。逆に、FRBのボウマン理事は、「インフレ率を目標に回帰させるには、複数回の利上げが必要かもしれない」との見方を示しており、インフレ率が持続可能な低下傾向にあると考えていないことが示唆されています。
市場は依然として利上げは打ち止め、来年から利下げが開始されると予想しており、政策金利に関する見解は、まちまちな状況となっています。

ユーロ圏コアCPIが1年ぶりの水準まで低下

9月のユーロ圏の消費者物価指数(CPI)は、価格変動の激しい食品やエネルギーを除くコア指数が市場予想前年同月比4.8%上昇、結果が4.5%上昇となり、結果が市場予想を下回りました。前月の5.3%上昇から大きく減速し、1年ぶりの水準まで低下しています。
コアは物価の基調を示唆することから、「欧州中央銀行(ECB)が一連の利上げの影響を見極めるため、政策金利を据え置く」との見方が強まりそうです。総合は市場予想が前年同月比4.5%上昇、結果が4.3%上昇となり、こちらも結果が市場予想を下回った上、約2年ぶりの低水準となっています。
総合とコアは共に依然としてECBが目指す2%の2倍を超えた数値となっていますが、バスレ・スロベニア中銀総裁は、「ECBの利上げは恐らく完了した」と述べました。加えて、ECBのデギンドス副総裁は、9月のCPIが総合とコアが共に低下したことについて、「この傾向は今後数カ月続くだろう」との見解を示しています。
一方、カザークス・ラトビア中銀総裁は「将来の利上げは排除できない」としつつ、「金利は現水準付近で恐らくしばらくの間とどまるだろう」との認識を示しています。足元で要人からのハト派的な発言が増えてきた印象がありますが、まだタカ派的発言も聞かれることには今後も注意が必要になりそうです。

日銀会合議事要旨「YCC柔軟化は現在が適切」

日銀が7月に開いた金融政策決定会合の議事要旨が公開され、賛成多数で決まったイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)運用の柔軟化のタイミングについて、何人かの委員が「市場環境が安定している現在が適切」と指摘していたことが分かりました。ある委員の「混乱なく対応できるうちに、あらかじめイールドカーブコントロールの柔軟性を一定程度高めておくことが望ましい」との意見に関して、何人かの委員が「現在の市場環境は安定しており、運用の柔軟化を行うのに適切な時期だ」との見方を示したようです。
2%物価目標の持続的・安定的な実現については、1人の委員が「はっきりと視界に捉えられる状況になっていると考えており、来年1〜3月頃には見極められる可能性がある」との見解を示しています。市場にくすぶる早期の政策正常化観測が再燃すれば、先回りして円が買われる展開もありそうです。


FXマーケットニュース。2023年10月3日。

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