米小売売上高が予想を大きく上回る伸び、日本のコアCPIは予想を上回るも3%割れ

目次

概要

  • 9月の米小売売上高は結果が市場予想を大きく上回った
  • パウエルFRB議長「力強い経済の兆候がさらに見られれば、追加利上げが正当化され得る」
  • 9月の全国消費者物価指数は生鮮食品を除くコアCPIが市場予想を上回ったが、13カ月ぶりに3%を割り込んだ
  • 市場関係者「(今月の決定会合で)長期金利の上昇を踏まえて10年金利の目標と上限を上げてくる」
  • 9月の英CPIは結果が市場予想を上回った
  • ベイリー英中銀総裁「9月のCPIが市場予想より高かったものの、コアCPI鈍化の兆しは有望」

米小売売上高が予想を大きく上回る伸びに

9月の米小売売上高は市場予想が前月比0.3%増、結果が前月比0.7%増となり、結果が市場予想を大きく上回りました。原油価格などが主な要因となって足元でインフレが加速しているにも関わらず、個人消費がなお力強さを維持していることが示されています。

堅調な小売売上高を受け、第3四半期に米経済の成長が加速するとの見方が強まると、ドルが買われやすい地合いになりそうです。市場関係者は「全体的に良好な内容で、個人消費の力強さが続いていることを示している」と説明しています。

一方、別の市場関係者は「9月の小売売上高は堅調な内容だが、これは消費需要の底堅さの度合いを実際より強く見せてしまっている。第3四半期の個人消費は確かに力強い数字になりそうだが、これは活動の一時的な急増のためであり、持続は不可能だ」との認識を示しました。また、米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は、個人消費の力強さが報告されていることに言及して、「少し謎だ」とし、「自身が接触した小売り関係者は消費者がより慎重になっていると指摘するが、政府統計では家計が支出を控えていないことが示されている」と述べています。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、「経済成長が継続的に潜在成長率を上回っている兆候、ないし労働市場の引き締まりがもはや緩和していない兆候が新たに見られた場合、インフレに関する一層の進展にリスクが生じる可能性があり、金融政策の追加引き締めが正当化され得る」としており、10月の小売売上高も注目が集まりそうです。なお、現在市場は政策金利がピークを迎えており、来年6月には0.25ポイントの利下げが行われると予想しています。

日本のコアCPIは予想を上回るも3%割れに

9月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除くコアCPIが市場予想前年同月比2.7%上昇、結果が2.8%上昇となり、結果が市場予想を上回りました。しかし、前年比同月比の上昇率が13カ月ぶりに3%を割り込んでいます。

日銀の物価目標である2%を上回る水準での推移が1年半にわたり続いてはいるものの、前月の3.1%上昇から伸びが鈍化しました。政府の物価高対策に伴う電気代やガス代の下落が、主な押し下げ要因となっています。

中東情勢の緊迫化によるエネルギーコストの増加や、円安基調の持続、賃金と物価の好循環への期待などから、さらなる金融政策の修正があるかどうかが市場で注目されています。市場関係者は今月の決定会合で、「長期金利の上昇を踏まえて10年金利の目標と上限を上げてくる」としつつ、「マイナス金利解除などの本格的な正常化ではない。それに動くのは来年度の賃金動向をしっかり見極めてからとなるだろう」と語りました。

日銀の植田総裁は、「価格転嫁の影響が減衰していく下でプラス幅を縮小する」とした上で、「その後は、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていく下で、再びプラス幅を緩やかに拡大していく」との認識を示しています。

政策修正があるとすれば、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)運用のさらなる修正が有力ですが、マイナス金利の先行解除があれば円が大きく買われることになりそうです。

英CPIが予想を上回る高水準に

9月の英消費者物価指数(CPI)は、総合が市場予想前年同月比6.6%上昇、結果が6.7%上昇となり、結果が市場予想を上回りました。中東情勢の緊迫化による原油価格の上昇が食料品価格の下落を打ち消し、前月と同じ数値となっています。

変動の激しい食料やエネルギーを除くコアCPIは、市場予想が前年同月比6.0%上昇、結果が6.1%上昇となり、こちらも結果が市場予想を上回りました。ただし、前月の6.2%上昇からは伸びが鈍化しています。

イングランド銀行(英中銀)のベイリー総裁は、「9月のCPIが市場予測より高かったものの、食料や燃料など変動の大きい項目を除いたコアCPI鈍化の兆しは有望だ」との見方を示しました。加えて、CPIについて「下がり続ける」と予想しています。

市場は今のところ、来年序盤までに0.25ポイントの利上げ実施を予想していますが、中東情勢が落ち着きを見せれば、一転して利上げ停止に予想を変更する可能性もありそうです。

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