FOMCが来年に複数回の利下げを予想、ECBは利下げについて議論せず

FXマーケットニュース。2023年12月18日
目次

概要

  • FOMCが3会合連続となる金利据え置きを決定
  • 来年は複数回にわたって金利を引き下げるとの見通しも示した
  • パウエルFRB議長「利下げは視野に入り始めている」
  • ECBが2会合連続となる金利据え置きを決定
  • ラガルドECB総裁「利下げについては全く議論しなかった」
  • BOEが3会合連続となる金利据え置きを決定
  • ベイリーBOE総裁、インフレ退治について「まだ道半ばだ」

FOMCは金利据え置きも、来年に複数回の利下げを予想

米連邦公開市場委員会(FOMC)は、政策金利を2001年以来の高水準である5.25〜5.5%で据え置くことを全会一致で決定しました。金利据え置きは、これで3会合連続となります。

また、過去数十年ぶりの急ピッチでこれまで利上げを進めてきましたが、今後追加利上げはなく、来年は複数回にわたって金利を引き下げるとの見通しも示しました。FOMCの金利予測分布図(ドットプロット)によると、来年は合計で0.75ポイントの利下げが予測中央値となっています。

今年と来年のインフレ予想も下方修正され、FRBが重視する価格変動の激しい食品・エネルギーを除いた個人消費支出(PCE)コア価格指数は、24年に2.4%上昇と予想されています。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ率の目標を2%に設定しており、2.4%上昇はほぼ目標達成だといえるでしょう。

FRBのパウエル議長は会合後の記者会見で、「追加利上げの選択肢を外す用意はない」としながらも、利下げ開始がいつ適切になるかについて今回のFOMC会合で議論したことを認めました。加えて、「利下げは視野に入り始めている」とし、発言のハト派的な変化が注目されています。

ある市場関係者は「次のステップが利下げであることは誰もが分かっており、議長もそれを確認した」との認識を示しました。市場は現在、来年3月に0.25ポイントの利上げが実施され、年間では計6回1.5ポイントの利下げがあると予想しています。

パウエル議長は「物価高対策には多少の痛みを伴う」と警告してきましたが、今のところ米国経済はリセッション(景気後退)や雇用情勢の深刻な悪化が見られず、インフレ率も低下傾向にあります。別の市場関係者は「インフレ鈍化の事実に、当局者がエキサイトしているのは間違いない」と述べました。

ECBは金利据え置き、利下げを議論せず

欧州中央銀行(ECB)は2会合連続となる金利据え置きを決め、政策金利は4.5%が維持されました。ただし、ECBのラガルド総裁は、「利下げについては全く議論しなかった」と語っています。

米国のパウエルFRB議長が「利下げは視野に入り始めている」と発言したのに対し、ラガルド総裁は市場の利下げ期待を押し戻しました。しかし、それでも市場は現在、来年に計1.5ポイントの利下げがあると予想しており、ラガルド総裁の見解とは大きな隔たりがあります。

ECBは今回の会合で発表した経済予測の中で、来年のインフレ率を2.7%、2025年を2.1%、26年を1.9%と見込んでおり、2025年は目標とする2%とほぼ同じ数値です。これが「高金利を維持してインフレ率を抑える必要がない」という、市場の考えにつながっています。

ECB政策委員会メンバーのビルロワドガロー・フランス中銀総裁は、「ECBの次の動きは利下げになるだろうが、その時期については市場や特定の日付ではなく、データに導かれながら辛抱強く機を待つ」と述べました。また、同じく政策委員会メンバーのナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁は、「ECBの利上げサイクルは恐らく終了したが、利下げを検討するのはなお時期尚早」との認識を示しています。

BOEも金利据え置き、インフレ退治「道半ば」

イングランド銀行(英中銀、BOE)は、政策金利を15年ぶりの高水準となる5.25%で据え置きました。据え置きは3会合連続となります。

「インフレ抑制のためには、十分に景気抑制的な金利が十分な期間必要」とのガイダンスが維持され、来年に利下げの用意があることを示唆したFOMCとは対照的なスタンスとなりました。BOEのベイリー総裁は、声明でインフレ退治について「まだ道半ばだ」とし、「インフレ圧力がさらに持続する証拠があれば、再び利上げを行う可能性がある」とタカ派的なスタンスを崩していません。

市場では2024年に利下げが続くとの観測が強まっていますが、BOEは高めの金利を長期化させる方針を維持しており、両者の見解は依然として大きく異なったままです。FRBやECB、BOEのそれぞれのスタンスを考えると、まずはFRBが利下げを開始し、それをECBとBOEが追随する形になる可能性が高そうです。

FXマーケットニュース。2023年12月18日

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