米雇用者数と賃金が予想外の伸び加速、ユーロ圏のCPIが予想を上回る伸びに

FXマーケットニュース。2024年2月5日
目次

概要

  • 1月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数と平均時給の伸びが加速
  • ただし、平均時給については労働時間の減少によって押し上げられた可能性が高い
  • パウエルFRB議長が、3月の利下げ開始を期待する投資家をけん制するような発言
  • 市場関係者「まだ任務完了の旗を掲げる準備ができていないという明確なシグナルだ。」
  • ユーロ圏の1月のCPIは、総合・コア共に予想を上回る伸びに
  • ラガルドECB総裁「さまざまなデータが必要だが、極めて重要なものの1つが賃金に関する統計だ」
  • 賃金に関する統計は4月に発表され、政策金利が決定される理事会は5月に開催されないことから、利下げの開始時期は6月が焦点になる可能性

米非農業部門雇用者数と平均時給が予想外の伸び加速

1月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想前年同月比18万5000人増、結果が35万3000人増となり、結果が市場予想を大きく上回りました。前月の21万6000人増から伸びも加速しています。

平均時給は市場予想前月比0.3%増、結果が0.6%増となり、こちらも結果が市場予想を大きく上回りました。前月は0.4%増であり、2022年3月以来の大幅な伸びとなっています。

労働市場が予想外に再び勢いを増していることが示唆され、早期利下げ観測が後退しました。ただし、平均時給については労働時間の減少によって押し上げられた可能性が高いと見られています。

1月分の調査が実施された週は、米国の多くの地域で厳しい寒さとなり、小売業と娯楽・ホスピタリティーという時給が平均より低い2つの部門での労働時間の減少が、平均時給を押し上げることにつながったと考えられます。そのため、平均時給の大幅な伸びについては疑いの目を向けるべきなのかもしれません。

米国の3月利下げ観測は後退しましたが、弱い米経済指標が出た場合に利下げ織り込み復活で米金利低下、そしてドル安からドル円下落という動きにしばらくは注意したいところです。

パウエル議長「3月利下げの可能性低い」

米連邦公開市場委員会(FOMC)は会合を開催し、政策金利の据え置きを決定しましたが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長から、3月の利下げ開始を期待する投資家をけん制するような発言がありました。

FOMCは会合後に発表した声明で利下げを急いでいないことを示していましたが、パウエル議長も記者会見で3月の利下げについて、「最も可能性の高いケース、ないし基本シナリオと呼ばれるものでは恐らくないだろう」と発言しました。パウエル議長の発言は、必ずしも直ちに利下げが必要なわけではないとの認識を示したと言えます。

ある市場関係者は、「FOMCはインフレ率が持続的に減速しているとの確信が強まる必要性を強調し、ややタカ派的なトーンを打ち出した。まだ任務完了の旗を掲げる準備ができていないという明確なシグナルだ。」と語りました。また、別の市場関係者は「3月利下げの観測を押し返しているのは確かで、投資家の期待に冷や水を浴びせているが、中央銀行らしく選択肢は残したままで、コミットしない姿勢を維持している。」と述べています。

ただし、現在市場は今年5月に0.25ポイントの利下げがあり、年間で計6回1.5ポイントの利下げを予想しています。

高金利を維持する意向を示しているFRBと市場の考えには依然として深い溝があり、今後いつ利下げが開始され、どの程度のペースで金利を引き下げるかが米ドルの取引での焦点になりそうです。

ユーロ圏のCPIが総合・コア共に予想を上回る伸びに

ユーロ圏の消費者物価指数(CPI)は、総合が市場予想前年同月比2.7%上昇、結果が2.8%上昇となり、結果が市場予想を上回りました。食品やエネルギーなど変動の激しい項目を除くコア指数は、市場予想が前年同月比3.3%上昇、結果が3.2%上昇となり、こちらも結果が市場予想を上回りました。

本来であればユーロの買い要因となるインフレ率の上昇ですが、今回は市場の反応は薄いものでした。これは今年に6回の0.25ポイントの利下げが実施され、4月までに初回の利下げが行われるとの予想を市場が維持したためと見られます。

ただ、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、「さまざまなデータが必要だが、極めて重要なものの1つが賃金に関する統計だ」と語っており、賃金に関する統計は4月まで発表されません。政策金利が決定される理事会は5月に開催されないことから、利下げの開始時期は6月が焦点になるかもしれません。

また、理事会のメンバーのセンテノ・ポルトガル中銀総裁は、「当然ながら、インフレが再燃しないよう、金利はかなりの期間、景気抑制的な領域に維持される」と述べています。

FXマーケットニュース。2024年2月5日

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