日本が予想外のリセッション入り、米CPIでしつこいインフレが表面化

FXマーケットニュース。2024年2月19日
目次

概要

  • 日本は2四半期連続のマイナス成長となり、テクニカルリセッション入りした
  • 日銀が金融政策正常化に動きづらくなる可能性
  • 1月の米CPIは総合、コア共に結果が市場予想を上回り、しつこいインフレが表面化した
  • 既に早期利下げ開始の可能性は低下していたが、さらに低下した
  • 1月の米小売売上高は約1年ぶりの大幅減となり、これまで強かった個人消費に一服感

日本が予想外のリセッション入り

日本の昨年10〜12月の実質国内総生産(GDP)速報値は、市場予想前期比0.3%増、結果が0.1%減となり、結果が予想を大きく下回りました。マイナス成長は2四半期連続です。実質GDP成長率が2四半期連続でマイナスになると「テクニカルリセッション入り」とされ、機械的に景気後退局面とみなされます。

主な要因としては、輸出を中心に外需は伸びたものの、物価高の影響による個人消費の低迷が重しとなったことが挙げられます。個人消費はGDPの半分以上を占め、GDPの大きな下押し圧力となりました。

今回の結果は、市場の早期正常化観測の後退につながりそうです。1月会合後の植田和男総裁の記者会見などで金融政策正常化への地ならしのような発言があったことから、市場では3月か4月の会合で正常化に動くとの見方が強まっていました。

ある市場関係者は「物価の高止まりにより消費者の購買力が目減りし、消費が弱い状況。軽いスタグフレーションになっている。そういう中で正常化に向かって動くのは難しい」と述べつつ、「日銀が動くという空気はあるので4月に動く線は残る」としました。また、2023年度の名目GDPは591兆円、ドル換算で4兆2106億ドルとドイツの4兆4561億ドルを下回り、日本は世界第3位から4位に転落しています。

今年1月〜3月期も低迷が続き、3四半期連続でマイナス成長の可能性があると見ている市場関係者もおり、日銀は金融政策正常化に動きづらくなるかもしれません。今のところ植田日銀総裁の姿勢に大きな変化は見られていませんが、市場の早期正常化観測の後退から円が売られやすい展開が続く可能性がありそうです。

米CPIでしつこいインフレが表面化

1月の米消費者物価指数(CPI)は、総合が市場予想前年同月比2.9%上昇、結果が3.1%上昇となり、結果が市場予想を上回りました。価格の変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア価格指数は市場予想前年同月比3.7%上昇、結果が3.9%上昇となり、こちらも結果が市場予想を上回っています。

米国ではインフレの鈍化が続いていましたが、しつこいインフレが表面化したことで早期利下げ観測が後退しました。連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が拙速な利下げに伴う危険性を懸念するなど、既に早期利下げ開始の可能性は低下していましたが、これをさらに低下させるものとなりました。

ある市場関係者は「FOMCはこの統計で5月か6月まで待つ理由が増えたと考えるだろう。」としながらも、「トレンドの方向性はなお下向きだ」との見解を示しています。前月比0.6%上昇と、ほぼ1年ぶりの大幅な伸びとなった住居費が全体の伸びの3分の2余りに寄与しており、これがいつ鈍化するのかが今後のキーになっていきそうです。

シカゴ連銀のグールズビー総裁は、インフレのトレンドを単月の数字で判断しないことが重要で、当局の2%目標はCPIではなく個人消費支出(PCE)に基づいているとの見方を示しています。PCEはCPIより調査対象が幅広く、FRBはPCEをより重視しています。

アトランタ連銀のボスティック総裁は、1月のCPIが今後、トレンドを一時的に逸脱したものだと分かった場合でも、「しばらくの間、こうした状態が実態であるかもしれない」と述べました。さらに、FRBのインフレ退治の闘いがまだ完了していないことを示す証拠だともしており、インフレに警戒する姿勢を見せています。

米小売売上高が約1年ぶりの大幅減に

1月の米小売売上高は、市場予想が前月比0.2%減、結果が0.8%減となり、結果が市場予想を大きく下回りました。約1年ぶりの大幅減であり、これまで強かった個人消費に一服感が出ています。

これまで力強い経済成長を支え、景気後退を回避する一因となってきた個人消費ですが、持続的な悪化には注意が必要になりそうです。ある市場関係者は、「消費低迷は金利に敏感な分野に集中していたとはいえ、1月の減少は広範囲に及んだ。借り入れコストの上昇とクレジットカードの延滞を背景に、消費者が財布のひもを締めたためだ」と説明しました。

米国の景気にとってネガティブなニュースとなった今回の結果ですが、CPIが高かったことなどから、市場はこれまでの年間で計6回1.5ポイントの利下げ予想を、計4回1.0ポイントに変更しています。

FXマーケットニュース。2024年2月19日

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