FOMC「時期尚早な利下げに懸念」、ECB「早過ぎる利下げはより大きなリスク」

FXマーケットニュース。2024年3月4日
目次

概要

  • FOMC議事要旨「大部分の当局者が時期尚早な利下げに懸念を表明」
  • FRBの要人達からも、時期尚早な利下げによるインフレ再燃に関して警戒する発言が出ている
  • ECB議事要旨「早過ぎる利下げは遅過ぎるよりも大きなリスク」
  • ナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁「ユーロ圏域内の物価圧力について詳細な情報が得られるのは4~6月の間」
  • 豪中銀議事要旨「利上げを検討したものの、政策金利を据え置く根拠の方がより強い」

FOMC議事要旨「時期尚早な利下げに懸念」

米連邦公開市場委員会(FOMC)が1月に開いた会合の議事要旨が公開され、大部分の当局者が時期尚早な利下げに懸念を表明し、「高金利を過度に長く維持するよりもリスクが大きい」との考えを示唆していたことが分かりました。政策金利については多くの当局者がピークに到達した可能性が高いとの認識を示していますが、依然として利下げ開始の時期は不透明なままになっています。

米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレを示すさらなる証拠を確認し、それから利下げに移りたいと考えているようです。議事要旨には「大部分の参加者は政策スタンスを時期尚早に緩和するリスクを指摘し、インフレ率が2%まで持続的に低下しているかを見極める上で、今後入手するデータを注意深く評価することの重要性を強調した」と記載されていました。

リッチモンド連銀のバーキン総裁は、「インフレ状況は全般的に改善している」とした上で、「最近の経済データは、一部セクターにおける物価上昇圧力がなお高過ぎることを浮き彫りにした」と警戒感をあらわにしています。1月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想を上回る伸びを示し、基調的なインフレの指標となるコアCPIが前月比で8カ月ぶりの高い伸びとなっていました。

フィラデルフィア連銀のハーカー総裁も、「年内の利下げは適切である可能性が高い」としながらも、早過ぎる利下げのリスクを強調しています。ハーカー総裁は「一言で言えば、最大の経済リスクは早過ぎる利下げだ。インフレを再燃させ、過去2年の努力が眼前で水泡に帰すようなことがあってはならない」と述べています。

加えて、ジェファーソンFRB副議長も「インフレ状況の改善に応じて、過度に緩和することの危険性を常に留意する必要がある」としており、FRBの要人達が時期尚早な利下げによるインフレ再燃に関して非常に警戒していることは明らかです。

市場は少し前まで年間で計6回1.5ポイントの利下げを予想していましたが、FRB当局者の発言や好調な経済指標などを理由に、計3回0.75ポイントの利下げにまで予想を変更しています。FRBがタカ派的な姿勢を見せていることにより、ドルが買われてドル円は上がりやすい状況が続くかもしれません。

ECB議事要旨「早過ぎる利下げはより大きなリスク」

欧州中央銀行(ECB)が1月に開いた会合の議事要旨が公開され、「早過ぎる利下げは遅過ぎるよりも大きなリスク」だと考えていたことが分かりました。ユーロ圏も米国と同じく利下げ時期が注目されていますが、当局者の大半は利下げに慎重な姿勢を見せています。

政策委員会メンバーのナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁は、「ユーロ圏域内の物価圧力について詳細な情報が得られるのは4-6月(第2四半期)の間であり、そこで初めて緩和を検討できる」とし、「拙速な行動で将来的に方針転換を強いられる事態を、政策当局者は避けなければならない」との認識を示しています。同じく政策委員会メンバーのシムカス・リトアニア中銀総裁も、「3月の利下げは論外で、4月ですら可能性の低い選択肢だ」とし、「今年夏には景気抑制的な環境の緩和に移行できると考えている」と述べました。

市場でも早期利下げ観測が後退しており、ユーロが買われやすくなりそうです。

豪中銀議事要旨「利上げ検討も据え置きの根拠の方が強い」

オーストラリア準備銀行(豪中銀)が1月に開いた会合の議事要旨が公開され、利上げを検討したものの、インフレ率が合理的な時間枠内で当局目標である2~3%に戻らないリスクが低下したことから、政策金利を据え置く根拠の方がより強いと判断したことが分かりました。今月の会合で豪中銀は政策金利を12年ぶりの高水準となる4.35%に据え置きましたが、追加の金融引き締めの可能性がまだあることも示唆していました。

議事要旨に「インフレは緩やかになったが依然として高水準であり、追加利上げの可能性排除はまだできないと明確にすることが重要だとの認識で一致した」との記載があり、インフレへの高い警戒感がうかがえます。利上げの根拠については、「特にサービス価格などでインフレが予想より粘り強くなりかねないリスクが軸にある」としています。

豪中銀のタカ派的なスタンスは早期利下げ観測の後退につながっており、豪ドルが買われたことで豪ドル円は年初来高値を更新しました。

FXマーケットニュース。2024年3月4日

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