米雇用統計は雇用者数が堅調も失業率は高水準に、ユーロ圏の政策金利は据え置き

FXマーケットニュース。2024年3月11日
目次

概要

  • 2月の米雇用統計は雇用者数の伸びが堅調だったが、失業率が2年ぶりの高水準に
  • 労働市場が減速すればインフレが再燃するリスクが低くなり、FRBにとって利下げしやすい環境に
  • 米ISM非製造業景況指数は市場予想を下回り、前月からも低下
  • 雇用の指数も縮小の領域である48に低下
  • ECBが理事会を開催し、4会合連続での政策金利据え置きを決定
  • ただし、インフレ率と成長率の予想を引き下げたことで、市場では「ECBが6月に利下げする」との観測が高まった

米雇用統計は雇用者数が堅調も失業率は高水準に

2月の米雇用統計は雇用者数の伸びが堅調だったものの、失業率が2年ぶりの高水準となりました。強弱入り交じる内容となり、労働市場の減速には警戒が必要になりそうです。

非農業部門雇用者数は市場予想が前月比20万人増、結果が27万5000人増となり、結果が市場予想を上回りました。しかし、失業率は市場予想が3.7%、結果は3.9%となり、2年ぶりの高水準となっています。

また、平均時給は市場予想が前月比4.3%増、結果も4.3%増となり、結果と市場予想が一致しました。今回の雇用統計は、労働市場が徐々に減速していることを示唆していると言えます。

労働市場が減速すればインフレが再燃するリスクが低くなるため、米連邦準備制度理事会(FRB)にとって利下げしやすい環境になります。労働市場の減速が非常に緩やかなスピードであることが、利下げを急がない理由の一つだということを、FRBはこれまで示唆してきました。

ある市場関係者は「2月の雇用統計はリセッション入りを思わせるものではなかった。だが、高インフレの要因となっていた熱を帯びた雇用市場を沈静化させるという任務の達成に、FRBが近づきつつあることが示唆された」との見解を示しています。別の市場関係者は「賃金は依然として比較的堅調だが、雇用の他分野における弱さはFOMCに早期の利下げ開始を促すかもしれない。ドルにとっては悪いニュースだ。」と述べています。

また大統領選挙を意識してか、バイデン米大統領も「FRBが金利を引き下げる」との見方を示しました。雇用統計の結果を受け、市場は6月に0.25ポイントの利下げが実施され、年間での利下げ幅は計1ポイントと予想しています。

利下げが意識されるとドルが売られやすくなることから、ドル円は下落が続く可能性がありそうです。

米ISM非製造業景況指数が予想を下回る結果に

米供給管理協会(ISM)が発表した2月の非製造業景況指数は、市場予想が53.0、結果が52.6となり、結果が市場予想を下回りました。活動の拡大と縮小の境目を示す50を上回ってはいますが、前月の53.4からも低下しています。

ISM非製造業景況調査委員会のアンソニー・ニエベス委員長は、「回答者の大半は、業況についておおむね前向きだ」としつつ、「インフレや雇用、現在見られる地政学的な紛争への懸念は残っている」と警戒感を示しました。今回の結果は市場予想を下回った上、雇用の指数も縮小の領域である48に低下したことで、ドルが売られてドル円は一時150円を割り込む下落を見せました。

ユーロ圏の政策金利は据え置きに

欧州中央銀行(ECB)が理事会を開催し、4会合連続での政策金利据え置きを決定しました。ただし、今年のインフレ率の予想を2.7%から2.3%、成長率の予想を0.8%から0.6%に下方修正したことで、市場では「ECBが6月に利下げする」との観測が高まっています。

政策金利は過去最高となる4.5%となっていますが、ECBは「十分に長い期間、現水準の金利を維持することが、消費者物価の伸びを目標の2%に戻すことに大きく貢献する」と、これまでと同じく強調しました。ユーロ圏のインフレ率はECBが目標とする2%に近づいていますが、ECBは早過ぎる緩和によるインフレ再燃というリスクを警戒しており、賃金の上昇が抑制されているというデータを求めています。

ラガルドECB総裁は理事会後の記者会見で、「今回の理事会では利下げについて議論しなかった」としつつ、「十分な情報が得られるという条件の下、制約的スタンスの縮小を巡る討議を開始するところだ」と述べました。また、賃金の伸びについては「緩やかになり始めている兆候が出ている」との認識を示しています。

今回の理事会ではインフレ率と成長率の予想を引き下げることで、年内の利下げ着手に向けた地ならしを行ったと見ることができます。加えて、ラガルド総裁の発言も賃金データが発表された後の6月の理事会で利下げが決定される公算があることを示唆したと言えるでしょう。

現在、市場は年内に3回、または4回の利下げを実施すると予想しています。

FXマーケットニュース。2024年3月11日

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