3月の米雇用者数は約1年ぶりの大幅増、ユーロ圏CPIが前月から伸び鈍化

FXマーケットニュース。2024年4月8日
目次

概要

  • 3月の米非農業部門雇用者数は、結果が市場予想を大きく上回って約1年ぶりの大幅増となった
  • サマーズ元米財務長官「6月の金融政策について処方箋を出したいとは思わないが、現在の事実とトレンドを踏まえると、利下げは不適切な行動だと言えよう」
  • 3月のユーロ圏CPIは、総合・コア共に結果が市場予想を下回り、前月から伸びが鈍化
  • 米国や英国でも年内の利下げが予想されるが、ユーロ圏はCPIがより低下しており、経済も低迷していることから、利下げの先陣を切るのはユーロ圏になる可能性
  • 日銀が発表した3月の短観の大企業製造業業況判断指数は、結果が市場予想を上回ったが、4四半期ぶりに前回より悪化した

3月の米雇用者数は約1年ぶりの大幅増に

3月の米非農業部門雇用者数は市場予想前月比21万4000人増、結果が30万3000人増となり、結果が市場予想を大きく上回りました。約1年ぶりの大幅増となっています。

ある市場関係者は「米国の労働市場は、減速するどころか強さを増しているようで、金融緩和を遅らせるリスクがある」との見方を示しました。市場はこれまで6月に利下げがあると予想していましたが、現在は7月に予想を変更しています。

消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)の発表も近く予定されており、結果次第でさらに利下げ予想が後ずれする可能性もあります。ただし、労働参加率が昨年11月以降で初めて上昇したことで、これが賃金上昇圧力、そしてインフレ圧力の緩和につながることも考えられそうです。

平均時給は市場予想が前月比0.3%増、結果も0.3%増となり、結果と市場予想が一致しました。前月の0.2%増から伸びが加速しています。

また、失業率は市場予想が3.8%、結果も3.8%となり、こちらも結果と市場予想が一致しました。前月の3.9%からは低下しています。

サマーズ元米財務長官は雇用統計の結果について、「今回はどちらかといえば経済の再加速を示唆する重要な統計だ」とし、「6月の金融政策について処方箋を出したいとは思わないが、現在の事実とトレンドを踏まえると、利下げは不適切な行動だと言えよう」と述べています。雇用統計の発表前にはなりますが、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁からも「インフレ鈍化の進展が滞る場合、年内の利下げは必要なくなる可能性がある」との考えが示されました。

利下げ見通しが後退すればするほど、ドルが買われやすくなることでドル円の上昇が想定されますが、日本政府と日銀の為替介入に警戒する必要があり、ドル円を買う場合は慎重にすべきかもしれません。

ユーロ圏CPIが総合・コア共に前月から伸びが鈍化

3月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)は、総合が市場予想前年同月比2.6%上昇、結果が2.4%上昇となり、結果が市場予想を下回りました。前月の2.6%上昇から伸びが鈍化しています。

また、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア価格指数は、市場予想前年同月比3.0%上昇、結果が2.9%上昇となり、こちらも結果が市場予想を下回りました。そして、前月の3.1%上昇から伸びが鈍化しています。

インフレ率が欧州中央銀行(ECB)の目標とする2%に向けて低下しつつあり、ラガルド総裁が示唆している6月の利下げが現実味を帯びてきました。市場は現在、6月から年間で計3回から4回、0.75ポイントから1ポイントの利下げを予想しています。

欧州で第一位の経済大国であるドイツのCPIも3カ月連続で低下しており、ECBが6月に金利を引き下げ始めるとの期待が高まってきました。さらに、スペイン銀行(中銀)のデコス総裁も「現時点で自分の中心シナリオは、6月が初回の利下げに実際なり得るというものだと思う」と語っています。

米国や英国でも年内の利下げが予想されていますが、ユーロ圏はCPIがより低下しており、経済も低迷していることから、利下げの先陣を切るのはユーロ圏になる可能性が高そうです。

大企業製造業の景況感が4四半期ぶりの悪化

日銀が発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業製造業の業況判断指数が市場予想10、結果は11となり、結果が市場予想を上回りました。ただし、前回に実施された昨年12月の調査では13となっており、4四半期ぶりの悪化となりました。

自動車が13と、前回の28から大幅に悪化しています。自動車はトヨタグループのダイハツ工業や豊田自動織機の認証試験の不正発覚に伴う生産・出荷停止などがあり、これが自動車ならびに大企業製造業全体の企業心理に大きく影響したと思われます。

ある市場関係者は、「製造業の悪化はいくつかの自動車関連の不祥事によるものであり、その影響は一時的」とし、「今回の短観で日銀の政策スタンスが変わるということはないだろう。次の利上げが早まったとか遅くなったとかはない」と語りました。

FXマーケットニュース。2024年4月8日

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