米PCEが総合・コア共に伸び鈍化、東京都区部CPIは3カ月ぶりに2%台へ上昇

FXマーケット分析2024年7月1日。
目次

概要

  • 5月の米PCEは、総合・コア共に前月から伸びが鈍化
  • 市場関係者「財価格のデフレと弱さが見られ始めつつある。少なくとも9月利下げの可能性が出てきた」
  • 6月の東京都区部CPI(生鮮食品を除くコアCPI)は、3カ月ぶりに2%台へ上昇
  • 7月に追加利上げが実施されるかどうかは、なお見極めが必要との見方
  • 5月の米国の新築一戸建て住宅販売件数は、昨年11月以来の低水準となった

米PCEが総合・コア共に伸び鈍化で利下げ期待高まる

5月の米個人消費支出(PCE)は、総合が市場予想前年同月比2.6%上昇、結果も2.6%上昇となり、結果と市場予想が一致しました。ただし、前月の2.7%上昇から伸びが鈍化しています。

また、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア価格指数は、市場予想が前年同月比2.6%上昇、結果も2.6%上昇となり、こちらも結果と市場予想が一致しました。そして、前月の2.8%上昇から伸びが鈍化しています。

PCEは米連邦準備制度理事会(FRB)が重視している経済指標であり、今回の結果はFRBに一定の安堵感をもたらすでしょう。ある市場関係者は「これはインフレが正常に戻りつつあると米金融当局に納得させるような良好なデータだ」と指摘しました。

インフレが収まってくれば高金利を継続して物価を抑える必要が薄れ、利下げをしやすい状況になります。別の市場関係者は「財価格のデフレと弱さが見られ始めつつある。少なくとも9月利下げの可能性が出てきた」との認識を示しました。

サンフランシスコ連銀のデーリー総裁はPCEの結果について、「成長は鈍り、消費もペースが落ちている。労働市場は減速し、インフレ率も下がってきた」とし、金融政策が機能している証拠だとのとの見解を示しています。一方で、いつ金利を引き下げるのが適切かについては、判断するのは時期尚早と指摘しました。

現在、市場は9月に利下げが開始され、年間では計2回0.5ポイントの利下げが実施されると予想しています。利下げ期待が高まれば、日米の金利差が縮小するとの思惑からドル円は下落しやすくなります。

ただし、今のところは円安に歯止めがかかっておらず、神田財務官が「行き過ぎた動きに対しては必要な対応を取る」とのけん制発言をしたにもかかわらず、ドル円は一時約38年ぶりの水準となる161円台前半まで上昇を見せました。ユーロ円でも過去最高値を更新しています。

また、神田財務官の後任に三村国際局長を起用する人事が報じられましたが、三村次期財務官が為替政策についてどのような意向を示すのか注目されそうです。

東京都区部CPIが3カ月ぶりに2%台へ上昇

6月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、市場予想が前年同月比2.0%上昇、結果は2.1%上昇となり、結果が市場予想を上回りました。東京都区部CPIは全国の物価の先行指標として知られています。

前月は1.9%上昇であり、日銀が目標とする2%台に今回3カ月ぶりに達しました。ただし、7月に追加利上げが実施されるかどうかは、なお見極めが必要との見方が出ています。

政府による電気・ガス価格激変緩和対策事業の補助額が半分程度になったことが、今回の結果に大きく影響しました。ある市場関係者は日銀が7月に利上げに動くかどうかは為替次第であり、「今ぐらいの状況で推移するなら、7月に動く可能性は非常に高い」との認識を示しています。

別の市場関係者は「日銀が注視するサービス価格などを見る限り、利上げをサポートする材料としては乏しい」との見解を示しました。植田日銀総裁は7月会合での利上げについて「十分あり得る」と発言しており、市場の思惑は依然として落ち着かない状況が続きそうです。

米新築住宅販売件数が11月以来の低水準に

5月の米国の新築一戸建て住宅販売件数は、市場予想が63万3000戸、結果が61万9000戸となり、結果が市場予想を下回りました。昨年11月以来の低水準となっています。

住宅関連指標は全般的に景気に対して先行性があると言われていますが、所有権の移転をもって計上される中古住宅販売件数に比べ、新築住宅販売件数はさらに1〜2カ月先行性があると見られています。

住宅ローン金利は6月中旬に3月下旬以来初めて7%を割り込みましたが、それでも2021年末の倍を超えています。高金利は住宅購入者の負担につながるため、購入意欲が抑えられることになります。

ある市場関係者は「住宅ローン金利のさらなる大幅な低下が見られるまで、新築住宅販売のさえない動きが続く可能性がある」との認識を示しました。FRBがいつ利下げを実施するのかが、新築住宅販売件数に大きな影響を与えることになりそうです。

FXマーケット分析2024年7月1日。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次