FX初心者がトレードで利益を上げるためには、感覚的に売ったり買ったりしても成果をあげることは難しいでしょう。 また、ときどき運よく勝てたとしてもそれが継続できなければ資金は増えていきません。
この記事では、FX初心者が継続して利益を上げられる取引の方法と、トレードするまでの手順について詳しく解説します。日本人の多くのトレーダーが取引するドル円を例に実際のチャートを使って分かりやすく説明していきますので、すぐにトレードで活かすことができるでしょう。
トレードの前の環境認識
環境認識とは今の相場がどのようなテーマで動いているのかという相場背景や、月足、週足、日足といったチャートで全体的にどの通貨が相場を動かしているのか、どの通貨ペアが活発に動いていて、どの通貨ペアは動いていないのか、などの相場の全体図と大まかな流れを把握することです。
環境認識はファンダメンタルズ分析とテクニカル分析を使う
分析というと難しそうに思われるかもしれませんが、慣れれば難しいことはありません。まずファンダメンタルズ分析から見ていきましょう。
ファンダメンタルズ分析
FXトレーダーにとってのファンダメンタルズ分析とは経済に大きく影響を与えるテーマを把握することです。アメリカが政策金利を上げるとか、戦争、干ばつで農作物に大きな被害が出た、などの大きなニュースや定期的に発表される経済指標で注目されるテーマを把握しておきましょう。そして、その中でももっとも大きな要素は相場のニュースで頻繁に出てきますから、経済ニュースを読んでいれば簡単に情報を得られます。同時に重要な経済指標は定期的に確認しておくことが大切です。
ファンダメンタルズ分析について詳しく知りたい方はこちら
テクニカル分析
テクニカル分析は過去のチャートの形から次の相場の動きを分析する方法です。過去のチャートはそれまでに起こったさまざまな事柄がすべて値動きに織り込まれているため、相場の流れを視覚的に捉えることができます。具体的には月足チャート、週足チャート、日足チャートの順に見ることで、相場の流れがわかります。
実際にドル円の月足チャート、週足チャート、日足チャートを見てみましょう。
ドル円月足チャート
ドル円週足チャート
ドル円日足チャート
ファンダメンタルズ分析としてはアメリカの政策金利の上昇が最も大きな要因となっていて、日本は政策金利を極低金利で維持していることからアメリカと日本の金利差がどんどん開くという背景があります。したがって、ドルが買われて円が売られる相場となっていることもチャートに表れていることから、ドル買い相場という環境認識ができ、ドル円には上昇トレンドが出ていることもわかります。
トレンドは明確な転換パターンが現れるまでは継続するので(ダウ理論)、トレード戦略はドル円の買いが利益を出しやすいと判断できるでしょう。このようにファンダメンタルズ分析とテクニカル分析によって相場の環境を認識することで、どの通貨ペアでどの方向にトレードすれば良いかかがわかります。
具体的な取引手法の選択をしよう
FX専業トレーダーでない限り、仕事をしながらトレードするためには限られた時間を有効に活用する必要がありますから、それぞれのライフスタイルに合ったトレードの時間軸を選びましょう。トレードの時間軸は大きく分けて4つあります。
- スキャルピング
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エントリーからポジションクローズまでが数秒から数分のトレードです。どちらかと言えば直感的なトレードで、相場の値動き(プライスアクションと言います)を見てエントリーし、数pipsを取りに行くトレードです。非常に高い集中力と瞬間的な判断が必要で高い熟練を要します。1日に何十回もトレードすることがあります。
- デイトレード
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エントリーからポジションクローズまで数十分から数時間のトレードで、狙いに行く値幅は数十pipsです。相場の動く時間を狙ってトレードすれば効率よく利益を上げることができます。1日のトレード回数は1回から数回です。
- スイングトレード
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エントリーからポジションクローズまで数日のトレードです。大きな流れに乗って100pips以上を狙うトレードです。
- ポジショントレード
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エントリーからポジションクローズまで1ヶ月から数か月、時には1年以上ポジションを持つトレードです。狙いに行く幅も数百pipsと大きくなります。
特にFX初心者におすすめするトレードはデイトレードとスイングトレードです。
デイトレードは1日に何度もエントリーチャンスがあるので効率よくトレードできることに加えて、トレードの練習にもなり早く上達するためにも最適です。またスイングトレードは強いトレンドが出ている場合には1回のトレードで大きな利益を得ることが可能です。チャートは1時間足や4時間足を使います。
またFXは取引回数が多くなればなるほど、つまり時間軸が短くなればなるほど難しくなることも覚えておきましょう。
取引手法はトレンド相場を見つけて「押し目買い」か「戻り売り」を狙う
月足、週足、日足で環境認識ができたら、次はいつ、どこでエントリーするかという取引の方法を考えます。上記で例に挙げたチャートではドル円に上昇トレンドが出ているので、上昇トレンド相場でトレードするための取引手法は「押し目買い」が最も有効な取引手法です。
相場は上昇相場といっても一直線に上がっていくわけではなく、必ず一旦横這いになったり、一度下がったりしながら再度上昇していきます。押し目買いは上昇相場が一旦下がったところからエントリーを狙う取引方法です。具体的にはチャートパターンを利用すると簡単にエントリーポイントを見つけることができます。強い上昇トレンドの中で少し下がったところや横這いの場面ではチャートにトレンドの継続パターンが出現しますから、そのパターンのブレイクを狙います。
下図はドル円の1時間足チャートです。
上昇トレンド中にトレンドの継続パターンであるフラッグとペナントが出ています。そのブレイクで買いエントリーを仕掛ければ、一度も含み損になることなく利益を得られることがわかります。強いトレンドの場合、どこで入っても待っていれば利益になると考える人もいるかもしれませんが、そういうトレードは利益になるまでに大きな含み損に耐えなければならない場合が多々あります。
例えば、以下のような場合です。
ドル円が上がっているからといって何の戦略もなく高値で相場に飛び乗った場合です。この場合は最大378pipsの含み損に耐え、エントリーから14日後にようやく含み益になります。このようなトレードは非常に非効率的で、普通はトレーダーのメンタルが含み損のストレスに耐えられず、途中で損切りしてしまうか、利益を確定して早く楽になりたいという衝動から利益が出た瞬間にポジションをクローズしてしまうことが多いと思います。
このように、エントリーの方向は正しくてもエントリータイミングが悪いと長い時間含み損に耐えなければならなかったり、利益が出ても少ない利益でトレードを終えることも多いでしょう。上昇トレンドが出ている相場で取引をする場合は、しっかりと押し目を待ち、有利な位置からエントリーすることが大切です。
テクニカルツールを使ってみよう
環境認識でドル円の買いに優位性があることが分かり、どこでエントリーするかを判断するもう一つの取引方法がテクニカルツールを使う方法です。テクニカルツールにはトレンド系とオシレーター系がありますが、トレンド相場なのでトレンド系のツールを使います。ここでは移動平均線を紹介しましょう。
このチャートは上で紹介したチャートに3本の移動平均線を表示させたものです。チャートの左側で赤色の移動平均線で何度も跳ね返されて上昇しているパターンがあることがわかります。
そのパターンから、この相場は4時間足の20本移動平均線にタッチしたところで買いエントリーをすることに優位性があることがわかります。(20本移動平均線とは、移動平均線のパラメータを20に設定した線です)
オレンジ色の丸で示した場所は20本移動平均線を大きく割り込んだ場面で、こういうところではもう一度20本移動平均線の上に乗って来るのを待つと良いでしょう。その後もう一度20本移動平均線の上にローソク足が乗ってきてからはまた同じパターンが継続しています。
また、少し上級者向けですが、一目均衡表の場合は以下のようになります。
青い丸印でローソク足が抵抗帯を上抜け、遅行スパンがローソク足を上抜け、転換線が基準線を上抜けしました。これを「三役好転」といい、買いエントリーのサインです。この場合は青い丸印から買いでエントリーすれば三役好転が長い間維持されていることから、大きな利益を得られたことがわかります。
このように、MT4に備わっているさまざまなテクニカルツールを使うことでも、エントリー場所を見つけることができます。テクニカルツールはたくさんありますので、自分のトレードスタイルと相場環境に合ったものを選ぶと良いでしょう。
まとめ
FXトレードで利益を上げるためには、環境認識を行い、相場に合った取引手法を選択することが大切です。そしてトレンド相場がもっとも効率よく利益を出せるので、トレンド相場の押し目買いと戻り売りを基本の取引手法とし、それを継続すると良いでしょう。そうすることで安定して利益が出せるようになり、トレーダーとしての自信もつきますから、FX初心者にはトレンド相場の戻り売りと押し目買いを特におすすめします。