トレーダーなら今までにチャンスを逃してしまうことが嫌で何となくポジションを保有したり、損切りしたあとに早く損失を取り返したい衝動にかられ、感情的に売ったり買ったりして更に損失を大きくした経験のある方も多いと思います。本記事ではこのようなトレーダーの大敵のポジポジ病について、原因と対処法について詳しく解説します。いつまでたっても勝てない原因の一つ、ポジポジ病の克服に役立てましょう。
ポジポジ病とは?
ポジポジ病とは感情的にポジションを乱立させたり、ポジションを持っていないと落ち着かない状態を言い、トレーダーなら誰でもポジポジ病にかかる可能性があります。ポジポジ病と一言にいってもさまざまな種類があります。ポジポジ病の種類ごとの特有の原因と対処法を見ていきましょう。
4つのポジポジ病
ポジポジ病は大きく4種類に分けることができます。
1 トレードチャンスを逃すのが嫌で常にポジションを保有していたいという気持ちの時にかかるポジポジ病
2 損切りした後に、早くその損失を取り返したいという衝動に駆られた時にかかるポジポジ病
3 早く稼ぎたいという焦りの気持ちがある時にかかるポジポジ病
4 連戦連勝しているときにかかるポジポジ病
どのタイプのポジポジ病もかかってしまうと、根拠のない無駄な取引が増えて負けが続いてしまったり、適切な損切りができずに損失が大きくなってしまうなど、安定して勝てるトレーダーになることができません。
さらにFXで大きな損失を出してしまう可能性が高いばかりか、以下のように私生活にも支障が出てしまうこともあります。
- ポジションが気になって仕事に集中できなくて大きなミスをする。
- 携帯を見ながら歩いたり、車を運転しながら携帯でチャートを見ていて事故をする。
- 睡眠不足になる。
- 感情的なトレードによって信じられないような大きな損失を出す。
- いつもポジションの事ばかりが気になることで約束を忘れたり、いいかげんな会話などが原因で大事な人間関係に問題が起きる。
では、ポジポジ病のタイプごとに症状と原因と対処法について詳しく解説していきましょう。
1 トレードチャンスを逃したくない気持ちが強い時にかかるポジポジ病
症状
- 過去にチャートを見ていない時に相場が大きく動いてしまい、利益を取り損ねた経験から、常にポジションを持っていないと落ち着かない。
- 仕事中に何度も保有ポジションの損益がどうなっているかを確認し、少しでもチャンスがあれば更にエントリ―しなければならないという気持ちに支配されて仕事に集中できない。
- 相場が下がりそうだから売っておこう、相場が上がりそうだから買っておこうと根拠の薄いポジションを保有していて、一日中そのポジションの損益が気になって仕方がない。
原因
- 自分のトレードスタイルが確立していない。
- 相場が良く動く時間帯やどの通貨が今の相場をけん引しているのか、などの基本的な相場分析ができておらず相場の流れが把握できていない。
- 知識不足と経験不足(初心者に多い)
- 資金計画が立っていない、もしくは立てられない。
対処法
- 1 ライフスタイルに合わせたトレードスタイルを確立させる
-
仕事中にトレードのことを気にする必要のないトレードスタイルを確立しましょう。
- 2 トレードルールを決める
-
仕事中にチャートを見なくても良いような時間軸やトレード時間を決めましょう。
- 3 相場が動く時間帯や重要な経済指標の発表などのスケジュールを確認しておく
-
経済指標発表カレンダーを毎日確認しましょう。
2 損失を早く取り返したい時にかかるポジポジ病
症状
- 損切りした後に頭に血が上り、冷静さを失って感情的にポジションを作る。
- 損失を早く取り返したい気持ちから一度もトレードしたことのない通貨ペアでもチャンスを探してトレードする。
- 早く損失を取り返すために普段は見ない5分足や1分足(いつもより短い時間足)でトレードする。
- 気が付いたらいつもよりも多くのポジションを持っている。
- 気が付いたらナンピンしている。
- リスクリワードや損切りを考えないでポジションを持っている。
原因
- 感情や衝動をコントロールできず平常心が保てない。
- トレードルールがない、もしくはルールがあっても守れない。
- 資金管理ができていない。
対処法
- 1 プロスペクト理論を理解する
-
プロスペクト理論とは行動経済学の理論で、簡単に言うと多くの人は1万円の損失を確定させるくらいなら、2万円のリスクをとった方が良いと考えて行動するような性質があることを理解しましょう。
- 2 トレードルールを徹底する
-
損切りしたら1時間休憩する、2連敗したらその日はそれ以上トレードしない、などのルールを作り、それを守りましょう。
- 資金管理のルールを作る
-
1回のトレードでの損失は証拠金の2%まで、1日の損失の合計は証拠金の5%まで、などのルールを作り、それを守りましょう。
3 早く稼ぎたいという焦りの気持ちがある時にかかるポジポジ病
症状
- 「私は今日これくらい稼いだ!」という他のトレーダーのSNSを見て、自分も稼がなければと焦ってトレードしている。
- いつまでにいくら稼がなければならないというノルマがある。
- お金が欲しい、もしくはお金が必要だという強い欲求によってトレードしている。
- 失ったチャンスで取れなかった分の利益を取り返したいという気持ちでトレードしている。
原因
- 自分のトレードに自信がないため他のトレーダーが気になる。
- 自分のトレードの成績(勝率やプロフィットファクター)を把握していない。
- お金が欲しいという欲やお金を稼がなければいけないという切迫観念や切実なノルマがある。
- 逸失利益に固執している。
対処法
- 1 トレードスタイルを確立する
-
自分に合ったトレードスタイルを確立し、それだけに集中し利益を出すようにしましょう。他人と比べる必要がなくなり、他人のトレードも気にならなくなります。
- 2 自分のトレードの成績を正確に把握する
-
自分のトレードの勝率とプロフィットファクターを把握し、その数値を改善することに意識を向けてトレード成績を向上させることに努めましょう。
※勝率とプロフィットファクターの把握はMT4で簡単にできます。
- 3 トレードと資金繰りを切り離す
-
生活に必要な資金をトレードに使わない、また、トレードで得られた利益を生活資金としてあてにしてはいけません。
- 4 逸失利益を追いかけない
-
逃したチャンスは絶対に帰ってきません!「もったいない」「しまった」と後悔しても1円にもならないと割り切って考え、これからやって来るチャンスに備える意識を持ちましょう。
4 絶好調の時にかかるポジポジ病
症状
- 連勝中でエントリ―が雑になっている。
- 自分はトレードの天才だと思っている。
- 負けることを忘れている、もしくは負けることを想定しないでトレードしている。
- 無計画に感覚だけでトレードしてたまたま連勝している。
- チャンスと見れば深く考えずエントリーしている。
- 連勝を伸ばすことにこだわっている。
原因
- 連戦連勝によって過度に自信を持ちすぎている。
- お金が増えていくことに多くの意識が行ってしまい相場を見ていない。
- 気のゆるみから緊張感と集中力が失われている。
- ギャンブル感覚でお金が増えることが楽しいと感じている。
対処法
- 1 トレードの記録をつける
-
毎回トレード記録をつけ、自分の自分のトレードスタイルや勝率など振り返りと分析を必ず行いましょう。また、連勝があれば連敗もあることを忘れず、過去の連敗を振り返ってみましょう。
- 2 自分を律するルーティーンを作る
-
トレードする前に自分の精神状態を客観的に観察する癖をつけ、そのためのルーティーンを作りましょう。連勝で気が緩んでいるような精神状態であればトレードは控えましょう。
- 3 トレードルールを徹底して守る
-
どんなときでもトレードルールを絶対に守る強い意志と行動力を持ちましょう。ルールを破るような例外を認めることはNGです。
ポジポジ病を防ぐ対策方法
ポジポジ病にならないために以下2つのトレードルールを決め、ルールを守ることを徹底しましょう。
自分のトレードルールを作る。
- エントリ―、損切り、利益確定のルールを決める。
- トレードする時間帯を決める。
- トレードする通貨ペアを決める。
- トレードする時間足を決める。
- やってはいけないトレードをリストアップする。
資金管理のルールを作る。
- 1回のトレードで許容される最大損失額を決める。
- 1日のトレードで許容される最大損失額を決める。
- 1週間のトレードで許容される最大損失額を決める。
- 最大損失額に達したら、それ以上トレードをしない。
ポジポジ病対策を徹底する2つのアイデア
いくらルールを作っても、守らなければ意味がありません。しかも、トレード中は思考はトレードに支配されていることが多いので、トレードルールのことなど忘れてしまっていることの方が多く、ルールを守るのは非常に難しいかもしれません。そこで、以下の2つの方法でトレードルールを守るための工夫を提案します。
毎回自分のトレードを記録する
毎回自分のトレードを記録し、振り返りと分析を実践してみましょう。
トレード記録をつけて自分のトレードを振り返り、勝った原因、負けた原因を分析することができるので、「なんとなく」のトレードや感情的なトレードを防ぐことができます。
自分のトレード成績をデータで客観的に把握するために、以下のような工夫をしてみましょう。
- 勝率とプロフィットファクターはいつでも見られる場所に貼っておく。
- 過去の連敗記録とその時の損失額をいつでも見られる場所に貼っておく。
- 過去のロスカットや大損失を出した時のパターンをいつでも見られる場所に貼っておく。
トレーダーのメンタルについての正しい知識と対処方法を知る。
感情的になってしまうとポジポジ病にかかってしまう場合が多いので、感情を適切にコントロールする「メンタル管理」は非常に重要です。
メンタル管理をするために以下のことを実践してみましょう。
- プロスペクト理論を理解する。
- 過去に感情的になって失敗したトレード内容を具体的に書き出して、いつでも目に入る場所に貼っておく。
- 冷静でなければトレードしないことを徹底するために、今の自分は冷静かどうかを問いただす言葉をトレード中の視界に入る場所に貼っておく。落ち込んでいても浮かれていても、正しいトレード判断はできないと自分に言い聞かせる。
- 仕事で重大な問題が発生した、大きなけがをした、病気になった、人間関係に深刻な問題が発生した、トレード以外でお金の問題が発生した、というような時はトレードしない。
まとめ
ポジポジ病はトレーダーであれば誰でもいつでも発症する危険性があり、経験を積んだトレーダーでも油断すると簡単に発症します。ポジポジ病の症状に気づいたら、まず自分でポジポジ病の診断を下して早く適切に対処すれば、傷は浅いうちに立て直すことが可能です。ポジポジ病の正しい知識と対処方法を今一度見直して、大きな損失を出す前に対処できていないところは早急に対応しておきましょう。