リスクリワードは、取引ごとの損失(リスク)と利益(リワード)の比率を表します。FXトレードでは勝率に目が行きがちですが、リスクリワードを無視すると、高い勝率でも利益が上がらないケースがあります。この記事では、FXにおけるリスクリワードの重要性とその活用方法を解説します。
FXのリスクリワードとは
FXの世界では勝率を重視するトレーダーが多いですが、実はリスクリワードも大変重要な要素です。リスクリワードとは、1回の取引で得られる利益と損切りの幅の比率を指します。
トレードの勝ち負けはメンタル面に大きく影響するため、勝率を重視するトレーダーが増えています。しかし、勝率が低くてもリスクリワードが良ければ、安定した利益を獲得することが可能です。
勝率とリスクリワードを両立することが大切
トレードにおいてメンタル面は重要です。高い勝率はメンタル的安定をもたらし、トレードに対する精神的な安定感が生まれます。しかしながら、勝率に注力しすぎると、損失の増大に繋がる場合もあります。勝率が良くてもリスクリワードが悪いと、損失が増大します。
具体的な例で考えてみます。仮に1回の取引で利益と損失の比率が1:10(リスクリワード0.1)とします。「利幅が狭く損失が大きい」トレード手法は、一般的に高い勝率を持ちやすい傾向があります。しかしながら、リスクリワードが1:10の場合、勝率が90%だとしても損失が大きくなります。
上記の例は極端なケースですが、勝率だけを追求しても意味がないことがわかります。FXトレードを行う際は、過去の取引データを参照し、自分のリスクリワードを把握することが大切です。
- 過去の取引データを参照して、自分のリスクリワードを把握することが重要
- リスクリワードは1回の取引で得られる利益と損切りの幅の比率を示す重要指標
- 勝率だけでなく、リスクリワードを意識することが安定した利益に繋がる
FXにおけるリスクリワードの計算方法
ここまででリスクリワードの重要性についてはご理解いただけたと思います。では、FXトレードでリスクリワードを実際に算出する方法は何でしょうか?以下の2つの方法が存在します。
①金額ベースでリスクリワードを計算する方法
②値幅(pips)ベースでリスクリワードを計算する方法
金額ベースでリスクリワードを計算する方法
金額ベースでリスクリワードを計算する際は、トレードによって生じる利益と損失の金額でリスクリワードを算出します。
例えば、利益が4万円に到達したポイントで利確し、損失が2万円になったポイントで損切りするトレード戦略を用いる場合、「4万円÷2万円」でリスクリワードが2となります。
値幅(pips)ベースでリスクリワードを計算する方法
値幅(pips)ベースでリスクリワードを計算する場合、取引の決済ポイントとエントリーポイントの差をpipsで数値化して算出します。
値幅(pips)ベースでリスクリワードを計算する方法を用いる際の例:利益が40pipsで利確し、損失が10pipsで損切りするトレード戦略を使う場合、「40pips÷10pips」でリスクリワードが4となります。
FXにおけるリスクリワードの理想値
FX取引において、リスクリワードと勝率を適切に設定することが、効果的な取引戦略の鍵となります。では、どのような数値のリスクリワードと勝率が理想的な戦略と言えるのでしょうか?
以下の表はリスクリワードと勝率における利益率を一覧表にしたものです。
リスクリワードの値 | ||||||||
0 | 0.3 | 0.5 | 1 | 1.5 | 2 | 3 | ||
勝率 | 25% | -75% | -68% | -63% | -50% | -38% | -25% | 0% |
30% | -70% | -61% | -55% | -40% | -25% | -10% | 20% | |
33.30% | -67% | -57% | -50% | -33% | -17% | 0% | 33% | |
40% | -60% | -48% | -40% | -20% | 0% | 20% | 60% | |
50% | -50% | -35% | -25% | 0% | 25% | 50% | 100% | |
60% | -40% | -22% | -10% | 20% | 50% | 80% | 140% | |
66.70% | -33% | -13% | 0% | 33% | 67% | 100% | 167% | |
70% | -30% | -9% | 5% | 40% | 75% | 110% | 180% | |
76.90% | -23% | 0% | 15% | 54% | 92% | 131% | 208% |
リスクリワードが1対1の場合
リスクリワード1(1対1)の場合、勝率が50%以下だと利益が生まれません。勝率50%では利益と損失が相殺されるため、トレードを行っても意味がありません。また、この場合はスプレッドや取引手数料等のコストを考慮していないため、勝率が50%よりわずかに高い程度では利益が見込めないと考えられます。
リスクリワードが1(1対1)の場合、目安となる勝率は60%です。60%以上の勝率があれば利益が積み重なると言えます。
リスクリワードが1対2の場合
リスクリワード2(1対2)の場合、勝率が33.30%以下では利益が発生しません。前述の通り、スプレッドや取引手数料等のコストを考慮しない場合、勝率が33.30%よりもわずかに高い程度では利益がほとんどないと考えられます。
リスクリワードが2(1対2)の場合、基準となる勝率は40%です。この勝率があれば利益が積み上がるリスクリワードとなります。
リスクリワードが1対3の場合
リスクリワード3(1対3)の場合、勝率が30%でも利益を見込むことができる数値となります。リスクリワードが3(1対3)で勝率が高く、定期的にエントリーポイントが見込める取引手法を見つけるのは難しいですが、見つかればかなり利益率の高い手法になります。
ただし、勝率が30%ということは、「負けが続く」という感覚になることを意味します。メンタル的に負けが続くトレードに耐えられない方は、リスクリワードを下げて勝率を上げる等の対策が必要となります。
「FXはリスクリワードだけで勝てる」という嘘
FXのリスクリワードを調べる際、「FXはリスクリワードだけで勝てる」という情報が目に入ることがあります。確かに、リスクリワードを重視するとトレード結果が向上することも事実ですが、これだけに頼るのは極端です。
利益を出すためには勝率も重要
トレードで損失が出ると精神的に負担がかかります。それ故、多くの人が高勝率の戦略を利用しようとします。
しかし、リスクリワードと勝率どちらか一方だけが高くても、もう一方が低い場合利益率は低くなります。リスクリワードと勝率のバランスを見つけ、ストレスなくトレードを続けることが重要です。
リスクリワード1対2の手法を探す
理想的なリスクリワードは何でしょうか?取引手法を選ぶ際、「リスクリワードが2(1対2)になる」ことを基準にすることをおすすめします。
リスクリワードが2(1対2)なら、勝率50%で利益率50%が確保できます。40%以上の勝率であれば、利益率20%以上を維持できるため、十分です。
高いリスクリワードと勝率を兼ね備える手法が見つかれば良いですが、そうするとエントリーポイントが限定され、トレードできる回数が減ります。まずはリスクリワードが2(1対2)になるように試行錯誤しましょう。
FXで成功するにはリスクリワードと勝率がキー
リスクリワードと勝率は両方を考慮することが重要です。どちらか一方だけ高くても、もう一方を無視してしまうと、利益率がマイナスになる可能性があります。リスクリワードと勝率を過去の取引データを分析し、利益率が最も高い取引戦略を構築しましょう。
まだ具体的な取引戦略が見つからない場合、リスクリワードが2(1対2)になるような手法を探してみてください。