海外FXでの利益は魅力的ですが、税金問題は避けて通れません。利益が増えれば増えるほど、納税額も上昇するのが一般的です。しかし、知っておくべき節税のポイントや注意点があります。この記事では、海外FXの納税の必要性、節税のための戦略、そして過剰な経費申告やボーナスの損失計上などのリスクについて詳しく解説します。海外FXでの税金対策を理解し、賢く取引を進めるためのガイドとしてご活用ください。
海外FXで利益を得たら納税は必須

海外のFX取引で収益を得たら確定申告した後、納税手続きが必要です。たとえどんな方法を使っても、決して税逃れをすることはできません。日本に住んでいるなら日本の税法に従って、海外FXからの収益に対して税金を納める必要があります。
海外FXの利益は、所得税と住民税の課税対象となります。確定申告を通じて税金を納める必要がありますが、一定の控除や経費の計上が可能ですので、これらを上手に利用することが重要です。
海外FXの収益を申告しない行為は「脱税」
海外FXの収益を申告しない行為は、脱税とみなされます。海外口座でも税務当局が金融取引の記録を追跡できるため、虚偽の申告をした場合最終的にはバレる可能性があります。確実に確定申告を行いましょう。
脱税が発覚した場合、未納税金の支払い、無申告加算税、重加算税などのペナルティが課されます。最悪のケースでは逮捕されることもあるため、注意が必要です。
課税タイミングは年末の12月31日
海外FXで税金がかかるのは、年間の利益が確定する12月31日です。利益が出るたびに税金が発生するわけではなく、年間の合計利益に基づいて税金が計算されます。
例えば、FX取引でポジションを保有している間、たとえ含み益があったとしても、そのポジションを決済しない限り、税金の対象にはなりません。
ポジションとは、通貨の売買契約は完了しているが、まだ決済されていない状態のことです。つまり、12月31日時点で含み益があっても、決済していなければそれは利益とは見なされないのです。
具体的な例を見てみましょう。ドルが140円の時にポジションを保有し、円安でドルが145円になったとします。この時、145円−140円=5円の含み益が発生しますが、この段階ではまだ利益にはなりません。このポジションを決済すると、初めて5円の利益が確定します。
海外FXでは利益が増えるほど納税額が増える
海外FXの利益には15%から55%の範囲で累進課税が適用されます。
国内FXの利益には一律20.315%の税率が適用されますが、海外FXでは所得が多くなるほど高い税率が適用されます。
以下の通り、累進課税では所得の金額に応じて異なる税率と控除額が設定されています。
課税される所得金額 税率 控除額 1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円 1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円 3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円 6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円 9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円 18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円 40,000,000円 以上 45% 4,796,000円 ※ 平成25年から令和19年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1パーセント)を併せて申告・納付することとなります。
引用:国税庁「No.2260 所得税の税率」
所得税に加えて、所得税の2.1%に相当する復興特別所得税と約10%の住民税が含まれるため、海外FXの場合は税金の合計は約15%から55%になります。一方国内FXの場合は、15%の所得税、5%の住民税、そして0.315%の復興特別所得税の合計して約20.315%です。
海外FXでの節税のポイント

海外FXの利益が増えるほど納税額も増えるため、正しい方法で所得額を減らすことが節税のポイントとなります。以下に、海外FXでの節税対策として効果的な方法をいくつか紹介します。
FX関連の費用は忘れずに経費計上する
FX取引に関連する費用は経費として計上可能です。経費には、スマートフォンやWi-Fiの料金、さらには家賃の一部も含まれます。経費にできる代表的な項目は以下の通りです。
- スマートフォンやiPhoneの本体代金
- トレードに使用するパソコン、ディスプレイ、デスク、椅子
- 賃貸物件の家賃や、持ち家の場合の固定資産税
- 通信費用、例えばWi-Fiやスマートフォンの使用料
- FX関連のセミナーや書籍の費用
- VPSサービスや自動売買ツール(EA)の費用
さらに、交通費や飲食費も経費に計上することが可能ですが、一般的には上記の項目が主に計上されます。利益が出た年にこれらの費用を支払うと、経費計上により節税効果が期待できます。
ただし、スマートフォンの料金や家賃は、FX取引に関連する割合のみを経費として計上する必要があります。例えば、10畳の部屋のうち1畳を使用している場合、家賃の10%を経費にすることができます。
税金を節約したいからといって、不適切に経費を計上すると、国税庁による調査の対象となるリスクがあります。追加の徴税や脱税で逮捕される可能性もあるため、経費計上は合理的な範囲内で行うことが重要です
他の雑所得での損失を損益通算する
海外FXで得た利益がある場合、同じ年にこれらの副業で損失があれば、その損失を海外FXの利益から差し引くことが可能です。損益通算をすることにより、海外FXにかかる税金を減らすことができます。
雑所得に含まれるのは副業や仮想通貨、アフィリエイト、せどり、クラウドワークスなどからの収入です。例えば、ある年に海外FXで利益が出た場合、同じ年に仮想通貨で損失があれば、その損失を海外FXの利益から引くことができます。
ただし、異なる年度の損益は通算できません。たとえ前年度に仮想通貨の損失が出たからといって、今年の海外FXの利益から差し引くことはできないので注意しましょう。
「損出し」で年内に含み損を確定させる
「損出し」とは、年内に含み損を確定させる一般的な節税手法で、株やFX取引でよく用いられます。損出しは、実際には税金の支払いを翌年に延期するだけですが、資金効率を高める上で非常に重要です。
損出しの手順は簡単です。年内に含み損があるポジションを決済して損失を確定し、新年になったら再び購入するだけです。この際、スプレッドのコストは余分にかかりますが、節税効果はそれを上回るため、多くの投資家にとって有益です。
多くのトレーダーが毎年この方法を実践しており、FXだけでなく、個別株や投資信託を持つ投資家にもこの手法はおすすめです。
海外FXで税金対策をする時の注意点
海外FXで利益を得た場合、手元にお金を多く残すためには節税が必須です。しかし、あまりにも過度に節税対策を行なうと国税庁に目をつけられて調査が入る可能性があります。海外FXで税金対策をする時には、以下のポイントに関しては最低限注意しておきましょう。
過剰な経費申告は避ける
経費申告を行う際には、過剰な申告は避けるべきです。国税庁からの調査の対象となる可能性があるため、FX取引に直接関連する費用のみを経費として計上しなくてはなりません。
プライベートでの使用もある場合は、その割合に応じて経費を計算する必要があります。
FX取引と無関係な飲食費や交通費を経費として申告することは脱税にあたります。家賃やスマートフォンの料金は経費に計上できますが、FX専用でない場合は、プライベート利用との割合を考慮して計算する必要があります。
たとえば、1日に10時間スマートフォンを使用していて、そのうち1時間をFX取引に使っている場合は、使用時間の10%をFX関連の経費として計上できます。明確な基準はないため、国税庁の調査があった際に自信を持って説明できるように、合理的な割合で計算しましょう。
ボーナスの損失計上はやめておく
いくつかのウェブサイトでは、入金ボーナスによる損失を経費として計上することができるとされていますが、この点については慎重になることをおすすめします。ボーナスの損失計上に関しては意見が分かれるため、不確実性がある場合は避けた方が無難です。
入金ボーナスを経費として計上したい場合は、税理士に相談することが最善です。独自の判断で進めると、後に追加の税金が課されたり、最悪の場合は脱税で逮捕されるリスクがあります。
入金ボーナスは実際の現金に換えられない「仮想のお金」であるため、税金の対象にはならないという考えがあります。もし入金ボーナスによる損失を計上できるとするならば、そのボーナス自体に税金が課される可能性があります。
ボーナスで得た利益に対しては税金が課されないのに損失を計上できるという状況は通常あり得ません。個人の都合に合わせて解釈せず、専門家の意見を聞いて慎重に判断しましょう。
上手に節税対策を行い海外FXでの利益を最大化しよう!
海外FXでの利益を得ることは魅力的ですが、税金の問題は見逃せません。この記事では、利益に対する納税の重要性、課税のタイミング、そして利益が増えるほど納税額が増えることを解説しました。また、FX関連の費用を経費として計上すること、他の雑所得での損失を損益通算すること、そして年内に含み損を確定させる「損出し」が節税の重要なポイントです。しかし、過剰な経費申告やボーナスの損失計上は避けるべきです。これらの知識を活用して、海外FXでの税金対策を賢く行いましょう。