24年ぶり円買い介入実施、英国の大幅減税発表でポンド急落

目次

概要

  • 日本政府と日銀が24年ぶりとなる円買い介入を実施
  • 145円が防衛ラインとの見方は強く否定
  • 米財務省当局者・ECB報道官「外為市場に介入していない」
  • 英国が1972年以来の大規模な減税を発表、ポンドは急落
  • 英中銀金融政策委員会元メンバー「政府の経済対策は失敗に終わる」
  • トルコ中銀が8月に続き再度予想外の利下げ、リラは急落

日本政府・日銀が24年ぶりに円買い介入

日本政府と日銀が22日に24年ぶりとなる円買い介入を実施しました。日米の金利差の拡大によって急激に円安が進む中、24年ぶりの円買い介入をおこなうことで過度な円安を阻止する姿勢を示したと言えます。

鈴木俊一財務相は会見で、「為替市場で投機的な動きを背景に急速で一方的な動きが起きている」と述べました。また、「投機による過度な変動は決して見過ごせない」と介入の理由を説明しています。他国との協調介入かどうかについては明言せず、「関係通貨当局とは常に連絡を取り合っている」としました。

神田真人財務官も「断固たる措置に踏み切った」と述べ、為替介入をおこなったことを認めています。ただし、為替介入の金額については明らかにせず、「隠しきれるものではない規模になっていた」と公表した理由を説明しました。加えて、145円が防衛ラインとの見方を強く否定し、「水準は全く考えていない」と話しています。「海外市場での委託介入もあり得る」とも述べたことから、トレードでは東京市場だけでなく欧州市場やニューヨーク市場なども注意した方がよいでしょう。

日銀による金融緩和維持や当面の利上げに否定的な黒田東彦総裁の発言を受けて、ドル/円は146円付近まで上昇していましたが、為替介入の実施によって一時140円台まで下落しました。その後は上昇して143円台で取引を終えています。

市場関係者は黒田総裁が「金利は上げない」と発言したことで、為替介入はサプライズになったとの認識を示しました。さらに、「今後日本は徹底的に介入を続けるしかないと思う。それで金融政策の修正のタイミングを計っていくしかない」と述べています。

とはいえ、米財務省は6月の外国為替報告書で、日本を監視対象国に引き続き指定しており、「為替介入は適切な事前協議をともなう、非常に例外的な状況に限定されるべきだ」として為替介入をけん制しています。加えて、米財務省当局者や欧州中央銀行(ECB)報道官は外為市場に介入していない旨を述べました。そのため、今後も為替介入がおこなわれるかに関しては不透明であり、実施されても単独介入になる可能性が高いと言えるでしょう。

英国の大幅減税発表でポンドが急落

23日に英政府が発表した包括的な経済対策をきっかけとして、ポンドが急落を見せました。今回の経済対策は1972年以来の大規模な減税となり、景気への長期的な効果を狙ったものです。個人所得税を引き下げ、予定していた法人税率引き上げは撤回となります。

クワーテング財務相は個人や企業が直面している光熱費の高騰に対し、今後6カ月間で600億ポンド(約9兆5000億円)を拠出して支援することを確認しました。さらに、高額所得者に対する45%の所得税最高税率を廃止し、基礎税率も20%から19%に引き下げます。

政府は規制改革を含む今回の措置で経済を活性化させ、英中央銀行が「すでに始まっている」としているリセッション(景気後退)に歯止めをかけたい考えです。しかしながら、投資家やエコノミストは懸念を表明しています。なぜなら、政府がまかないきれない水準にまで債務が膨らみ、インフレをあおる恐れがあるとみているからです。

英債務管理庁(DMO)は、2023年度(22年4月〜23年3月)の国債発行額が1315億ポンドから1939億ポンドに増額されると発表しています。クワーテング財務相は公的債務増加への懸念に対し、「中期的に対国内総生産(GDP)比で債務を削減する」としましたが、踏み込んだ発言はありませんでした。

英中銀金融政策委員会(MPC)の元メンバーであるマーティン・ウィール氏は、「政府の経済対策は失敗に終わる」と予想しており、ポンド売りを引き起こすと警告しました。また、市場関係者は「方向性の明らかな変更」で、「1980年代の経済学への逆戻り」だとの認識を示しました。

ポンド円は一時160円台半ばを付けたものの、155円台半ばで取引を終えています。

トルコ中銀が再度予想外の利下げでリラは急落

トルコ中央銀行が22日に再び政策金利を引き下げました。24年ぶりの高インフレが続き、通貨リラも対ドルで最安値を更新する中での予想外の利下げは大きなサプライズです。

政策金利は13%から12%に引き下げられ、発表後リラは下げ幅を拡大し、対ドルで最安値を更新しました。トルコ中銀は8月に予想外の1ポイント利下げを実施しており、今回の政策金利の市場予想は現状維持でした。

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