概要
- FOMCが0.5ポイントの利下げを決定:米連邦公開市場委員会(FOMC)は、主要政策金利を0.5ポイント引き下げ、今後の経済成長とインフレ抑制を図る。
- パウエルFRB議長の利下げに関する発言:パウエル議長は、今回の利下げが今後も続くペースだと捉えないよう警告し、慎重な政策運営を強調。
- 日銀の金融政策現状維持:日銀は政策金利を0.25%に据え置き、経済や物価への影響を引き続き見極める方針を示した。
- エネルギー価格の高止まりと消費者物価の上昇:日本の消費者物価指数はエネルギー価格の影響で4カ月連続で伸びが拡大し、日銀の利上げ継続を後押ししている。
- 今後の利上げの見通し:日銀は12月までに追加の利上げを検討する姿勢を維持しつつ、慎重な判断を続ける見込み。
FOMC、0.5ポイントの利下げを決定
米連邦公開市場委員会(FOMC)は9月17-18日の定例会合で、主要政策金利を0.5ポイント引き下げる決定を下しました。これにより、米経済の緩やかな成長と持続的なインフレ抑制が期待されています。FOMCの発表によれば、19人の当局者のうち10人が、年内にさらに0.5ポイントの追加利下げを支持しているとのことです。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、今回の決定が「緩やかな成長と2%のインフレ目標を達成するために適切な再調整である」と述べ、労働市場の強さを維持するための方針であることを強調しました。一方で、パウエル氏は「今回の利下げが今後のペースを決定するものではない」とし、追加利下げに対して慎重な姿勢を見せています。
KPMGのチーフエコノミストであるダイアン・スウォンク氏は、パウエル議長が積極的な利下げに踏み切ったことから、米金融政策が景気後退を防ぐために大きく転換していると指摘しました。
日銀、政策金利を現状維持
日銀は9月20日まで開催した金融政策決定会合で、政策金利を0.25%に据え置くことを決定しました。7月に実施した追加利上げの影響を見極めるべきだという判断が背景にあります。
日銀の声明によると、「消費者物価は今後徐々に上昇すると予想される」としていますが、経済や物価に対する不確実性は依然として高いとしています。声明では、今後のリスク要因として海外経済の動向や資源価格、企業の賃金や価格設定の行動が挙げられています。
また、日銀は「金融・為替市場の動向や経済・物価への影響を十分注視する必要がある」とし、今後の政策変更に慎重な姿勢を示しています。これに対し、米連邦準備制度理事会(FRB)は0.5%の利下げに踏み切り、日米間で金融政策の方向性が大きく異なることが際立っています。
日本の消費者物価指数の上昇とエネルギー価格の影響
8月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除くベースで前年同月比2.8%上昇しました。これはエネルギー価格の高止まりや、食料・家庭用耐久財の価格上昇が要因です。特にエネルギー価格は12.0%の上昇を維持しており、日銀の利上げ継続方針を支える結果となっています。
さらに、生鮮食品を除いた食料の価格も2.9%上昇し、家庭用耐久財は7.7%上昇しました。これらのデータにより、日銀は今後の追加利上げを検討する可能性がありますが、金融市場の不安定さを踏まえ、慎重な対応が求められています。
一方、日銀は今回の会合で金利を据え置く決定をしましたが、12月までに追加利上げを行うとの見方が強まっています。エコノミストの調査によれば、最も注目される次回の利上げ時期は12月とされ、53%の予測がこれを支持しています。