概要
- カナダはインフレ抑制を受け、政策金利を0.5%引き下げ。
- 米国9月の新築住宅販売が1年半ぶりの高水準。
- 日本のコアCPI、2%を下回り日銀の利上げ見通しに影響。
- 米国の住宅ローン金利、低下後再び上昇へ。
- 日本のサービス価格の上昇が注目される。
カナダ、インフレ鈍化で金利0.5%引き下げ
カナダ中央銀行は10月23日、政策金利を0.5%引き下げ3.75%と発表しました。この決断は、インフレ率が目標値の2%に達したことを受けたもので、ティフ・マッカレム総裁は「今後もインフレを安定的に2%前後に維持する方針」と強調しました。カナダ統計局のデータによれば、9月のインフレ率は前年同月比1.6%で、8月の2%からさらに低下しました。特にガソリン価格の下落が大きな影響を及ぼしており、9月のガソリン価格は前年同月比で10.7%も減少しました。これに対し、食料品は前年同月比で2.4%の上昇を見せています。
中央銀行の声明によると、カナダ国内のインフレ率は6月の2.7%から9月の1.6%へと大幅に低下し、最新の指標では10月も2%前後となる見込みです。企業や消費者のインフレ期待も低下傾向にあり、インフレ圧力が弱まりつつあると見られています。カナダは2023年7月には政策金利を5%にまで引き上げたものの、2024年6月からは利下げの流れが続き、今回で4回連続の引き下げとなりました。中央銀行は次回の利下げについて「今後の経済指標に基づいて柔軟に対応していく」としており、追加利下げのタイミングは状況次第で決まる見通しです。次回の政策金利発表は12月11日に予定されており、その間には8月のGDP、10月のインフレ率、10月の雇用統計が発表される予定です。
米住宅販売、9月に1年半ぶり高水準
米商務省は10月24日、9月の新築一戸建て住宅販売戸数が季節調整後の年率換算で73万8000戸に達したと発表しました。これは前月比で4.1%の増加で、2023年5月以来の高水準です。市場予想の72万戸を上回り、住宅ローン金利の一時的な低下が買い手需要を刺激した結果と見られます。8月の販売戸数は当初71万6000戸と発表されましたが、後に70万9000戸に下方修正されました。新築住宅販売戸数は、米国内の住宅市場で約15%を占め、契約時点で記録されます。
9月の地域別の動向を見ると、北東部と南部で販売が増加する一方、中西部では減少、西部は横ばいとなりました。また、9月末時点の在庫は47万戸で、2008年以来の高水準に近づいています。住宅ローン金利は9月末に一時低水準となりましたが、経済指標が堅調であったため、FRBが次回11月の会合で利下げを行う観測は後退しました。その結果、ローン金利はここ数週間で再び上昇傾向にあります。9月の住宅価格の中央値は42万6300ドルで、前年同月と変わらずの水準となっています。
日本CPI伸び縮小も、日銀は利上げ維持
10月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、前年同月比1.8%の上昇となり、政府の物価高対策の影響により伸びが縮小しました。日本銀行が目指す2%を5カ月ぶりに下回ったものの、市場では日銀が利上げを継続する見通しが強まっています。10月25日に発表されたこのデータでは、市場予想の1.7%をわずかに上回る結果となりました。前年の補助金の減少がエネルギー価格の押し上げ要因となりましたが、米類の価格上昇が主因で生鮮食品を除く食料品は3.8%の上昇を記録しました。
日銀は、物価上昇率が予測通り推移すれば利上げを続ける姿勢を示しており、円安が進行する中で利上げのタイミングについて市場の注目が集まっています。直近の調査では、53%が12月に、32%が来年1月に利上げが行われると予測しています。特に10月はサービス価格の改定頻度が高い月であり、総務省によると学校給食や外食などでの価格上昇が見られたとのことです。また、日銀はサービス価格の上昇を基調的な物価上昇率の指標と位置づけており、金融政策の判断において注目される要素となっています。食品メーカーへの調査では、原材料高が価格上昇要因として90%超を占め、人件費の影響も前年を大幅に上回っていると報告されています。