- 米国GDP速報値、個人消費が3.7%増
- ドイツ、リセッションを回避し0.2%成長
- フランスGDP、予想を上回る0.4%増
- 日銀、政策金利を0.25%に据え置き
- 米大統領選の影響で不透明感が強まる
米国GDP速報値、個人消費の大幅増も成長率は予測を下回る
米商務省が発表した2024年7~9月期の実質GDP速報値は、季節調整済み年率換算で前期比2.8%増でした。4〜6月期の確定値である3.0%増から成長が鈍化し、市場予想の3.0%増も下回りましたが、プラス成長は10四半期連続です。
GDPの約7割を占める個人消費は、株式や住宅価格の上昇による資産効果を背景に3.7%増と大幅に伸び、家計の貯蓄率も上昇しました。一方、設備投資は3.3%増とやや鈍化したものの、情報関連機器などへの投資が堅調で、12期連続のプラス成長となっています。しかし、住宅投資は高止まりした住宅ローン金利の影響で5.1%減少し、2期連続のマイナスに。
10月に発表された雇用や物価の指標から米経済の強さが示され、市場では11月の米連邦準備制度理事会(FRB)会合において、利下げ幅が通常の0.25%にとどまるとの見方が強まっています。
ドイツ、景気後退を回避しユーロ圏主要国の成長を牽引
ユーロ圏の主要経済国のほとんどが、2024年7~9月期(第3四半期)にプラス成長を記録しました。ドイツも予想された景気後退(リセッション)を回避し、わずかながらも成長を示しています。
ドイツ連邦統計庁が発表した速報値によると、第3四半期の国内総生産(GDP)は前期比0.2%増と、市場予測の0.1%減を上回りました。一方で、前期のGDP成長率は0.3%減に下方修正されています。
他のユーロ圏経済も堅調で、フランスのGDPは前期比0.4%増と、エコノミスト予測の0.3%増を上回り、成長が加速しました。スペインも同様に、予測の0.6%を超えて0.8%の成長を達成。一方、イタリアは前期比で横ばい成長となり、予測されたプラス成長には届きませんでした。
日銀、政策金利を0.25%で据え置き – 経済・物価情勢の慎重な見極め
日本銀行は10月31日に金融政策決定会合を開き、短期金利誘導目標を現行の0.25%程度で据え置く方針を決定しました。米国の大統領選挙を目前に控え、米経済や金融市場の不透明感が強まる中、日銀は経済・物価情勢への影響を慎重に見極める必要があると判断したと見られています。
日銀は7月の会合で政策金利を0.25%に引き上げた後、9月の会合では据え置きを決定。今後の経済・物価が見通し通りに推移すれば、段階的な利上げを続ける方針ですが、植田和男総裁は今月24日、米国での記者会見において「米国経済の分析を深める必要がある」と発言。政策判断には「時間的な余裕がある」とも述べ、慎重な姿勢を示しました。
会合後に発表された「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、消費者物価指数の見通しを示し、2024年度2.5%、2025年度1.9%、2026年度1.9%と予測。2025年度後半には2%の物価安定目標が実現する見通しです。
今後の経済環境には多くの不確実性が残り、米大統領選挙の結果が円安・ドル高に繋がり、輸入物価上昇を通じた物価圧力が強まる可能性も。また、衆院選で与党が過半数割れしたことで、政府の経済政策の見通しも不透明な状況です。
植田総裁はこの日午後、記者会見を予定しており、今後の利上げについての考え方に注目が集まっています。