MetaTrader5(MT5)がFXの取引プラットフォームとして王道なツールです。MT4の次世代型として開発され、主に裁量トレードをする時にうってつけの性能となっています。本記事ではそんなMT5の基礎知識やMT4との違いについて解説していきます。
MetaTrader5(MT5)とは
MetaTrader5(MT5)はメタクオーツ・ソフトウェア社が開発した取引プラットフォームです。主に海外FXで利用されており、旧型であるMetaTrader4(MT4)の後継として期待されている取引プラットフォームです。
MT5の特徴
MT5はMT4の利便性を残しつつ、さらにグレードアップさせたものになります。動作スピードが上がり、操作時のラグが軽減されて快適に取引できるようになりました。特にスキャルピングなど短い間隔でたくさんの動作を行う人は、MT5の特徴が顕著に実感できるでしょう。
また、アップデート回数が多く開発に力を入れている点も特徴です。過去にはユーザーからの要望に答え、アップデートにより取引履歴が表示されるようになるなど変更がされています。スマホ版のMT5でも同様にアップデートが繰り返されており、将来的にはPCと遜色ないレベルに進化する可能性も否めません。
MT5の使い方
FX初心者の方の中には「MT5を使いたいけどどうやって使えばいいかわからない」という方もいることでしょう。MT5の使い方は以下の通りです。
- MT5対応のFX業者で口座開設をする
- MT5をインストールする
- 座開設時にFX業者から送られてきたログイン情報を入力してログインする
まずは、MT5に対応しているFX業者をさがしましょう。FX業者が決まったら、口座開設を行います。デモ口座が提供されている場合は、デモ口座でもMT5を利用することが可能です。
口座開設が完了したら、MT5をPCにインストールします。MT5のファイルは口座開設した海外FX業者の公式サイトよりダウンロードできます。ブラウザ版を使う場合はインストールしなくても利用できるので、海外FX業者の公式サイトに記載されたURLからブラウザ版MT5のページを開きましょう。
MT5のインストールができたら、口座開設時にFX業者から送られてきたメールないに記載されているログイン情報を入力してログインします。ログイン情報は「サーバー名」「ID」「パスワード」の3種類があります。情報がわからない場合はFX業者のカスタマーサポートに問い合わせてください。入力が完了したら、MT5が使えるようになります。
MT4とMT5の違い
MT5の比較対象としてあがるのがMT4です。旧型のMT4ではあるものの、それぞれ異なる特徴をもっているため、今でも両方の取引プラットフォームが多くのトレーダーに利用されています。
そもそもMT4とは
MT4はMT5と同様にメタクオーツ・ソフトウェア社が開発した取引プラットフォームです。FXのためのスタンダードなツールとして世界中のトレーダーに愛用されてきました。MT5が開発されてからもMT4を利用しているトレーダーも多くいます。
MT4とMT5の性能比較
MT5の比較対象としてよくあがるMT4ですが、具体的には以下のような違いがあります。
MT4 | MT5 | |
---|---|---|
システムの動作 | 重い | 軽い |
プログラム言語 | MQL4 | MQL5 |
インジケーター | 標準搭載されているインジケータは少ないが、カスタムインジケーターは豊富 | 標準搭載されているインジケータは多いが、カスタムインジケーターは少ない |
自動売買プログラム(EA)の数 | 多い | 少ない |
バックテスト | 所要時間が長い | 所要時間が短い |
チャートの時間軸 | 9種類主要なものは用意されているが、マイナーなものは表示できない | 21種類表示できる時間軸が多いため、柔軟な分析が可能 |
気配値表示 | 銘柄とプライスボードのみ | 銘柄リストとティックチャートに加え、詳細やプライスボードが追加 |
注文機能 | 成行・ストップ・リミットのみ | 成行・ストップ・リミットに加えストップリミットを追加 |
通貨ペアリスト | 見にくい | 見やすい |
描画ツールの種類 | 31種類 | 44種類 |
システムの動作
MT4は32Bitの仕様になっています。32Bitでは最新のPCの機能を最大限活かすことができず、動作が重くなってしまいます。一方、MT5は64Bitの仕様であるため、パソコンのCPU、メモリ機能を最大限活かすことができ、動作が軽くなっています。
プログラム言語
MT4とMT5ではそれぞれ別のプログラム言語を使って自動売買プログラム(EA)を作成します。MT4は「MQL4」というプログラム言語を、MT5は「MQL5」というプログラム言語を使用します。
両者に互換性はなく、同じ自動売買プログラム(EA)を使うためには、それぞれのプログラム言語で作り直す必要があります。
インジケーター
MT5はMT4の次世代型ということもあり、標準搭載されているインジケーターの数が増えています。MT4が30種類だったのに対して、MT5は38種類と増えています。
しかし、カスタムインジケーターのを比較するとMT4のほうが種類の豊富さが勝ります。カスタムインジケーターとは、MQL4やMQL5といった専用のプログラム言語を使って作られたインジケータのことです。ファイルを取引プラットフォームに読み込ませることで利用可能となります。
MQL5で構築されたMT5用のカスタムインジケーターの数も増えつつありますが、未だにその数はMT4に及びません。
自動売買プログラム(EA)の数
MT4はMQL4、MT5はMQL5で作られた自動売買プログラム(EA)を使用します。現状MT5に対応したEAが少ないため、自動売買プログラム(EA)の豊富さはMT4のほうが勝ります。
バックテスト
MT4のバックテストは所要時間が長く、分析結果も数値のみの表示と少し物足りない仕様になっています。一方、MT5ではバックテスト時間が短縮され、フォワードテスト機能、グラフによる分析機能が追加されています。
チャートの時間軸
MT4とMT5のチャートの時間軸は以下の通りです。
MT4 | MT5 | |
---|---|---|
種類 | 9種類 | 21種類 |
分足 | 1分足、5分足、15分足、30分足 | 1分足、2分足、3分足、4分足、5分足、6分足、10分足、12分足、15分足、20分足、30分足 |
時間足 | 1時間足、4時間足 | 1時間足、2時間足、3時間足、4時間足、6時間足、8時間、12時間足 |
その他 | 日足、週足、月足 | 日足、週足、月足 |
MT4は9種類となっており、主要なものは用意されていますが、マイナーなものは表示できません。一方、MT5では21種類となっていて、表示できる時間軸が多いため、柔軟な分析が可能です。
気配値表示
MT4では気配値表示が「銘柄(通貨ペアリスト)」と「ティックチャート」の2つしかありません。一方、MT5では、気配値表示が強化され、銘柄(通貨ペアリスト)」と「ティックチャート」に加えて、「詳細」と「プライスボード」のタブが追加されています。
「詳細」では、選択している通貨の「当日の買値の高値と安値」「当日の売値の高値と安値」などが表示でき、「プライスボードタブ」では、登録した取引銘柄のプライスボード一覧を閲覧できます。
注文機能
MT4とMT5で使える注文機能は下記の通りです。
注文方式 | MT4 | MT5 |
---|---|---|
成行注文 | 可能 | 可能 |
Buy Limit | 可能 | 可能 |
Sell Limit | 可能 | 可能 |
Buy Stop | 可能 | 可能 |
Sell Stop | 可能 | 可能 |
Buy Stop Limit | 不可 | 可能 |
Sell Stop Limit | 不可 | 可能 |
MT4では使うことができなかった「ストップリミット」注文がMT5では追加されています。
通貨ペアリスト
MT4では問題視されていた通貨ペアリストの見にくさという点もMT5では改善されています。MT4では、全ての通貨ペアのフォルダ分けが1つのツリーの中にされていました。そのため、自分が確認したい銘柄をを探しにくいという酷評がありました。さらに「表示/非表示」を切り替えたい時にも1つずつやるしかない点にも不便さを感じていたユーザーが多くいました。
MT5では、これらの問題の改善され、1つのウインドウの中に通貨ペアの一覧、詳細情報が表示できるようになり、検索ボックスの導入により、さらに利便性が向上しています。また、MT5ではMT4ではできなかった株式や商品の取引も可能となったため、名称が「通貨ペアリスト」から「銘柄リスト」に変わっています。
描画ツールの種類
描画ツールはチャート上に自由にラインを引くためのツールです。MT4やMT5では「オブジェクトツール」と呼ばれています。MT4からもさまざまな機能を使ってラインを引くことができましたが、MT5ではさらに描画ツールが追加されています。
MT4とMT5の描画ツールの種類一覧
描画ツール | MT4 | MT5 |
---|---|---|
垂直線 | ◯ | ◯ |
水平線 | ◯ | ◯ |
トレンドライン | ◯ | ◯ |
アングルトレンド | × | × |
(角度によるトレンドライン) | ◯ | ◯ |
サイクルライン | × | ◯ |
矢印線 | × | ◯ |
平行チャネル | ◯ | ◯ |
標準偏差チャンネル | ◯ | ◯ |
回帰チャンネル | ◯ | ◯ |
アンドリューピッチフォーク | ◯ | ◯ |
ギャンライン | ◯ | ◯ |
ギャンファン | ◯ | ◯ |
ギャングリッド | ◯ | ◯ |
フィボナッチリトレースメント | ◯ | ◯ |
フィボナッチタイムゾーン | ◯ | ◯ |
フィボナッチファン | ◯ | ◯ |
フィボナッチアーク | ◯ | ◯ |
フィボナッチチャンネル | ◯ | ◯ |
フィボナッチエクスパンション | ◯ | ◯ |
エリオット推進波 | × | ◯ |
エリオット修正波 | × | ◯ |
長方形 | ◯ | ◯ |
三角形 | ◯ | ◯ |
楕円形 | ◯ | ◯ |
サムズアップ | ◯ | ◯ |
サムズダウン | ◯ | ◯ |
上向き矢印 | ◯ | ◯ |
下向き矢印 | ◯ | ◯ |
ストップサイン | ◯ | ◯ |
チェックサイン | ◯ | ◯ |
左プライスラベル | × | × |
(価格を左に表示) | ◯ | ◯ |
右プライスラベル | × | × |
(価格を右に表示) | ◯ | ◯ |
買いサイン | × | ◯ |
売りサイン | × | ◯ |
矢印 | × | ◯ |
テキスト | ◯ | ◯ |
ラベル | × | × |
(テキストラベル) | ◯ | ◯ |
ボタン | × | ◯ |
チャート | × | ◯ |
ビットマップ | × | ◯ |
ビットマップレベル | × | ◯ |
編集 | × | ◯ |
イベント | × | ◯ |
長方形ラベル | × | ◯ |
自分の条件と照らし合わせてMT4・MT5を選択しよう
MT5はMT4の次世代型にあたる取引プラットフォームですが、カスタムインジケーターやEAの数ではMT4に軍配が上がります。どちらがいいかは一概には言えないため、自分の条件と照らし合わせて選択することが選択することが重要です。
今回ご紹介した内容を参考に、MT4・MT5のどちらを選択するかの参考にしてください。